異をとなえん |

円安にならなければ景気回復はないのか?

2010.11.16 Tue

00:10:57

円安介入に反対するに質問を頂いた。
回答が長くなったので記事として投稿する。

大学2年氏の質問
引用開始

なるほど!と思った私ですが、もともと円安にしなければならないと思っていました。
しかし、いかに資産を持っていようと内需が7割だとろうと、成長寄与率は外需に、すなわち貿易黒字に依存しているわけですよね。であるならば日本経済を復活させるためにはやはり円安誘導が必要なのではないでしょうか?
もちろん政府不介入が望ましいですが、各国(とくに米中)が自国通貨安にしようと介入している以上日本だけ民間に任せる、というのは甘くはないでしょうか。

ご意見お聞かせ願えればと思います。

引用終了


** 日本経済の復活、あるいは景気回復、あるいは成長率上昇を起こすには円安が必要なのか?

私は不要だと考えている。
2000年代前半の景気回復は、内需が弱いこともあって、輸出に頼っていた。
日本政府による為替介入は、その時だけを見た場合、輸出の促進という意味で効果があったと思う。
その分現在為替差損を抱えているわけなので、日本経済にとって良かったか悪かったか、いまだによくわからない。

内需が弱い理由は、バブル崩壊以後に資産価格が下落し続けたためだ。
1990年度末に約2480兆円だった土地資産は2005年度末まで下がり続け約1220兆円となった。
GDPが500兆円なのに、1260兆円も損をしているのだから、景気が悪くなるのも当然と言えよう。
家計は消費を、企業は設備投資を増やすことができず、需要と供給の間に大きなギャップができた。
そのギャップを輸出で解消することによって、景気が悪くなるのを防いだ。
円安による輸出の伸びが成長寄与率の多くを占めたことはその現れだ。

リーマンショックに端を発っした世界不況は続いている。
バブル崩壊による資産価格の下落が大きな原因である以上、欧米諸国は内需を増やすことができず、外需に頼らざるを得ないだろう。
その点日本は恵まれている。
現在、日本の資産価格は下落をほぼ解消した。
土地価格は世界全体の好景気にも恵まれプチバブル状態になったが、リーマンショックでまた下げた。
ただ、土地価格の下落も止まり、マンション価格も底打ちしたから、今後資産価格の下落は続かない。
それならば、資産価格下落が原因の消費の下降はないだろう。
今日発表されたGDP速報でも、消費は1.1%伸びている。
エコカー減税、たばこの増税や熱暑などによる一過性のものという見方が強いが、私は資産価格の下落が止まりさえすれば、そのぐらいの消費の伸びは期待できるのではないかと考える。
白川日銀総裁の偽りの夜明けという言葉があるように、これが本当の消費回復かどうかはわからない。
けれども、資産価格の下落さえ止まれば、自律的な経済成長が達成できると信じている。
それは円高円安に関係ない。
いや、円高の方が望ましい。
円高になれば価格下落によって消費を刺激できるからだ。
円安で交易条件が悪化すれば、消費に悪影響を与える。


** それでは、各国が通貨安政策を取るのを是認するのか?

各国の通貨安政策が一時的な変動をもたらすのならば基本的に反対である。
たとえば、1ドル80円近辺だと輸出で採算を取れない企業がたくさんあると聞く。
そのため、企業は日本から工場を移すしかなくなる。
この円高が一時的なもので、工場を移転した後、円安になると、移転した企業にとっては採算が悪くなるし、輸入物価が上昇することで消費を減少させる。
その結果、景気に悪影響を及ぼすから大問題である。

しかし、アメリカの量的緩和政策はドル安政策だと世界から批難されているみたいだが、必ずしもドル安を生むとは私には思えない。
むしろ、量的緩和政策を取るとドル安になるという世間の認識が、ドルを安くさせている。
同じことかと思うかもしれないが、世間の認識によるドル安では、それが続いていくことを保障しない。
量的緩和政策によるドル安は、ドルの価値が下落してインフレになるから、他の通貨に逃避しなくてはいけないという認識から起こっている。
けれども、実際に起こっているのはデフレのように見える。
デフレならばドルの価値は低下せず上昇だ。
それはドルから逃避した資金の当てが外れたことを意味し、ゆり戻しが起こり、為替相場はドル高に反転するだろう。
実際ドル円相場は80円を割らずに、ドル高に反転したように見える。
今反転が起こっているのは、偶然ではない。
FRBによる量的緩和政策が最終局面を迎え、もう打つ手がなくなったと見えるからだ。
予想で買い事実で売るという鉄則に従い、投機資金が手仕舞いを開始したのかもしれない。

アメリカの量的緩和政策が本質的なドル安政策でないとしたら、特に問題にすることはないと言うのが私の考えである。
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