異をとなえん |

なぜ、中国は今回の衝突事件でかくも怒っているのか?

2010.09.29 Wed

04:36:59

尖閣諸島衝突事件で日中の対立が激化している。
日本人の感覚から見ると、なぜ中国がかくも怒っているのか、わからない。
理性を完全に逸しているように見える。
首脳同士の会見の拒絶、日本への観光旅行の停止、レアアースの輸出停止、そしてスパイ容疑での4人逮捕と、ありとあらゆる手を打ってきた。
それは、温家宝の宣言した新たな行動が形構わずであり、中国が追い詰められていることを物語っている。

参照:中国漁船衝突:温首相「即時釈放を」 対抗措置にも言及 - 毎日jp(毎日新聞)

引用開始

中国漁船衝突:温首相「即時釈放を」 対抗措置にも言及

 【北京・浦松丈二】沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)付近で中国漁船と日本の巡視船が衝突し
た事件で、中国の温家宝首相は21日夜、国連総会出席のため訪れたニューヨークで在留中国人らと
懇談し、逮捕された中国人船長の即時かつ無条件釈放を日本側に要求、応じないなら、新たな対抗措
置を取ると警告した。中国首脳レベルが事件に言及するのは初めて。首相自ら抗議したことで対日批
判が強まる恐れがある。

 新華社通信によると、温首相は「釣魚島は中国の神聖な領土だ」と主張し、船長逮捕について「完
全に違法、理不尽であり、船長とその家族を深く傷つけ、国内外の中国人すべての怒りを巻き起こし
ている」と日本側を批判した。

 温首相はさらに「日本側に直ちに無条件で船長を釈放するよう強く促す。日本側が独断専行するな
ら、中国側は新たな行動を取る。その深刻な結果について、日本側はすべての責任を負わなければな
らない」と新たな対抗措置を予告した。

 一方、日中関係については「日本政府は誤ったやり方を直ちに改め、正常な関係発展の軌道に戻す
べきだ。これは両国国民の根本利益だけでなく、平和と協力という世界の潮流にもかなう」と訴えた


 ニューヨークでの国連総会には菅直人首相も出席するが、中国側は「現在の雰囲気は会談を行うに
はふさわしくない」(姜瑜・外務省副報道局長)と首脳会談見送りを発表している。温首相はオバマ
米大統領とは23日に会談を予定している。
引用終了

中国政府の取った措置は短期的には日本に打撃を与えるものだろうが、長期的には中国にも害を与える。
いや、短期だってそれほど中国に得ではない。
それでも、日本に打撃を与えて、釈放を手に入れるためにはいかなる犠牲を払うつもりだったのだ。

どうして、そこまでしなくてはいけないのか。
その理由は、領海法に求められる。
1992年に制定した領海法で尖閣諸島は中国領と規定している。
自国の領海内で自国の船を他国に持っていかれて黙っている国がどこにあろうか。
東京湾で中国によって日本の船が捕獲された場合を想定して欲しい。
日本だって全面的に反撃するだろう。
中国側の理屈から言えば、日本の漁船の捕獲はこれと同じことなのだ。
けれども、日本の場合は当然国連の安全保障理事会に提訴するとか、国際社会の応援を得るための努力をするだろう。
東京湾で外国が日本船の捕獲をすれば、領土の侵略なのは誰でもわかる。
それを中国ができないのはなぜだろうか。

もちろん、尖閣諸島の中国所有の理屈がおかしいからだ。
日本の主張をくだくだ述べることをしないが、私には日本の主張の方がずっと正しいように見える。
それを中国も知っている。
だから、国際社会に訴えて和解を求めるようなことはできない。

国際社会の理解は得られないのに、領海法を守ろうとすれば、戦争を起こし勝つしかない。
はっきり言って、中国は戦闘を開始しなければならないほど追い詰められていた。
たぶん、ベトナムやフィリピンだったら実際に仕掛けていた可能性が強い。
しかし、深い検討はしないけれども、中国が日本と尖閣諸島近辺で戦う場合、日本の方が有利だろう。
アメリカが支援に来る可能性を考えると、中国としては勝ち目がないと考える方が普通だ。

そうすると中国としては完全に手詰まりなのだ。
そこで悲鳴のような温家宝の発言があり、無茶苦茶な日本への圧力がやってくる。

しかし、尖閣諸島に侵入した場合の逮捕は前にもある。
その時はこれほどひどくなかったはずだ。
何が違うのだろうか。
基本的には共同で支配しているという虚構の維持なのだろう。
いや、日本にとっては日本が尖閣諸島を支配しており、人の配置などしないのは中国のことを考えた自主規制の結果でしかないと思っている。
これはたぶん中国も同じなのだ。
中国も中国が尖閣諸島を支配している意識を持ち、中国国民に上陸させないのは中国が日中関係に気を使った結果だと考えているのだ。
実際には尖閣諸島の領海は日本が支配しているが、その辺は微妙にごまかしておく。
だから、中国国民が積極的に島々に上陸するのは、日中の暗黙のルールを中国側として破ったことになる。
その意識が反発を控え目にさせた。

今回は違う。
中国の漁民を日本が逮捕して拘留するのは、その共同支配という暗黙のルールを破ったことになる。
日本からしてみれば、共同支配など認めてないだろうが、互いが単独支配と自主規制しているという幻想を抱き続ければ平和は守られていた。
実際に自民党政権では中国との間に、逮捕者を出さない暗黙の了解が成立していた可能性がある。
谷垣自民党総裁が、漁船の船長を逮捕せずに追い返すべきだと発言したのは、その事情の一端を示している。
民主党政権は結果的にその暗黙の了解を壊してしまった。
その瞬間に中国政府は窮地に立つことになった。

中国側のなりふり構わぬ行動によって、船長の釈放だけは勝ち取ることができた。
けれども、日本側の世論は沸騰しているし、中国側の世論も沸騰している。
中国は領海法がある以上、日本に謝罪と賠償を求め続けるしかない。
中国は日本と和解することもできないし、かと言って対立を激化させることもできない。
実際日本が尖閣諸島に人を配置するようなことになれば、中国にとっては致命的になる。
国内的には日本に強硬姿勢を取っていることを示しつつ、日本にはスルーして欲しいと思っているはずだ。

中国共産党は共産主義という無謬性のイデオロギーを有している以上、他の決定がそれを覆すことはできない。
日本だったら領土問題でもめたとしても、国際司法裁判所に提訴して、その決定に従うことができる。
中国は違う。
資本主義の国の巣窟である国際司法裁判所が正しい決定を下すわけがないと、共産主義者なら断定する。
だから、最終的には力以外にしかより所がない。
領海法が尖閣諸島を中国領としているのだから、それを覆す行為はすべて中国への侵略行為となる。
侵略に対しては戦うしかない。
戦いもしないで逃げれば、戦時逃亡だ。
中国政府首脳はみんな死刑となる。
だからと言って、戦っても負ければ、敵の侵略行為を事前に予測できず、無能だったことで責任を取らされることになる。
けれども中国には政権交替のメカニズムがないのだから、その後は混乱だけだ。
共産党政権崩壊が起こっても不思議ではない。

中国側の事情はこう理解した所で、日本がどう対応すべきかについては次回に書く。

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