異をとなえん |

ユーロ共同債の発行はない - ギリシャのユーロ圏離脱は不可能だ(その9)

2012.05.24 Thu

20:25:32

ケインズ政策は本質的に金持ちから貧乏人への援助に他ならない。
もちろん国債による借金という形式を取るので、最終的に負担する人間は誰になるかわからない。
また利益を得た人々が所得を増やすことになれば、援助ではなくまさに金持ちから貧乏人への借金と解釈もできよう。
長期的にはそう考えられるとしても、国債が増えている時点では援助としか解釈できない。

一つの国の中ならば援助という解釈でも借金という解釈でも許容される。
しかしユーロのような一つにまとまっていない地域の場合は違う。
ユーロ共同債はドイツから財政が弱い国への援助であり、それがずっと続く可能性の方が強い。
ドイツの方が財政が健全で所得が高く、ギリシャの方が財政赤字が続き所得が低いならば、実際にそうなる。
ドイツがギリシャに対して援助を続けてもいいと感じるのでなければ、こんなことは長続きしない。
ドイツはギリシャに対してそんな精神的借りもないだろう。

日本の国債による財政政策は違う。
東京都市圏から地方への援助とも言えるが、東京人は地方出身者が多い。
両親あるいは祖父母が地方に住んでいる東京人はたくさんいる。
彼らは地方の親戚が困っているならば援助することを容認する。
それが今まで地方に対する援助を認めてきた理由だ。
同時に最近地方での公共工事を通した援助政策に東京人の不満が多くなってきたのは、東京人と地方人の間に係わり合いが弱くなった面だといえる。

ドイツがギリシャを援助できないのには、他にも理由がある。
スペインやポルトガルといった他の財政基盤の弱い国だ。
そういう国を援助していったならばドイツといえども持たない可能性がある。
それは困るからギリシャには緊縮政策を守る必要があるのだ。

さらに東京から地方への援助では、東京人は権力を握ることができる。
東京に権力が集中することで繁栄が約束されたと言ってもいい。
けれどもドイツはギリシャに援助したとしても、はっきりした権力を手にすることができない。
ドイツはギリシャの予算に対して監督や責任を持つような形になっていないのだ。
日本の総務省が地方自治体に対して持つ強大な権力がない。
これは非常に割りに合わない感じを受ける。

ユーロ共同債の発行は絶対確実だというような論説を見るのだが、少なくともドイツが得する仕組みがなければ導入できない気がする。
ギリシャはデフォルトすることは可能だろう。
けれどもユーロを使用することをやめることはできない。
現在のギリシャの政治情勢では、それだけの力を持った政府は成立しない。
政府がその権力を持ったとしても、それは経済崩壊と同義でしかない。
ギリシャの崩壊は他のスペインやイタリアなどに対して緊縮政策以外に道はないことを確信させる。

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