異をとなえん |

ドイツ国債の金利が低くなる理由 - ギリシャのユーロ圏離脱は不可能だ(その10)

2012.05.25 Fri

20:39:04

ギリシャのユーロ圏離脱騒動でドイツの国債の金利が低下している。
それに対して、スペインの金利は7%近くありドイツとの金利差は最大になりつつある。
ギリシャの金利は20%を超えているみたいだけど、本当かどうかはよくわからない。
誰も信頼しなくなっていることは確かだ。

このような状況に対して、ドイツの国債がそれほど安全なのかとFinancialTimesが疑問を呈している。

[FT]投資家が殺到するドイツ国債は安全か

引用開始

 現在の状況は一部の投資家やアナリストを困惑させている。彼らは、ドイツ政府はいずれ通貨同盟を救う費用を負担し、自国の信用力を損なうと考えているためだ。それでも、ドイツ国債の利回りは一貫して下がり続けてきた。
引用終了

なぜドイツ国債の金利は下がる続けるのだろうか。
最大の理由はユーロ圏内で相対的に一番安全だからだ。
ユーロ圏内自体の成長力が落ちていて、債券の需要が増えているのも、もう一つの理由だろう。

まず、ユーロ圏の成長率が低下しているので、リスク資産の危険性が増している。
そこでできるだけ安全な資産にユーロ資金は逃避している。
ドイツには巨額の経常黒字がある。
その資金は基本的に国内指向なのでドイツ国債に金が流れる。
安全だと思われる。
スペインやイタリアも同じだが、経常黒字でない国では国債資金分外国から投資してもらうしかない。
そのためにもしかしたらと思われる。
現在のように国債すら破綻するような状況だと、外国から資金と取り込むことが難しくなっているので、そのために金利が上昇する。

ユーロ圏の国債の信用性が二つに分化することで、信用のない所から流れ出した資金は信用のある所に流れ込むので、さらにドイツの金利は低下する。

しかし、前の状況よりドイツ自体の信頼性が落ちていても金利が下がるのは不思議ではないのだろうか。
実際ユーロの信用は落ちていてユーロ安になっている。
だがそれは関係ないのだ。
ユーロ自体の信用性が落ちていて、ユーロから他の国に資金が流出していても、ユーロ自体の資金量は減らない。
誰かがユーロを売ってドルを買ったとしても、取引相手がいる以上ユーロを買った人もいるのだ。
ユーロを買った人はそれを運用する必要がある。
そうすると投資先がない状況、あるいは投資先のリスクが高くなっている状態では、一番信用おけるところの金利は下がるしかない。
つまりこの場合ドイツ。

ユーロ圏では国債の信用性は通貨よりも高いとはいえない。
日本国債が最終的には通貨の発行権があることによって守られているのに比べれば、弱くなる。

だからドイツ国債も現金より信頼性が高いといえないはずだ。
ユーロ圏全体の経常収支の赤字が大きく、どの国も経常赤字の場合は全ての国の国債の金利が上昇した可能性もある。
イギリスが経常収支赤字であっても金利が下落しているのと違ってだ。
けれどもドイツ自体は経常収支が黒字なので、ドイツにたまったユーロの資金はどうしてもドイツ国内で運用したがる。
それが相対的に他の国よりも安全な理由だ。

そしてドイツ国債がある意味通貨よりも信頼性が高い理由だ。
国債の信用性より通貨自体の信用性が高い場合もあるけれど、ドイツはユーロ圏から離脱した場合、マルクの方がユーロより信頼できると思われている。
その結果現金並の信頼をドイツ国債は持っている。

ユーロから他の通貨を購入する方法では資金はユーロ圏外には逃げられなかった。
本当に逃避するならば貿易財を購入して送り出すしかない。
このようなケースの場合、ユーロ圏から商品が減少し、相対的にユーロの価値が下落する。
そうすることでインフレが発生し、金利が上昇するのだが、それは先の話だ。

現在ユーロから資金が逃げ出したとしてもドイツはユーロ安を利用して輸出を伸ばしている。
経常収支は増えている。
つまり、ユーロから資金は逃げ出せなくなっている。
それは当然金利下落の方法に働くことになる。

ドイツ国内の銀行の信頼性が落ちているという問題もある。
ドイツ政府がその面倒を見なければならないので、信用力が落ちるというのだが、そうであってもドイツ自体の経常収支の黒字が続き、資金の国内運用指向の強さを考えれば、ドイツ国債の需要はそう簡単には減らない。
日本国債みたいにいざとなったらインフレで逃げる手段は使えないので、たぶんドイツ国債にも限界はある。
しかし、現在程度の対GDP国債比率ならば安全だと市場は考えているわけだ。

以上がドイツの金利が下がり続けている理由だ。
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