異をとなえん |

ユーロ圏の危機は世界恐慌を起こすか?

2011.11.09 Wed

21:12:11

ユーロ圏からくるニュースが悪化を続けている。
ギリシャからイタリアに国家の債務問題が飛び火して、不安心理がさらに高まっている。
イタリアの10年債の金利は6%を越え、危険水域と呼ばれる7%に近づいている。
どのくらいの金利が本当に危険なのかは、よくわからないが、市場で危険と判断されてしまうと普通の状態で投資する人がいなくなってしまう。
イタリア国債も7%を越えてしまうと、誰も投資する人がいなくなってしまうだろう。
イタリア国内の金融機関だけは、政府のなんらかの制約から投資しても、イタリア国外の資金が流れてこない。
イタリアが経常収支の赤字国である以上、資金が流れてこなくなれば金利は上がるしかない。

世界恐慌の発生の危険は高まっているだろうが、状況はどうやって改善できるのだろうか。
前提として、アメリカのサブプライムローンの破綻から、世界経済全体をみたとき、資産の価格が大きく暴落していることを理解しなくてはならない。
資産の価格が下落するということは、経済全体が縮小することを余儀なくされるのだ。
サブプライムローンによる金融危機があっても、世界全体のGDPはリーマンショック前の状態に戻りつつあった。
あるいは、ほぼ戻っていた。
世界全体の総需要が減っているだろうにも関わらず、GDPが戻ったというのは、国家が政府支出によって需要を追加したからである。
けれども、国家が政府支出によって需要を追加できる国は、基本的に経常収支がプラスの国だけである。
国家は経常収支の黒字分を暗黙の保障によって、借金をすることができる。
けれども、それ以上の金額を支出する場合は普通の組織と同じである。
これはドイツも政府の負債がそれなりにあるのに、金利が他の国に比べて極端に低いことからも明らかだろう。

世界経済が縮小をせざるを得ず、世界に不均衡が存在する以上、弱い鎖の部分から切れていくのは当然のことだろう。
弱い鎖とは経常収支が赤字で国家債務の負担が大きい国である。

世界がリーマンショックのような金融機関の突発的な崩壊による経済危機を起こしたくない以上、弱い部分を補強しながらなんとか維持していくしかない。
ギリシャやイタリアのような国に対する資金援助が必要なわけだ。
けれども、金を返せなくなる以上、実行すべきことは政府支出を削減して、経済の縮小均衡を図ることだけだ。
ギリシャはリーマンショック以降ずっとGDPは縮小を続けている。
つまり、国民の所得が高すぎた。
それを均衡させるには、国民所得を大幅に引き下げるしかない。
イタリアも同じだ。
イタリアもIMFの監査を受け入れる以上、経済を縮小させて均衡を図るしかない。
それは当然全世界に広がっていく。
世界経済全体の縮小均衡が要求されるわけだ。

これは世界恐慌を招くだろうか。
楽観的観測ではあるが、私はリーマンショックのように急激な縮小は起こらないと考えている。
リーマンショックは当然存続するだろうと考えていた金融機関が崩壊することで、金融機関が互いを信頼できなくなり、金融取引がほぼ止まったことによって起こった。
金融取引が止まったことで、貿易金融も止まり、貿易も止まり、世界の全ての貿易金額が急激に縮小した。
今回はそれほどひどい事態になるとは思わない。
イタリア国債の秩序あるデフォルトが発生するような最悪の事態でも、イタリアの銀行には資金を融通して倒産だけはさせないだろう。
基本的にはECBが資金を融資することで、それはなんとかなる。
ユーロ圏自体では経常収支は均衡状態なのだから、資金の手当てもなんとかなるだろう。
基本的にはドイツの金だろうが、イタリアに直接貸し出すことは嫌ったとしても、イタリアの金融機関を支配に収める変わりに資金を出すことは受け入れるはずだ。

一応以上のような理由から、リーマンショックみたいな突発的収縮は避けられて、日本みたいなゆっくりした不況になるというのが、私の予想だ。

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