異をとなえん |

ドイツはどうすべきか - ギリシャのユーロ圏離脱は不可能だ(その8)

2012.05.19 Sat

20:07:38

今日の覚書、集めてみましたのところにギリシャ情勢についての経済記事がたくさん載っていたので読みふけってしまった。
私の考えとAmbrose Evans-Pritchard氏の記事の考えがどうも異なっている。
根本的な思考法が違うみたいだ。
その本質が何なのか考えてみたい。

世界にはドイツが財政援助をしてギリシャを助けるべきだという考えが主流としてあるようだ。
なぜドイツはギリシャを救わなければならないのか。
大恐慌の再来を防ぐためだろう。
ギリシャに援助を行うことで深刻な不況は防げるかもしれない。
しかし、それはアリとキリギリスの話で、夏の間遊んでいたキリギリスが冬になってアリに援助を求めたときに、アリが助ける話になる。
自分たちが一生懸命働いていたときに遊んでいた人間を助けることは難しい。
そして、実際にはアリはキリギリスを助けようとしている。
けれどもキリギリスは最低限の援助では嫌だという。
夏の遊んでいたころに近い生活を要求する。
これではアリが援助したくなるのも無理はないはずだ。

それではギリシャがデフォルトすれば、ドイツにとって致命的になるだろうか。
とりあえず大恐慌が起こったとしても、ドイツという国がなくなるわけではない。
EUが分裂したって戦争は遠い話だ。
ユーロ圏が分裂することによる経済の混乱も起こらない。
経済の力が弱い南欧諸国はユーロ圏から離脱できないからだ。
デフォルトはできたとしても、ユーロという通貨の使用をやめることはできない。
そうなれば大不況はユーロ安を招く。
ユーロ安はドイツにとっては福音だ。
現在もドイツはユーロ圏内ではそれなりの成長を維持しているのは、ユーロ安によって輸出が伸びているからだ。

リーマンショックの再来があれば世界全体の需要が急減する。
ユーロ安になったとしても輸出は伸びなくなる。
けれども別にそれで世界が壊れたわけではない。

前回は世界全体がケインズ政策によって需要の急減を抑えた。
それはまだ各国に財政上の余裕があったからだ。
今回は財政上の余裕がなくなっている。
そうなるとリーマンショックのようなV字回復は望めない。
ただドイツは経常黒字を出している以上ある程度のケインズ政策は発動できる。
それほど悪化しない予測も成り立つわけだ。

そんなわけでドイツにとってはギリシャを助ける必要性はそれほど大きくないと思う。
どうも論旨がまとまらない。
Ambrose Evans-Pritchard氏の記事の分析もできなかった。
次回もう一度挑戦する。

緊縮政策を緩和しても救いにはならない - ギリシャのユーロ圏離脱は不可能だ(その7)

2012.05.18 Fri

20:38:29

ギリシャねたはなかなかつきない。
今回はギリシャの努力を認めて緊縮政策を緩和しろという意見に反論したみた。

【コラム】認められていいギリシャの緊縮努力−残存債務が問題

ギリシャは財政赤字を2年間で8.6%も削減した。
引用開始

政府は過去2年間でプライマリー財政赤字、つまり利払い分を除いた財政赤字をGDPの10.6%(2009年)から2.2%(11年)に圧縮した
引用終了
その努力を認め、EUはギリシャとの合意を絶対視するのではなく、ギリシャの残存債務をさらに削減すべきという意見だ。

日本の財政赤字が全然減らない状況と比較すると、ギリシャは極めて努力しているように見える。
実際努力しているとは思うのだが、たぶんこれでは足らない。

ギリシャの財政赤字が大きく減っているのは、財政支出を大幅に減らしているからだ。
年金と公務員の賃金の削減の影響が大きいのだろう。
でも財政目標は達成していない。
収入が減っているからだ。
GDPが減少すれば税収も減る。
政府支出を減らせばGDPも減り、GDPが減れば政府収入も減るというループにはまっている。

ではここで我慢していれば、GDPが成長して財政赤字がなくなることはあるだろうか。
無理だ。
理由はGDPはもっと落ち込むからだ。

ギリシャの産業構造は2007年時点で製造業が10.5%、建設業が7.3%、流通・観光・交通等が37.4%、金融業・不動産・ビジネス関連サービス業が17.3%、公的管理・その他が21.1%となっている。

参照:スペイン・ギリシャの経済構造の特徴について

製造業の比率が極めて低く、輸出する力が弱い。
そして経常収支の赤字が10%以上という経済だ。
ユーロ圏に加入する前は赤字続きだったとはいえ、GDP比の3%ぐらいですんでいた。
それがユーロ圏に加入することで赤字が急増し10%を超えてきた。

参照:ギリシャの国際収支の推移

ギリシャの赤字が急増したのは、国債の金利が下がったことで国債の発行を増やし、それが消費に回ったからだ。
ギリシャ政府が借金をし、その金が各国から物資を輸入する代金として出て行く。
輸入した商品を売ることで原価と小売の差としてのGDPが生まれる。
原価を50%だとすれば輸入した商品を小売したときに輸入商品と同等分の付加価値が生じたことになるわけだ。
その他にも内需産業や公務員に金が回ることで、GDPは増幅しギリシャという国のGDPができている。
もちろん、これは他の国でも普通のことなのだが、輸出が何もなければギリシャとしての付加価値は何かという話になる。

極言すればギリシャは国が借金をし、それを国民が山分けをして暮らしていただけだ。
政府が外国から借金できなくなれば、国民は生活できずGDPは0に近づいてしまう。

2009年の財政赤字が10%を超えていることは、ギリシャ政府が支出をまだ減らしていないことを示している。
EUの監視の目が厳しくなって2010、2011年と減らし始めたのだろうが、国民はまだ消費をしている。
だから経常収支の赤字は10%近辺のままであり、GDP自身も大きく減っていない。

ギリシャの経済成長率の推移

消費には慣性がある。
またユーロに加入して経済が好調だったということでギリシャ国民はかなりの貯蓄をしているはずだ。
その貯蓄を吐き出しているから、消費は大きく減らず、GDPも大きく減ってはいない。
けれども、財政支出を大きく減らせば、他に収入のあてがほとんどない以上、消費は減るしかない。
つまりGDPはさらに大きく減るのだ。
税収はGDPと比例するから、財政赤字のGDP比は拡大し始める。
結局ギリシャの緊縮政策の努力は徒労に終わるかもしれない。

ギリシャはどうしたらいいのだろうか。
輸出が増大して経常収支の赤字が消すしかない。
そうならなければEU全体にとってギリシャは永久にお荷物ということになる。
輸出を増やすためには、賃金が大幅に低下させ外国から投資をしてもらえるようにするしかない。
それと輸出を伸ばすために害となる規制を撤廃することだ。

ではどのくらい賃金は下がるべきなのか。
ユーロ圏に入ってから生産性の上昇がほとんどないとしたら、賃金はそこまで下がるべきだろう。
1998年から2008年でGDPは大体倍になっているので、元に戻るとしたら賃金は半分に下がるしかない。

急激に下げるのはきついから、緊縮政策を緩めるという妥協もありえる。
しかし、それでは経済が反転する底が全然見えないだろう。
そしてEUとの合意はまだまだ甘い。
GDPの縮小を十分見込んでいなければ、財政収支がバランスするのはさらに先になる。
緊縮政策はさらに続くことを考えれば、ギリシャ嫌でも合意したことを守っていくしかない。

政治家は決断することが望まれる - ギリシャのユーロ圏離脱は不可能だ(その6)

2012.05.17 Thu

20:19:44

鳩山元首相が沖縄で謝罪「今も『最低でも県外』という気持ちだ」、とのたまう。
このおっさんは一体何を言っているのだ。
総理大臣でも問題を解決できなかったのに、いまさら何を言っても意味がない。

普天間基地移転問題が難しいことはわかる。
単純に考えれば県外への基地移転と日米安保維持という相容れない二つの選択肢があって、その選択をどうするかが総理に求められていた。
単純に考えすぎかもしれない、二つの選択肢の間のどちらを選ぶのかではなく、両方を満たす解を探すのが政治ともいえる。
ただそれは茨の道であって、リーダーは自分で頭を使って両方の妥協点をなんとか見つけなければならない。
鳩山元総理の方法は選択を避け、かといって妥協点を必死で見つけようとするのでもなかった。
自分で勝手に期限を切って、辞任したのは自業自得といえる。

二つの選択肢を単純に選ぶことができず、迷うのはある意味当然だ。
なんとか両立させたいと考えるのも人間として仕方がない。
しかし、政治家はそれに解を与えて決断していくのが使命のはずだ。
どうにもならなくなって逃げ出したのは仕方がないとしても、その問題を解決しなければならない後の政治家の負担になるようなことを言うべきではない。

もし本当に県外移転しかないと考えていたのだとしたら、日米安保条約廃棄まで視野に入れて行動すべきだった。
でもどうみてもそれほどの使命感はなかった。
鳩山氏は不幸そうな人がいたらそれに同情して、全体のことを考えずに行動する単純な人だけだ。
単なるお金持ちだったらいいとしても、政治家としては失格であり、ルーピーと評されるのは当然だ。

ギリシャ問題のことを考えてみると、二つの選択肢が迫られている。
緊縮政策とEUからの離脱だ。
ギリシャ国民のほとんどは両方ともいやだと思っている。
だから、両立が可能だと主張する急進左派連合が支持を伸ばしているのだ。
問題は急進左派連合が政権を取った後だ。

両立が可能だと主張しても、EUからどちらかを選べと迫られれば決めなくてはならない。
責任ある政治家ならば、つまり鳩山氏みたいな政治家でなければ決断することができるはずだ。
どちらを選択するかは、EUからの離脱は緊縮政策よりもっと被害が大きいのだから答えは自明に見える。
価値観によって選択が分かれるわけではない。

意味があるのだとしたら、チキンゲームの戦略だけだ。
ギリシャにとって緊縮政策は-100、EU圏からの離脱は-500としよう。
EUにとってギリシャの緊縮政策は-100、ギリシャのEU圏からの離脱は-1000といった感じだ。
だからEU側にとってもチキンゲームを挑まれれば妥協したくなる気持ちもあるだろう。
それだけがギリシャ国民のチャンスだからだ。
しかし、それを受け入れることはいつまでたってもギリシャのわがままに付き合わされることを意味する。
そしてギリシャのわがままを認めれば、他のスペイン、イタリアにも認めざるを得なくなる。
そんなゆとりはEUにないだろう。
少なくとも、ドイツの政治的には。
迷ったときは原則に立ち返るしかない。
借りた借金を返すのは当然という原則にだ。

第一次世界大戦はどの国の政治家も望んでいなかったのに、誰も止めることができず突入してしまった。
その理由の一つは第一次世界大戦がどのような結末をもたらすのが予測できなかったことにある。
ギリシャのデフォルトも同じようなものだ。
どれほどの被害を世界にもたらすのか、はっきりしたことはわからない。
はっきりしているのは、ギリシャの被害がより大きくなるだけだ。
鳩山氏ほど無責任な政治家でなければ、理性ある選択ができると信じたい。

ユーロ相場はどうなるか - ギリシャのユーロ圏離脱は不可能だ(その5)

2012.05.16 Wed

20:23:38

ギリシャのユーロ圏離脱はないが、ギリシャ政府がユーロ圏離脱を言い出す可能性はある。
その場合、ユーロ相場はどうなるだろうか。

普通に考えれば当然ユーロ安のはずである。
けれどもユーロ高になると予想する人もいて、考えてしまった。

取り付け騒ぎが起こった ギリシャのユーロ脱退の噂で

本文の方は大部分同意できるのだが、最後の方で少し理解できなくなってくる。
前にも書いている通り、政治情勢の本命はギリシャ左派連合が勝利するけれども、緊縮政策回避だ。
ギリシャ左派連合はユーロ維持、緊縮政策破棄を主張しているが、この二つの政策は両立しない。
EUの各国はギリシャのわがままを認める可能性は少ない。
もっともフランスの選挙で非緊縮政策派が勝っていることもあるので、部分的な妥協が図れる可能性はある。
ドイツがEU各国の反感を抑えようと、援助を幾らか増やす可能性だ。
しかし、選挙情勢のことを考えるとメルケル首相もそんなに妥協はできない。
前の合意とほとんど変わらない条件であることは間違いないだろう。
前の条件の変更ではなくて、新しい取り決めを追加する形でだ。

でも大きな条件は前の交渉が相当な難交渉だった以上変更はできない。
緊縮政策は継続しかない。

だから、ギリシャ国民が支持する政党を翻意して、緊縮派の政党に投票する可能性は少ないけれど、非緊縮派が緊縮派に変われば全然問題はない。

さて一番わからない部分は次である。

引用開始

最後に、若しギリシャがユーロを脱退し、新ドラクマを採用した場合、たぶんユーロは大暴騰します。それは一瞬にしてドイツを大不況に陥れるでしょう。
引用終了

一時的にであれ、ギリシャがユーロ離脱を宣言すれば事実上ギリシャ企業のほとんどがEUの取引で破綻に追い込まれる。
ギリシャのユーロ建ての借金が大幅にこげつくのと同意のはずだ。
それは他の周辺国、アイルランド、ポルトガル、スペイン、イタリアへの不信感を強める。
そこへの資金は当然引き上げようと考えるのが普通のはずだ。
周辺国の国債を売る所も多くなる。
換金したユーロ資金をどうするか。

考え方は二つ。
ユーロ自身が信用できないから他の信用できる通貨、ドル、円、ポンド、スイスフランに換金する。
この場合ユーロを買った方はその資金の運用先をどうするかという問題が出てくる。
もう一つはユーロでもっとも信用できそうな資産、ドイツ国債に変換することだ。

実際ドイツ国債の価格は上昇し、周辺国の国債の価格は下落している。
ドイツ国債の需要はすさまじく、金利はマイナスに突入しているのだ。
とにかく安全な所に預けられるならば、その分の損を甘受する向きが多くなっている。

ユーロから逃げ出す資金が多くなればユーロ安になる。
裁定取引に使われているだろうドイツ国債の金利が下がっているということもユーロ安を導く。

それでは、この流れはギリシャがユーロを脱退し、新ドラクマを採用すると変わるのだろうか。
短期的にはデフォルトを嫌って、逃げ出す資金が多くなるとしか思えない。
それはユーロ安だ。
中期的にはギリシャが悲惨な状態になることでユーロ圏の脱退が不可能だと各国が確信し、その結果のユーロ安はなくなりそうだ。
もっとも緊縮財政を求められている各国の国債が安定するかは別問題だろう。

そういうわけで考えてみたけど、ユーロ高になる理屈がよく見えない。
EUが成長政策に切り替わる可能性もある。
ただ財政政策の発動は難しい。
実行するとしたらECBの金利の切り下げだろう。
これは緊縮政策によって経済圏が縮小している国の景気にはたいした影響があるとは思えない。
スペインやイタリアの株式市場が良くなるとは思えないという意味だ。
意味があるとしたらユーロ安によって景気がまあまあのドイツだ。
金利を下げればユーロ安の可能性は高まる。
ドイツは輸出も増えるし、利益も増える。
金利が安くなればそれらと相まって設備投資も増えることだろう。
ドイツ一国の景気が良くなることでユーロ圏全体の景気が良くなれば、ユーロ高の可能性はある。
でもそれはずっと長期の話だ。
ユーロ高は先になると思う。

ギリシャ情勢の今後 - ギリシャのユーロ圏離脱は不可能だ(その4)

2012.05.15 Tue

20:19:55

同じことを何度も書いている気がするが、あまり気にしないようにと考えを改めた。
繰り返し書けば文章が少しましになってわかりやすくなるのではと思う。

そういう訳でまたまたギリシャ問題だ。
JBPRESSでギリシャの選択肢の議論が出ていた。

今デフォルトするか後でするか、それが問題だ
ギリシャに残された4つの選択肢


選択肢は現状の緊縮政策、緊縮政策は続けるけれどプライマリーバランスを回復したらデフォルト、直ちにデフォルト、ユーロ圏から離脱の4つだ。
書いている人は2番目を推薦しているみたいだけれど、ギリシャ情勢は3番目を選択しようとしているように見える。
この道筋はどうなるだろうか。
記事の中では次のように予測している。

引用開始


 第3の選択肢は、SYRIZAのアレクシス・ツィプラス党首が示した道筋だ。同氏は、ギリシャが即刻、今のプログラムを撤回し、一部の改革を覆し、残っている対外債務についてデフォルトの可能性を検討することを望んでいる。そうしてもユーロ圏からの離脱にはつながらないとツィプラス氏は主張する。EUは、はったりをかけているだけだと同氏は言う。

 後者については、筆者はツィプラス氏が正しいという確信を持てない。ただ、それを言えば、間違っているという確信も持てない

 ギリシャが一方的にプログラムを撤回したら、どうなるのだろうか? まず、EUがギリシャ向けの融資を打ち切る。次にギリシャはすべての対外債務についてデフォルトする。

 だが、プライマリーバランスが赤字なため、ギリシャは今以上に大規模な緊縮プログラムを実行しなければならない。ギリシャがまだユーロ圏内にとどまることを望んでいると仮定して、他国が離脱を強いることはできるのか?

 欧州の条約には、ユーロ加盟国が単一通貨から離脱する条項がないし、どこかの国を追放する条項も当然ない。条約は、EUの通貨はユーロであるということも定めている。

 理論上は、欧州中央銀行(ECB)はギリシャ国債を担保として受け入れることを拒める。緊急流動性支援の要請を拒むこともできる。そうなれば、ギリシャは「自発的に」ユーロ圏から離脱せざるを得なくなる。だが、これは信じ難いほど敵対的な行為だ。

引用終了

この予測でよくわからないのは、次の二つだ。
1. "ギリシャがまだユーロ圏内にとどまることを望んでいると仮定して、他国が離脱を強いることはできるのか?"
2. ”ギリシャは「自発的に」ユーロ圏から離脱せざるを得なくなる。”

1番目が疑問なのは、他国が離脱を強いることはできるのかと、EUはギリシャをユーロ圏から追い出したいと考えていることを前提にしている点だ。
EUはギリシャを追い出したいのだろうか。
ドイツはギリシャに財政援助をするのは嫌がっているみたいだけど、別に追い出したいとは思ってないだろう。
ギリシャがユーロ圏に留まっていると、自然に出ていってしまう財政援助がある。
それをドイツは止めたがっているけれど、ギリシャがEUに協調しているとそうはいかない。
だから、いろいろともめたけど、なんとかギリシャとの間で支援のための合意をまとめたわけだ。
ギリシャがそれを反故にすれば、ドイツもそれを守る必要はなくなる。
だから、ギリシャのユーロ圏離脱を強制する必要はないはずだ。

2番目が疑問なのは、ギリシャがユーロ圏から離脱せざるを得なくなる部分だ。
私が前の記事で述べたように、ギリシャのユーロ離脱は不可能に近い。
新通貨の導入は直ちに経済システムの崩壊を招く可能性が高いからだ。
実行しようとしても途中で断念する可能性の方が強い。
そして、ギリシャのツィプラス党首がユーロ圏の離脱を主張していないのだから、離脱しないと考える方が普通ではないか。
EUとの合意を破れば当然報復的な行為が行われることも当然だろう。
欧州中央銀行(ECB)がギリシャ国債を担保として受け入れるのを拒むことや緊急流動性支援の要請を拒むことが、なぜ問題になるのかがわからない。
当然の措置に思える。

私の考えるギリシャ情勢の今後は次のようなものだ。
ギリシャは再選挙となり、急進左派連合が勝利する。
急進左派連合は緊縮政策を拒否してデフォルトに向かう。
EUは一時的にギリシャとの経済上の取引を凍結することによってそれになんとか耐えようとする。
ポルトガル、スペイン、イタリアなどもパニック的状態に陥る可能性もあるが、なんとかなる。
ならない可能性もあるけれど、それは突入するしかないだろう。
そして、ギリシャではデフォルトによって大混乱が発生し、輸入がほぼ断絶するだろうから、必要な物資が届かなくなり、国民が危機的状況に陥る。
そこで政府は自分の誤りを認め、EUとの合意に戻り、緊縮政策を続ける。

ギリシャがデフォルトすると大恐慌の再来もありえるかもしれないが、ユーロの解体はありえない。
それが私の結論だ。

続々:ギリシャのユーロ圏離脱は不可能だ

2012.05.14 Mon

19:58:42

続:ギリシャのユーロ圏離脱は不可能だについてコメントをいただいたので、その回答です。

引用開始

経済危機にあって、独自通貨でダメなところもあれば韓国のように速やかに回復し、それどころか財務基盤を大幅に強化した国もありますね。
最近の例ではアイスランドは独自通貨のおかげで急回復です。
引用終了

経済危機が発生した時に回復しない国の方が少数派ではないかと思います。
たいていは、IMFが来て問題点の改革を強制的に行い、賃金を切り下げることによって、正常というかある程度の回復をすることができます。
私の主張はそれらの改革は別に独自通貨だから、できるわけではないということです。
賃金を下げ、ボトルネックになっている問題を改革すれば、経済はほぼ確実に良くなるはずです。
危機的状況では、首切りが横行し、国民の生活は苦しくなっています。
その状況では雇用が守られるならば賃金の切り下げは簡単にできるはずです。
実際韓国の場合は経済危機でレートがどんどん下がっていき、IMFに助けを求めた時点が底でした。
IMFによる改革が行われていくことでレートは元に少しずつ戻っていきました。
ギリシャの場合も賃金を切り下げていけば、経済は好転するはずです。

引用開始

ギリシャが同様にいくかどうかはわかりませんが、いかないと決めつけた上での論調は賛成できません。 
引用終了

ギリシャのユーロ圏離脱というのは、主張している人は多いけれど具体的にどうやるかがちっとも見えません。
昨日日経ヴェリタスに、ロンドンのブックメーカーでギリシャのユーロ圏離脱の賭けが成立しなくなった、と載っていました。
ユーロ圏離脱に賭ける人が多すぎたせいらしいです。
不思議に思うのはユーロ圏離脱というのをどう判定するかです。
実際に実行しようとすれば、経済的法律的に難しい問題が山ほど出そうです。
ユーロ圏離脱を言い出している人はどういう仕組みで実行するか考えているのでしょうか?

ユーロから独自通貨への変換はできるとは思えません。
別記事で書いていますが、ユーロからドラクマへの変換は価値がある本物のお金から、価値がなくなるであろう偽のお金への変換です。
過去に成功した通貨の切り替えは、インフレによって価値が減少しまくって、経済活動自体がうまく動作しなくなっている場合に、確固とした価値を持った通貨を導入したから成功しています。
ドイツのハイパーインフレは土地に価値付けした通貨によって収まりました。
ジンバブエのハイパーインフレはジンバブエドルを放棄して、結局ドルがそのまま流通することによって一応正常に動くようにはなったみたいです。
ギリシャで実行しようとしていることは逆です。
安定した価値を持った通貨から安定しない価値を持った通貨に変換するなど、常識を持った人間が受け入れるわけがありません

引用開始

実際問題、ユーロにいて危機的状況になっているのです。そしてこのままユーロ圏に留まってもお先真っ暗だからこそ離脱が検討されるようになったのではないですか。
引用終了

ギリシャがユーロ圏に留まってもお先真っ暗に見えるのは、単純に賃金の切り下げが弱いからです。
ユーロからドラクマに切り替われば、少なくとも半分に下がるといいます。
つまり賃金は5割引ということです。
第二次緊縮合意では標準最低賃金は22%カットとなりました。
たぶんこれでは小さすぎるのです。
もっとカットの幅を大きくすれば、経済情勢は好転します。

独自通貨とユーロをそのまま使う場合の違いは、独自通貨ならば賃金や年金を危機に乗ずれば幾らでも下げられるということです。
それは大部分の国民の利益を資本を支配する人間に渡すということです。
現在のユーロの通貨の場合、少しずつしか賃金は下がらないので、暗い状況は続きます。
一気に下げて少しずつ戻していく方が経済活動としては良くみえるでしょう。
でもギリシャ国民にとってその方が得かは疑問です。
少なくとも、弱い層、年金や貯蓄にに頼っている老人などは、一気に下げると死にます。

とにかく独自通貨への変換は不可能だから、地道に賃金を下げていくしかないと考えます。

続:ギリシャのユーロ圏離脱は不可能だ

2012.05.12 Sat

20:27:14

ギリシャのユーロ圏離脱騒ぎについて、もう少し述べておきたい。
ギリシャの現在の苦境はユーロという共通通貨を使用しているからであって、独自通貨のドラクマを復活すればうまくいくという意見がある。
主流派の経済学者の主張だが、おかしいとしか思えない。
ドラクマ自体の復活が無理だと思うのだが、復活できたとしても経済が順調に回復するというのが納得しがたい。
すでにギリシャ経済は深い危機にある。
その危機を回復するための努力は、為替レートが変動するかどうかはたいして変わらないはずだ。
通貨の自動調整機能で努力がいらないかのように表面を糊塗してはいけない。

独自通貨ドラクマが復活すれば、通貨の自動調整機能によってドラクマは切り下げられ輸出が増大して経済は成長するというのが、経済学者のご託宣だ。
本当にそうなら、独自通貨の国で数々の経済危機が起こっていることをどう説明するのだろうか。
アジア、ロシア、南米の通貨危機は独自通貨だからといって、経済危機は防げないことを示している。
それらの危機は一時的なもので、独自通貨なら速やかに経済は回復すると経済学者は言うかもしれない。
だけど、経済の回復は資産を外国資本にのきなみ奪われ、大幅に生活水準が低下した結果だ。
経済の回復に時間がかかっても、貯蓄で暮らしている人たちが普通に生活できる方がずっといい。

為替の切り下げによって相対的に賃金が下がれば輸出は増加する。
同時に切り下げは輸入品の価格を上昇させる。
つまり賃金の切り下げを面倒な労使交渉なしに実行できるのが、独自通貨の最大の魅力というわけだ。
そういう国はどうなっているだろうか。
たいていはひたすらインフレが進行して、稼いでも稼いでも暮らしは楽にならない。
南米の多くの国はそうではないのか。
最近はちょっと違うけど、バブルによる世界景気の上昇の面が大きく、その点ではギリシャも同じだ。
バブルのつけをギリシャが一番早く払っているのであって、他の国も油断はできない。

本来的に経済の成長を図るならば、通貨の価値は固定している方がずっといい。
収入が増えれば生活が良くなる。
そういう単純な世界の方が人間にとってずっと計画をたてやすくなる。
インフレによって長時間働いて生活が良くなるがわからない社会よりずっといい。

ユーロが維持されている状態だと、賃金は簡単に下げられない。
つまり国民から政府が簡単に金を盗むことができない。
けれども独自通貨だと、政府はインフレを起こすことによって簡単に金を盗むことができる。
税金よりも簡単なわけだ。
そして多くの国がインフレを発生させると経済が成長できず、ずっと停滞した状態のままとなる。
成長するためには、通貨の価値ができるだけ固定してあった方がいいに決まっている。
ゆるやかというか、サービス価格の上昇はあった方がいいのは否定しないが、政府はできるだけインフレにならないのを目指すべきだ。
そうではないと、最終的に国民の金を盗む誘惑に耐えられなくなる。
最近の例だとジンバブエというわけだ。
国民からインフレによって金を盗みまくり、経済システム自体が破綻してしまった。

今ギリシャに独自通貨を復活させることは、ほとんどそれと同じことだ。
輸出入の不均衡が解消されなければ、為替レートは大幅に切り下げられる。
賃金、年金の価値は大幅に目減りするが、それを増やさない誘惑に耐えられるのか。
怪しいものだ。
それができるならば今の緊縮政策だって実行できる。
今の生活が苦しい。
だから少しでも暮らしが楽になるように一抹の希望をかけたのが今回の選挙結果ではないのか。
政府は公務員の賃金、年金の支払いのために支出を増やし続ける。
それは間違いなくインフレの道であり、経済システムの破綻だ。

今の生活が苦しくても我慢しなくてはならない。
経済を再建するために、賃金の低下を受け入れなくてはならない。
そのなんていうか、当然の努力を砂糖にくるんで、通貨の自動調整機能に逃げようとする意見は間違っている。

どうもうまく文章がつながらない。
書きたいことが大幅にずれてしまった。
当初の意図は平価の調節による賃金の切り下げも、実際の交渉による賃金の切り下げもほとんど同じことを証明したいと思ったのだが、どうもうまくいかない。
それを悩んでいるといつまで経っても文章が仕上がらなくなるので、あきらめた。
同じ内容でもいいから書き続けることで、この能力不足から脱せればと思う。
いつもそんな風に思っているだが、段々とやる気がなくなってしまうのが不思議だ。