異をとなえん |

DTIブログからの引越し

2013.10.02 Wed

18:53:35

DTIブログが12月にサービス中止ということで、下記のFC2ブログに引越しをしました。

異をとなえん http://munyajapan.blog.fc2.com/

「DTIブログサービス終了で、どこの無料ブログに引っ越すか?」を参考にした結果、FC2ブログかlivedoorブログに移るか迷ったのですが、livedoorブログは記事のurlにほとんどランダムに近い感じで番号を振るのであきらめました。
不具合はあるかと思いますが、当分FC2ブログでやっていきます。
それでは、今後もよろしくお願いします。

夢綾
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覇権国交替論目次

2013.09.28 Sat

20:09:41

** 最新更新版に当たってのメモ(2013/09/28)

金融化する経済(2013年9月28日更新)を1.1ロジステック曲線型成長モデルの部分に追加した。
次はバブルの生成と崩壊ついての記事を追加する予定だ。

DTIブログは閉鎖するという事実を知りましたので、引っ越さなくてはなりません。
早急に見つけて移動場所を報告したいと思います。

** 0. 前書き

覇権国交替論を読みやすいように、分類し目次をつけてみた。
ただ、読み直して見るとわかりにくい所がとても多いし、抜けも目立っている。
また構成もいろいろ問題なので、暫定的なものだ。
今後全体を通して読めるように、記事を追加し、各記事に説明を加えていく。
だから、この目次については直接更新するつもりだ。

本当ならば、もう少し各記事をちゃんと読み直して構成をきちんとしたかったのだが、全然進まないのでとりあえずリリースしてから修正していく。

** 1. 理論

*** 1.1 ロジステック曲線型成長モデル

経済はロジステック曲線形に成長する(2013年6月17日更新)
世界経済もロジステック曲線形に成長する(2013年6月19日更新)
ロジステック曲線上の最初と最後では金利は0となる(2013年6月24日更新)
続:ロジステック曲線上の最初と最後では金利は0となる(2013年6月27日更新)
ロジステック曲線型成長で金利はどう変化するか?(2013年9月5日更新)
ロジステック曲線型成長では普及率が半ばを過ぎても経済は成長を続ける(2013年9月9日更新)
資産効果による成長への影響(2013年9月26日更新)
金融化する経済(2013年9月28日更新)

参照:バブルと覇権国とグローバリゼーション - ガラパゴス化は必然である(その13)
この記事が覇権国交替論について基本的な考えを説明しているのだが、自分で読んでいてもいやになるほど読みにくい。
この記事については上の記事で全面的な書き直しをするつもりだ。

覇権国の交替理論
続:覇権国の交替理論

覇権国交代の理論 - 「内向の世界帝国 日本の時代がやってくる」感想

ノーベル経済学賞を目指して
労働と財・サービスの交換理論 - ノーベル経済学賞を目指して(その2)

** 2. 現実との検証

*** グローバリゼーション期
なぜバブルは起こるのか?

グローバリゼーションの本質とは?
グローバリゼーションが格差を拡大させる - グローバリゼーションの本質とは?(その2)

*** 恐慌期

**** 概要

バブルの崩壊のプロセス
金融危機は一応収束したのか?

**** 実例
世界経済が悲鳴を挙げている
ウォンの暴落、そして - 世界経済が悲鳴を挙げている(その2)
世界恐慌の行方- 世界経済が悲鳴を挙げている(その5)


*** 停滞期
不良債権処理の遠い道のり

「デフレはなぜ怖いのか」感想
バーナンキの発言 - 「デフレはなぜ怖いのか」感想(その2)

なぜデフレは続くのか?

なぜ内需は回復しないのか?
なぜ内需は回復しないのか?(その2)
サラリーマンの給与増加(なぜ内需は回復しないのか?-その3)

なぜ日本のバブル崩壊後の停滞は長く続いたのか?
アメリカの大恐慌が長く続いた原因は? - なぜ日本のバブル崩壊後の停滞は長く続いたのか?(その2)
石油危機後に起こったこと - なぜ日本のバブル崩壊後の停滞は長く続いたのか?(その3)
アメリカ経済の今後の動向は? - なぜ日本のバブル崩壊後の停滞は長く続いたのか?(その4)
不良債権処理は簡単には終わらない - なぜ日本のバブル崩壊後の停滞は長く続いたのか?(その5)

次期覇権国はなぜ長期不況に突入するのだろか?
バブル崩壊後の長期停滞の仕組み
長期停滞に関するメモ

ギリシャ危機の本質
続:ギリシャ危機の本質

ギリシャのユーロ圏離脱に意味があるのか?
続:ギリシャのユーロ圏離脱に意味があるのか?
二段階目の恐慌はあるか?
ギリシャはユーロ圏に入って得をしているのだろうか?

**** 政策対応

バブル崩壊の意味と財政政策について(ロビンソンとフライデーの話)

なぜバブル崩壊後ケインズ政策は効かないのか?

ケインズ政策の何が間違っているのか?
続:ケインズ政策の何が間違っているのか?

なぜケインズ政策を取ると保護貿易に傾くのか?
続:なぜケインズ政策を取ると保護貿易に傾くのか?
アメリカは財政の崖を落ちるのか?

*** 秩序再構築期
「アメリカでは成功したのに、なぜ日本でだけ金融緩和政策が効かないのか?」 - 基軸通貨ドルの終わりの始まり(前編)(2013年9月17日更新)
アメリカの金利が上昇しているのはなぜか? - 基軸通貨ドルの終わりの始まり(中篇)(2013年9月18日更新)
どうしたら基軸通貨は替わるのか? - 基軸通貨ドルの終わりの始まり(後編)(2013年9月21日更新)

次の覇権国はどこか?(その1)

グローバリゼーションがなぜ戦いを生むのか
続:グローバリゼーションがなぜ戦いを生むのか?
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金融化する経済

2013.09.28 Sat

20:07:31

ロジステック曲線型成長モデルでは中間点を過ぎると経済の金融化が始まる。
借金のGDP比が増加し、金融産業の利益が他の産業の利益に比べて大きくなっていく。
金利の低下による資産価格の上昇が金融業の肥大化を生むのだ。

資産価格が上昇しているといっても、そのままでは投資も消費も増えない。
資産の所有者のキャッシュフローは別に変化しないからだ。
資産価格が高くなったことで、気が大きくなり消費が増えることもあるだろうが、それだけでは経済に大きな影響を与えるほどではない。
上昇分の利益が消費や投資に変化を与えるには、資産の売買が行われ、それに呼応して融資が行われる必要がある。
単なる売買では意味がないというか、資産価格が上昇するならば必然的に融資が増えていく。

買い手は融資をしてもらって資産を購入する。
余剰となった貯蓄の運用先を拡大するために投資が行われるのだから当然のことだ。
取引は金融業が主体となって掘り起こしてゆく。

売り手は資産を売却して上昇益を得たとしても、それを消費するか、より有利な投資に回すのでなければ意味がない。
売却代金を貯金するだけなら、売却した資産の利回りより劣るはずだからだ。
消費は経済を成長させる。
有利な投資というのは売却した資産が今後上がるであろう上昇利益を放棄してでも目指すものだから、具体的な儲け話であり、当然成長効果がある。

資産の売買が盛んになれば、土地の売買ならば不動産業、株の売買ならば証券業の手数料が増え、結果として利益も増える。
担保としての融資ならば銀行業だ。
この三つの産業が金融業なのだから、GDPのシェアが拡大し、利益が増えるのも当然のこととなる。

金融業の利益が上昇するのは、資産の価格が上昇しているから一時的な所有でも、その分の期間上昇利益が手に入るからだと論じたことがある。
その理屈も正しいとは思うのだが、もっと直接的な理由があった。
売買または融資によって資産上昇の利益が現出する以上、常に一定の比で手数料が金融業に流れ込むのである。
中間点を越して、バブルが崩壊するまでの間は、資産上昇の利益は拡大し続ける。
結果として、手数料、つまり金融業の利益も拡大し続けることになる。

具体的な例をアメリカに見てみよう。

アメリカは1981年、長期国債が18.9%の利回りをつけ最大値に達した。
下記のグラフを見ると、1981年近辺から金融業のシェアが拡大し始めている。

グラフは増田悦佐著「いま資産を守るためにいちばん大切なこと」(p57)に載っているグラフで、ウェブ上の引用元となる記事からコピーした。
1981年以前は、金融業の利益(Finantial Profits)はGDP比0.7%ぐらい、総負債(Total Debt)はGDP比130%ぐらいで一定だったのに対して、1981年以後はシェアが継続して増えていった。
これは、アメリカが1981年にロジステック曲線型成長モデルの中間点を迎え、金融業が肥大化していったことを示している。

資産価格上昇や金融業の肥大化による経済成長には問題点が幾つかある。

まず貧富の格差増大だ。
基本的に資産というものは、金持ちが持っているものだ。
貧乏人には子孫に残すものもたいしてなく、一生でプラスマイナスゼロのとんとんの生活がいいとこだろう。
資産は金持ちが持っている以上、資産価格上昇による利益はほとんどが金持ちの手に渡ることになる。
結果貧富の格差は拡大していくわけだ。

また金融業の生産性は金額の大小によって変わるものではない。
一件あたりの手間ひまは基本的に同じだろう。
だから資産価格の上昇によって金額が大きくなればなるほど、広義の意味での生産性、つまり一人の人間の稼ぎの額は大きくなっていく。
金融業に従事する労働者の賃金は他の産業に比べれば大きく上昇し、これも貧富の格差の拡大の要因となる。

そして、金融業の賃金上昇こそ最大の問題だ。
金融業の生産性向上は本質的な意味での生産性向上に全く役に立っていない。
資産価格の上昇のおこぼれに預かっているだけだ。
それなのに給与が増大していけば、才能ある人材を多く集めることになる。
本当の意味で人間の効用を増やす技術革新に割ける人材が少なくなってしまう。
最終的には技術革新能力を弱め、経済の停滞を招くことになる。
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資産効果による成長への影響

2013.09.26 Thu

20:38:30

「ロジステック曲線型成長では普及率が半ばを過ぎても経済は成長を続ける」の記事では、中間点を過ぎても金利低下による資産効果で経済が成長すると説明した。
しかし、本当に資産価格の上昇だけでGDPを顕著に増やすほどの効果が生まれるだろうか。
これについて少し確認しておきたい。

日本は孤立した島国のため、他国からの影響が弱くモデルとしての分析に最適であることを前に記事にしたことがある。
実際、戦後日本経済は敗戦によって全ての国富を失ったことでリセットされ、きれいにロジステック曲線型成長モデルで成長したように見える。
1945年を開始年として、29年後の1974年に日本国債10年物金利が11.7%と最大になり、それから29年後の2003年に0.43%と最小になる。
中間点の1974年の15年前の1959年に成長率が10%を超えて高度経済成長が始まり、15年後の1989年にバブルの頂点を迎え、翌年1990年に崩壊するのも偶然とは思えない。

ここで中間点である1974年の資産価値が金利低下にともなって、どう変化していくかを見ることにする。
参照にした資料「数字でみる 日本の100年 改訂第5版」には1974年の資産価値が載っていないので、1975年で代用している。
まず、永続性のある資産の代表であり、大部分を占めている土地で見てみる。

1975年の名目GDPは150兆円、その時土地の価値は400兆円で名目GDPの2.66倍になっている。
1990年バブルの絶頂期で名目GDPは1975年の3倍の450兆円になった。
土地の価値は2400兆円で1975年の6倍になっている。
土地の価値はGDPの伸びの2倍になったわけだ。
金利は11.7%から6.41%(1990年の国債流通利回り末値)に変化しているのだから、金利が半分になったから資産価値は2倍に上昇するという理屈にあっている。
土地の価値の半分の1200兆円が金利の低下によって生まれたとすると、15年で割れば単純計算で年80兆円分の資産効果が生まれ、その分の投資・消費が増えたはずだ。
1990年のGDPが450兆円であることを考えると、金利の低下による資産効果がGDPを成長させるのに十分であることがわかる。

土地のみを対象にして資産効果を計ってみたが、土地以外に資産効果を発揮できる資産があるだろうか。
資産効果は金利が低下したことによって、未来に取得する地代、利息、配当などの現在価値が高まることで発揮される。
金利が0だと、未来の利回りを現在価値で割り引くことがなくなるので、無限に利回りが保証されるならば足し合わせると発散して、計算の上では無限大になってしまう。
それに対して金利がつくと、未来の利回りを現在価値で割り引くと小さくなっていき、無限の期間があっても合計値は一定の値に収束する。
つまり、金利が低下することで価値が大きくなる資産は期間が長いほど有利になるのだ。
その対象になるのは土地と株式だろう。

土地も株式も理論的には無限に近い期間の利回りを仮定できる。
経済情勢の変化によって、使う人がいなくなって地代が入らなくなることや企業などでは倒産などの危険性はあるが、逆に地代が増えたり企業が成長して配当が増える可能性もある。
両方の可能性を考えれば、期間無限で計算してもおかしくない。

株式にも資産効果は十分働くと思うので、土地+株式で先ほどと同じような計算をしてみよう。
1975年の土地+株式の資産価値は465兆円で名目GDPの約3倍、1990年の土地+株式の資産価値は2970兆円で名目GDPの6.6倍になっている。
GDPの伸び以上の価値の上昇、約1500兆円(2970兆円−(465兆円*3))は金利低利による資産価値の向上だと考えられよう。
15年で1500兆円の伸びなのだから、1年100兆円の資産効果による利得があった計算だ。
土地だけより20兆円分資産効果の利得が増えている。

単純計算では年100兆円でも、実際には中間点の1974年では小さく、1990年に近づくにつれて大きくなっていく。
1985年からで資産効果を計算してみると、年250兆円以上になっている。
もっともこれでも単純にロジステック曲線型経済成長モデルに資産効果をあてはめた成長分を追加しても、現実の経済にはとどかない。
1990年の対となる1959年の実質国民総生産は1990年基準で65兆円、そこに250兆円を追加しても315兆円で、現実の450兆円にはほど遠い。
数式モデルとしては所詮不完全なものとあきらめるか、あるいはさらに補正することによって現実に近づけることができるか。
後の宿題として考えていきたい。
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どうしたら基軸通貨は替わるのか? - 基軸通貨ドルの終わりの始まり(後編)

2013.09.21 Sat

17:07:53

基軸通貨には慣性がある。
何を持って基軸通貨と定義するにはいろいろ意見があるかも知れないが、貿易の決済通貨が一番重要だ。
現在の基軸通貨はドルであり、たいていの輸出入はドルで決済している。
この貿易通貨を変更することは非常に面倒である。
自分の財布に円、ドル、ユーロが混在し、支払う店ごとに通貨が変わっていたら管理が面倒で仕方がない。
しかも為替相場が変更していたら、商売していて自分が儲かっているかどうかもわからなくなる。
誰もが取引する通貨は一つに限定したいから、現実の世界ではドルが決済通貨になっている。

ドル建てによる取引が普通のこととなると、全ての仕組みがドルを前提にして動いていく。
保険、海運など貿易に関する全てがドルを前提にする。
そうなれば決済通貨の変更を考える企業もそう簡単にはできない。
無理に実行しようとしても、手数料等がずっと高くなって割りに合わなくなる。

基軸通貨ドルによる支配の仕組みは強力な慣性によって世界で普及しているから、普通は替わりようがない。
だから基軸通貨がどうしたら替わるのか、具体的な方法が見えなかった。
インフレかデフレのどちらかで終わるとは思っていたが、どうも決め手がつかめない。
ハイパーインフレが起これば確かに終わるだろうが、どうやって起こるというのか。
ハイパーインフレは生産設備の大幅な消失以外起こりようがないと思うのだが、アメリカで生産設備が消失するとしたら戦争に負けるぐらいだ。
アメリカが戦争に負けるとは思えないし、それ以外に起こりようがないとしたら平和裏に基軸通貨の交替は起こらないことを意味する。

普通のインフレは景気がいいと同義だろう。
そんなときに基軸通貨の変動が起こるわけがない。
需要は変わらずに供給の問題で起こるインフレもある。
石油ショックでは、石油が急激に高騰してインフレが起こった。

デフレは世界が不景気の状態だ。
物を売ろうとしても売れない。
ドルの価値が段々と上がっていく。
手に入れたドルをがっちりとしまいこんでしまう状態で、基軸通貨としての信用を失う状態があるだろうか。
基軸通貨の変更などありえないように思える。

しかし前回書いた、日本がアメリカに投資をしないことによって起こるドル金利の上昇は、デフレとかインフレではない別の基軸通貨交替の可能性を示している。
アメリカは経常収支赤字国であるから、経常収支黒字国から資金を集め世界に貸し出すことによって、金融センターの役割を担ってきた。
利ざやを稼ぐためには低い金利で資金を集め、高い金利で貸し出さなければならない。
低い金利で投資をしてきたのは、主として日本の金融機関だった。

日本の金融機関は海外に融資する能力が弱かった。
海外企業とのコミュニケーションをするにしても、言語に弱いことをはじめとしてコネや人脈がない。
当然リスクを分析することも十分にできないので、海外に融資できなかった。
だから海外に直接融資をするかわりにアメリカ国債を購入し、低い利ざやで我慢してきた。
日本企業が海外に直接投資をするならば、その企業に融資をすることで海外へ資金を流すことができる。
アメリカの金融センターを迂回して資金を融資できるようになるのだ。

日本から資金が流れなくなれば、アメリカは金融センターの役割を果たせなくなる。
国債の金利が上昇するということは金融が引き締め効果を発揮するということだ。
国債購入によって企業への融資や株式投資以上の利回りで運用できるならば、そちらへ資金が流れてゆく。
経済を成長するための投資が少なくなる。
ドルを借りて投資をする、新興国の企業も借金ができなくなれば成長をあきらめなくてはいけない。
普通でも経済が停滞するし、あるいはアメリカが金融の引き締め政策を取った場合頻繁に起こる金融危機が発生する可能性もある。

金融危機が発生するような場合、日本の金融機関が低利で円を貸してゆけば、円建てでの融資が世界に広がってゆく。
企業の主となる借金が円建ての場合、円建てで売り上げを確定させたい欲望が強くなっていくだろう。
1億円の借金を返済するために、1ドル100円の相場で100万ドルの輸出をした。
輸出代金を受け取ったときに円高で1億の借金を返済できなければ目もあてられない。
先物の為替相場を組むのは、手数料がかかるし、それならそもそも最初から円建てで輸出を目指した方がいい。
貿易も円建てで決済したい希望が強くなってゆく。

貿易金融にしても、金利は安い方がいい。
ドルの長期金利が上昇していくならば、短期金利も最終的にはそれに引きずられてゆく。
徐々にドルの競争力はそがれてゆく。
それより安い金利を円が提示すれば、その他の手数料を含めてもトータルで競争力が増してゆくことは十分に考えられる。

今回のアメリカの国債金利の上昇の理由が、本当に日本から資金が引き上げられているためかはわからない。
基軸通貨ドルの終わりの始まりも過大評価かもしれない。
しかし基軸通貨ドルの終わりが経常収支黒字国から資金が流入しなくなることで始まるのは確実に思える。
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アメリカの金利が上昇しているのはなぜか? - 基軸通貨ドルの終わりの始まり(中篇)

2013.09.18 Wed

15:48:00

前回、アメリカの景気回復の原因は新興国への投資だとした。
しかしそうすると疑問が出てくる。
2012年の後半ごろから新興国のバブルははじけ資産価格は下落を始めた。
その結果資金はアメリカに逆流していると思われる。
資金が戻っているので為替相場はドル高に向かい始めている状況だ。

それなのになぜアメリカの金利は上昇するのだろうか。
実際10年物国債の金利は2012年7月の1.5%を底に、最近(2013年8月)では3%ぐらいまで上昇している。
アメリカの資金が新興国に流れ込むことによって金利が上昇しているならば、逆流すると金利は下がるはずだ。
なんとなく話がおかしい。

もちろん新興国の資産価格が下降したから資金が逆流したのではなく、アメリカの金利が上昇したから資金が引きあげられているとも考えられる。
でもそうすると、今アメリカの金利を押し上げている原因は何だろうか。
どこに金利を引き上げるほどの資金需要が生まれているのだろうか。

量的緩和政策の縮小予測が金利を押し上げているとも思えるのだが、そもそも量的緩和政策は実施されると金利は上がっていた。
だから量的緩和政策が縮小されると、普通は金利が上がると思うが、下がると予想する人もいる。
アメリカ国債の金利が大きく上昇し始めたのが、バーナンキ議長の縮小発言の5月23日からであることを考えると、全然関係ないとも思えないが、基本は中立だと思える。
他に運用先がないならば量的緩和政策は国債を売った代金を中央銀行に預け直すだけで金利には影響しない、という意味だ。
それでは金利を押し上げた他の理由とは。

一つの理由は住宅投資の再開だ。
そしてこれが正しいのかもしれない。
不動産価格が十分下落したこと、人口が増加していること、金利が下がったこと、これらによって住宅投資が再開され、金利が上昇したわけだ。
大きなバブル崩壊がリバウンドで止まるとは思えないが、一時的な反発は常に考えられる。

もう一つ、シェールガス革命によって投資が増えているという理屈も考えられる。
ただこれはそれほど大きくはないらしい。
エコノミスト(2013/08/20号)のp31にはシェール革命の投資押し上げ効果は0.1%にとどまるとある。
シェールガス関連の投資が増えていても、その分原子力や石炭関連の投資が減るので差し引くと0に近いらしい。

どちらも今一つの気がするので、資金がアメリカに移動する場合為替レートを維持するために、新興国側が外貨準備を売却することが原因とも考えていた。
たとえば、中国から資金を引き上げられていくと、中国政府が為替レートを守るためにアメリカの国債を売って元を買うような可能性だ。
ブラジルやインドネシアも外貨準備を使って為替防衛をしているから、かなりアメリカ国債が売られていることは間違いない。
それだけを考えるとアメリカ国債の金利は上がっておかしくなさそうだ。
けれどもアメリカに戻った資金はどうなるかという問題がある。
銀行に預ければいろいろ変化したとしても、最終的には国債の購入に戻ってしまいそうだ。
たまたまのタイムラグで金利が上がるというのは、どうもきれいな理屈でない。

そこでひらめいたのだ。
今までアメリカも日本と状況が同じだと思っていた。
新らしい資金需要が生まれなければ金利は上がらないと。
けれどもアメリカは日本と違う。
アメリカは日本と違って資金余剰国ではない。
資金が流入しなくなればそれだけで金利は上がってしまう。
つまり需要ではなく資金供給の側に問題が発生している可能性に気づいた。

日本の資金がアメリカから流出しているから、アメリカ国債の金利は上昇しているのかもしれない。

日本の景気は良くなっているから、為替は円安にふれている。
経済成長率は2四半期連続して4%ぐらいだ。
他の国と比べて景気が相対的にいいから、輸入は増え貿易赤字が拡大している。
海外への直接投資も好調だ。
製造業は海外での設備投資を積極的に拡大し、あるいは海外企業を買収している。
日本の基礎収支(経常収支と直接投資の合計)は赤字化しているので、海外に資金が流れ、ドル円レートは1ドル80円から1ドル100円ぐらいまで円安になった。

円安は日本が大量に持っているアメリカ国債の価値を高め、売り時と考えた日本の金融機関が資金を引き上げ始めている。
アメリカ政府のウェブMAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIESによると、日本の米国債保有額は2012年10月の1兆1319億ドルを天井にして、2013年6月の1兆834億ドルまで下がり続けている。
485億ドル、ざっと5兆円の売却だ。
他の資料を見ても、2013年の証券投資で日本は売りこしている。
円安が日本に資金を呼び戻しているのだ。
日本が資金を還流しているので、アメリカ国債の金利は上がっているのかもしれない。

これは新興国が外貨準備を売却して為替レートを維持している話と違う。
日本の国債売却による資金還流は日本の貿易収支の赤字の拡大と直接投資の拡大の穴を埋めるものであり、見合いで戻るドルは国債市場に回らない。
一方新興国の外貨準備の売却は外国からの投資の引き上げに対応するものだ。
見合いの資金が投資のための資金であった以上、戻れば一時的にアメリカ国債に退避するのはむしろ当然の話だ。
国債を売った資金が国債に戻るならば、その取引は中立で方向性を示さないけれど、そうでなければ影響を及ぼす。

日本がアメリカ国債を売却することで金利が上昇したならばいろいろと納得できることがある。
10年物アメリカ国債の金利の底は2012年7月で、ほぼ日本の景気の底であった。
それから2012年いっぱいは大体1.7%ぐらいで推移し、2013年明けてから金利が上昇し始めた。
ドル円相場が円安に振れ始め、アメリカ国債の売却によって利益を出しやすくなってからだ。
そして5月22日のバーナンキ議長の量的緩和縮小発言で一気に3%近くまで上がってゆく。
これはアメリカ国債の価格でもドル円レートの面でも、ここらへんが売り時だと考えていた日本勢の背中を押したからではないだろうか。
状況が変わって利益が不確定になる前に売ろうとしたわけだ。

日本は世界最大の純債務国としてアメリカ国債の最大の買い手だった。
その国が資金を引き上げるのだから、アメリカ国債の金利が上昇しても不思議はない。
そして日本が国債を売却することによってアメリカの金利が上昇していることは重要な時代の変わり目かもしれない。
なぜ重要かは次回。
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「アメリカでは成功したのに、なぜ日本でだけ金融緩和政策が効かないのか?」 - 基軸通貨ドルの終わりの始まり(前編)

2013.09.17 Tue

15:54:16

9月17日、18日のFOMCで量的緩和政策の縮小が決定されるともっぱらのうわさである。
景気が持ち直していることもあって、出口政策が開始されるらしい。
実際ニューヨークダウは1万5000ドルを超え、リーマンショック前の最高値を上回っている。
失業率も着実に減少し、新規雇用者数も増えている。
貧富の格差はリーマンショック前よりもさらに拡大し、上位1%の所得だけが増え、下位99%の所得は変わっていないなどという批判はあっても、景気が回復しつつあるのは間違いないらしい。

日本人としては若干釈然としない気分だ。
日本はバブル崩壊後、いつまでも景気は回復しなかった。
最近少し回復してきたとしても、日経平均がやっとリーマンショック前の水準であり、バブルの水準は程遠い。
日経平均の最高値38957円は、今となっては別の惑星の物語のように感じる。
それなのにアメリカは簡単にリーマンショック前の状況を回復してきた。
アメリカ人が日本人より優れているからか、それとも政策の問題なのか。

「アメリカでは見事に成功したのに、なぜ日本でだけ金融緩和政策が効かないといえるのですか?」、というのは『「円安大転換」後の日本経済』(p180)に出てくる質問の形を取った日本の金融政策への批判である。
日本もアメリカと同じ金融政策を取れば景気回復したのに、そうしなかったから低迷しているのだと批判している。
日本の金融緩和政策が不十分だったから、日本はアメリカのように景気回復しなかったのだろうか。
私は違うと考えている。
日本の量的緩和政策もアメリカの量的緩和政策とほぼ同等のものであった。
それが効かないのは別の理由があったからだ。

日本の量的緩和政策が効かないのは、日銀が国債を買い取っても、その受け取った代金が日銀の当座預金に預けられてしまうからだ。
金利を0にしても、プラスの金利の貸し出し先がなければ貸し出しは増えない。
手数料、リスクを考えると実際にはもう少し高い金利が必要だ。
日本には借金してくれる運用先がほとんどなくなっている。
どんなに資金供給量を増やしても、それが預金になってしまうだけでは効果がない。
供給された資金が活発に取引に使われて、始めて金融緩和政策が成功したといえる。

アメリカの量的緩和政策が効いたのは資産を買い取った代金の運用先があったからだ。
それは基本的に新興国の資産だと考える。
新興国は先進国に比べてまだ成長余地が残っている。
先進国に比べて成長率も高いのだから、金利も高い。
先進国から低金利で資金を調達して、新興国で運用するならば十分利益が出せるはずだ。

下記のグラフは「中韓苦境は自業自得だ 量的緩和の縮小で新興国パニック!」に載っていたものだが、新興国・発展途上国の外貨準備が拡大していることを示している。
新興国外貨準備合計
記事の中では、先進国全体の資産拡大にあわせてとなっているが、これは違う。
新興国・発展途上国が外貨準備を拡大しているのは、ドル安自国通貨高の輸出減少を心配して、為替レートを安定させるためにドルを購入しているからだ。
だからアメリカのFRBの資産拡大にあわせて、外貨準備が増加していると見なければならない。

グラフから目分量で見ると、新興国・発展途上国の外貨準備合計は2008年9月の約5兆8000億ドルから2013年3月の約9兆8000億ドルまで約4兆ドル拡大した。
それに対して別の統計で見ると、アメリカFRBの資産保有額は2008 年8 月の8,700 億ドルから2013年7月の3 兆5,288 億ドルにまで約2兆6500億ドル拡大した。
期間は若干ずれているが、それほど影響はないだろう。
差があると思うかも知れないが、貨幣乗数を計算に入れるのを忘れている。
新興国・発展途上国の政府がドルを購入したならば、運用するためにその金で短期国債を購入する。
銀行の当座預金に預けるより信頼性が高いからだ。
そうすると新興国・発展途上国に国債を売った金融機関は別の運用先を探さねばならない。
結局また新興国・発展途上国の資産に買うわけで、FRBによる資産拡大は貨幣乗数分だけその力を増していると見なければならない。
M1 Money Multiplierによると、リーマンショック前の貨幣乗数は大体1.6だ。
リーマンショック後は全体に取引が低調になっているので下がっているが、この為替と国債の取引は正常に動いていると思うので、1.6を使っていいと考える。
そうすると、FRBの26500億ドルの資産購入は1.6倍して42400億ドルの影響があった。
大体新興国・発展途上国の外貨準備拡大と同じだ。

日本の金融緩和政策が効かないのは、日本円が基軸通貨でないからだ。
日本の金融機関がアメリカと同じように、新興国・発展途上国の成長を取り込むためにその国の資産を購入しても、そのままでは円がその国の通貨に対して過度に円安になってしまう。
為替レートが適正に変化したならば、この場合は過度な円安が元に戻ることだから円高になることで、少々の金利差による利益はいきなり吹っ飛んでしまうことも十分にありえる。
だから日本の金融機関による新興国・発展途上国の資産購入には限界があって、ある程度円安になればそこで中止する。
日本の量的緩和政策に限界があるといっていい。

アメリカの金融機関による新興国・発展途上国への投資には限界がない。
ある程度ドル安になった時点で、新興国・発展途上国側は為替レート維持のため相場に介入してくれる。
アメリカと新興国・発展途上国の間に金利差がある限り、アメリカ側は投資し続けることができるのだ。
FRBが量的緩和政策を続けると、増えた資産額に金利差をかけた分だけ、アメリカは豊かになっている。
新興国・発展途上国の外貨準備4兆ドル、金利差を2.5%とすると、毎年1000億ドルアメリカに流れ込む計算だ。
アメリカのGDP15兆ドルの0.66%にあたる。
年成長率が2から3%の現在では十分意味のある数字だろう。
これが日本の金融緩和政策が効かず、アメリカの金融緩和政策が効いた理由だ。
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