異をとなえん |

安倍政権の公務員制度改革

2007.04.02 Mon

23:53:25

安倍政権が人材バンクといって全省庁での官僚の再就職の斡旋を一元化しようとしているが、小手先の制度改革としか思えない。

小手先と捕えるのはなぜか。 まず、全省庁で一元化しようとするのは官庁にいた時に関連した業界には再就職させない意図があるのだろう。しかし、今までの自分の仕事と関係のない分野で、だから知識もコネもない状態で役に立てる人間がどれほどいるのだろうか。官僚たちも、自分の知っている分野だからやっていける人がほどんどではないか。結局、知らない分野に行った人間は当人も会社も苦労して得ることが少なくなる。

また、人材バンクには十年、二十年と言った経験をきちっと評価する事はできない。それだけの長さをつきあってきた人の方が、より良く活躍できる分野を紹介できるだろう。

そして、就職の自由が存在する以上、人材バンクなどが嫌だと思えばその人は独自に就職活動をするだろう。そういう官僚は自分のコネで関連する業界に再就職してしまう。その場合、人材バンクを経由しないで再就職したのだから仕方がないですむのだろうか。人材バンク構想の失敗だと批判されないだろうか。

そもそも、なぜ官僚の再就職や天下りが問題なのか。

一番問題がありそうなケースは次のようなものだろう。公共工事を受注させるのをエサにして、無能で役に立たない官僚を民間企業に再就職させる。企業は働きもしない人間を雇い、その分の費用は公共工事費の中にもぐりこませてしまう。そして企業自体も大儲けをする。国民の税金が企業に盗まれているようで実に不快だ。

私的には全然問題ないのだが、問題だと考える人がいるようなケースもある。新しい産業が必要だと説得して回り、実際にその企業を設立してしまうような場合だ。戦前の渋沢栄一は第一国立銀行の設立を官僚として指導し、官僚をやめた後頭取になっている。村井純も毎日新聞の記事で叩かれているが、インターネット関連の企業の発展に尽力して、それらの企業に投資している。官僚として必要だと思うから、その産業の発展に尽力し、必要であれば企業を設立する。この場合、産業育成政策が正しいかどうかを論議するべきであって、再就職自体は小さな問題としか思えない。

また、この中間的な一番普通そうなケースもある。許認可権限がある官庁のパイプ役としての再就職だ。省庁がある政策を打ち出した場合、それがどこまで本気なのか。大臣が主張しているだけで、官僚たちはやる気がない場合もあるのではないか。これらの情報はその省庁と密接に関連している企業にとっては重要な情報であり、その情報が取れる官僚の再就職は歓迎する。この場合の官僚の再就職の是非は、難しい。腐敗の原因でもあり、社会の潤滑油とも言えそうである。

どうすればいいか。結局、許認可権限があれば企業にとって官庁とのパイプは必要になる。同時に許認可するということは、官庁にとっても企業にその意図を浸透させるためにパイプ役はいた方がいい。この場合問題になるのは、再就職うんぬんよりも、その許認可が本当に必要なのかどうかを判断する事である。許認可がどうしても必要だと判断した場合にはパイプ的な再就職はどうしても発生してしまうと思う。グレイゾーンはどうしてもできてしまうから、あまりこだわっても仕方がない。

同時に私のこの問題に対する対案は、現在も行なわれているであろう地道な作業をそのまま進めるしかない。
・不必要な許認可はできるだけ廃止する。許認可権限がなくなれば役に立たない人間を再就職させるわけがない。
・入札はできるだけ公開入札へ。
・許認可の決定過程はできるだけ公開する。
・官僚が再就職する時には直ちではなく少し冷却期間を設ける。
このぐらいだ。

つまらない結論かもしれないが、結局この問題は難しいのだ。大げさで官僚たちからすれば、自分の人生に大きな負の影響を及ぼす可能性があるのだから反対も強いだろう。にもかかわらず、国民にとってメリットがどこにあるのかよく見えない。ごたごたする割りに成果はない。はっきりとした成果を挙げられない部分に精力を集中している安倍政権の将来を危ぶんでしまう。

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