異をとなえん |

中国に生じている世界秩序を肯定する力と否定する力

2013.02.18 Mon

21:44:49

日本、中国、韓国、北朝鮮のそれぞれの「思い」という記事を読んで、ちょっと考えたことがあった。
個々の国の思いについてではなく、中国は二つに分けて記述する必要があるのではないかという感想だ。

他の国はともかくとして、中国はその内部が大きく二つに分かれている感じを持っている。
タカ派とハト派、強硬派と穏健派、国内派と国際派のような感じで二つに大きく分かれている。
それに対して、他の国はそれほど二つに分裂している感じを持っていない。
もちろん細かく見ていけば、他の国の内部にも異論はあるのだろうけれど、表面には出ていない。
その理由を考えた所、国の内部を二つに大きく分けている力は現在の世界秩序に対する賛成と反対の力であり、その力が国によってほとんど片方しかないからだ。
北朝鮮は現在の世界秩序から完全に外れている。
だから反対する意味で一つにまとまっている。
それに対して、日本と韓国はだいたい現在の世界秩序から利益を受けている。
その秩序を壊したくない力が主流で反対派はほとんどいない。
韓国については、また微妙な感じを持っているのだが、それはまた別な話だ。
だから一つの思いとして表現できる。

中国だけが異なっている。
中国は現在の世界秩序を維持したい人々と壊したい人々の間の勢力が拮抗している。
だから二つに分けて、思いを表現したい。
そして二つのグループの相克によって国家の決定がなされているので、他の国から見ると極めて矛盾に満ちた行動を取っているのではないだろうか。

現在の世界秩序を肯定する力とは、グローバリゼーションを推進することで利益を受けている力のことだ。
中国は世界から資本と技術を取り入れて、高度経済成長を実現した。
しかし、賃金が上昇するにつれて、そう単純に成長を続けることができなくなっている。
だから低賃金のみを理由して進出した外資は、別の国に移動しようと考えている。
日本で話題になっている、中国プラス1というような話だ。
リーマン危機に端を発した金融危機によって、先進諸国の市場の伸びは止まりつつあり、まだはっきりとはしていないが保護貿易主義的な流れも生まれつつあるようだ。
TPPは中国から見れば明らかに日米が中国に対して国を閉ざそうとしているように見えるだろう。
つまり、中国はグローバリゼーション推進で最大の努力をしてきたのに、その努力を否定されようとすることに不満を抱きやすくなっている。

一方、中国はグローバリゼーションの恩恵を世界でもっとも受けたことは疑いないが、同時にグローバリゼーションの害をもっとも受けているともいえる。
公害の発生がその典型的な例だろう。
中国は二酸化炭素の排出量が世界一になったが、中国の経済成長が理由というだけではなく、汚れ仕事をみんな中国に持っていったからでもある。
低賃金による労働の提供自体は、開発途上国の発展として仕方がないと言える。
しかし、環境汚染の拡大は本質的な意味での先進国からの搾取だろう。
もちろん、中国の自業自得でもあるのだが、今まで精一杯尽くしてきたのに、世界から否定されつつあると思ってもおかしくない。

だから、中国は二つに大きく分かれている。
グローバリゼーションによって恩恵を受けた人々は現在の世界秩序を肯定し、できればそれを守りたいと思っている。
外資と手を組むことで莫大な利益を得ている企業家や官僚が中心になる。
外務省の官僚もその典型だろう。
それに対して、グローバリゼーションによってあまり恩恵を得ることができず、損だけが残ると思った人々は激しく世界秩序を改変したく思い始める。
日本に対して激しく反発する勢力がそれだ。
現在の世界秩序の最下層で努力してきたのに、その努力を否定された思いが世界秩序を破壊したい衝動に変わるのではないだろうか。
彼らの不満を押さえることは難しい。
世界市場が飽和することで、グローバリゼーションを推進する力が弱まっているからだ。

「なぜ中国は戦前の日本と似ているのか?」で投稿したように、現在の中国には戦前の日本と同じように世界秩序を否定したいエネルギーが生まれている。
世界秩序を肯定する力と否定する力の二つの相克によって中国は引き裂かれているのだ。
世界は二つのグループが存在することを前提として中国と付き合わなければならない。
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コンピュータ将棋で入玉に強くなるアイディア

2013.02.16 Sat

22:05:43

コンピュータ将棋は入玉模様の将棋に弱い。
これにどう対応したらいいか一つアイディアが浮かんだので書いてみる。

結論から言うと、トライルールで指すように実装して、トライが確定したら持将棋モードに移行するというものだ。
トライルールは何かと言うと、先崎棋士が提案した持将棋に替わるルールで、自玉が相手玉の位置(5一か5九)に到達すれば勝ちというものだ。
ただし、その位置に相手の駒の効きがあってはならないとする。

参考:その一 持将棋とトライルールその九 トライルール運用状況

コンピュータが入玉模様の将棋を苦手なのは、結論が長手数のかなたに飛んでいってしまって、コンピュータの有限の個数で予測できる範囲を超えてしまうからだ。
最終的な結論が出る前に形勢を判断するのが評価関数だが、持将棋と普通の将棋では全然に異なっているので両立できない。
これはプロ棋士が言う、入玉模様の将棋は将棋とゲーム性が違っている、と評することからもわかる。
だから、現在のコンピュータは入玉模様の将棋は苦手だ。
詰ましにいって自爆するのをよく見ることになる。

ではどうすればいいか。
入玉模様の将棋であることを擬似的に判断できれば、それでモードを変更して戦うことができる。
擬似的な判断方法がトライルールというわけだ。

トライと入玉はどのくらい一緒に扱えるだろうか。

まず、入玉が確定すればトライが確定するのは確実である。
玉が相手陣営に入って詰まなくなるということは、金を量産できる状態を意味する。
その金を寄せていけば絶対にトライできる。
守備側はどんなに努力しても桂香歩では守りようがない。

それでは逆にトライが確定すれば入玉が確定したと言えるだろうか。
コンピュータがトライルールで動作するとなると、トライできたはいいが詰まされる可能性もある。
トライして詰まされるというのは、たとえば相手が人間だとわざと玉の侵入を許し、トライした後詰ますような技だ。
これはトライが確定したと読み切れた時点で持将棋モードに移行すれば問題はない。
問題なのはトライが確定しているのに、本質的に入玉がはっきりしていない状況だ。
ただこの可能性はそれほど大きくはないと思う。

トライルールで中央からトライを目指そうとすれば詰まされる可能性が大きくなる。
できるだけ隅から寄っていった方がいい。
これは普通に入玉を目指す方法と変わらないだろう。
逆にトライルールでトライを阻止しようとすれば、中央を固めて待つだろう。
そして飛車や金のように横に動く駒がなければ、相手玉が最下段に到達した場合防ぐ方法がほとんどないこともわかる。
つまり、トライルールで動作しても、普通に入玉を阻止する指し方と変わらない。
コンピュータにとっては、トライルールで動作した方が普通に入玉を意識して指すよりもうまく指せるのではないだろうか。
とにかく判断が無限のかなたにいってしまうことがないのがうれしい。

入玉できたかどうかの判断は難しい。
人間にだってよくわからないのが本当の所だ。
人間は入玉模様の将棋になると、宣言勝ちを目指すのと詰ますのと両にらみで指しているのだと思う。
だから相手玉が詰みそうもない状態ならば、とにかく自分も入玉して駒をできるだけ取りにいく。
自玉が入玉できれば、相手玉の入玉を阻止できさえすれば勝利は必然だ。
コンピュータがこの両にらみの判断で動作するのが、持将棋モードになる。

コンピュータにとってトライルールで動作してうれしいのは、入玉という判断を擬似的で簡単な判定で代替できることだ。
トライの評価値を詰みと同じマックスの値にするのは簡単にできる。
そして、これだけの変更で自然と入玉を目指すようになるかもしれない。
今のコンピュータは20手ぐらい先読みできるのだから、阻止する駒がないと判断できればトライを目指しても不思議ではない。

持将棋モードに移行すればコンピュータは基本的に宣言勝ちを目指す。
駒取りが主体になるので、評価関数は持将棋モード用に作り直す。
大駒を5点、小駒を1点と評価するような単純な評価関数でも十分役に立つのではないだろうか。
後はコンピュータの力を利用して全幅検索で対応だ。
当然詰む詰まないについては、適宜判断する必要がある。

コンピュータ将棋のアイディアというのは、実際に実装してみると役に立たないことがほとんどと聞く。
このアイディアも実際に実装すると、それほどたいしたことがないのかもしれない。
しかし、入玉模様の将棋に関しては、基本的に別モードで動くのが正しいと思う。
とにかく、宣言勝ちを目指す機能は絶対に必要だろう。
それを実装していないソフトが悲惨な負け方をするのはよく見てきた。
モードの変換をどのタイミングにするかは、実装して研究する必要があるだろうけれども、トライルールが確定したら持将棋モードに変換するというのは、最初の出発点として考えられると思う。
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続:韓国は離米従中を選択するか?

2013.02.15 Fri

21:53:19

前回は、韓国が離米従中を選択することはないと主張した。
その理由について述べたい。

まず第一に重要なことは、韓国が本当に中国市場に依存しているかだ。
韓国の中国への輸出依存度が高いのは、中国で加工した製品をアメリカに輸出しているからだ。
韓国で作成した部品を中国に輸出し、それを中国の人手で組み立ててアメリカや先進国に輸出する。
中国の成長の図式はこのように語られてきたし、実際最近出たOECDの付加価値貿易統計でもそのことが裏付けられている。

OECD/WTO貿易付加価値(TIVA)データベース:韓国(PDFファイル・英語)を見ると、2009年の単なる中国への輸出依存度は27%ぐらいだが、付加価値ベースで評価すると19%ぐらいでしかない。
それに対してアメリカは双方とも13%ぐらいだ。
日本に対しても付加価値ベースでは9%ぐらいで、アメリカと日本を合わせると22%と中国を上回っている。
貿易黒字という観点から見ると、単純な計算では韓国は中国に対して569億ドルの貿易黒字を計上している。
しかし、付加価値ベースでは104億ドルまでに減少する。
同様にアメリカへの貿易黒字は単純計算では30億ドルだが、付加価値ベースでは109億ドルとなる。
つまり韓国の輸出は本質的にはアメリカと中国に同じぐらい依存しているのだ。

結局韓国はまだまだアメリカと日本の経済圏から離脱しているとは言いがたい。
アメリカと中国が対立し、貿易が遮断されるような状況になれば、韓国がどちらについたとしても同じように経済に打撃を与えるだろう。
その時日本がアメリカに付くならば、間違いなく中国を失うより影響が大きくなる。

今の分析は2009年だから中国の成長によって変わってくる可能性はあるだろうか。
中国のGDPが急成長していると言ってもまだアメリカよりは小さい。
今後中国がアメリカのGDPを上回ることになったとしても、一人当たりGDPでの逆転は遠い先の話だ。
中国の一人当たりGDPはようやく5000ドルを超えたくらいで、1万ドルに届くのはまだまだ大変といっていい。
中所得国のワナと知られる、成長の停滞現象は、一人当たりGDPがある程度の段階にたどり着くと、低賃金の労働力がなくなることによって起こる。
中国の成長というのは、外資から資本と技術を導入し、無限にあると思えた低賃金の労働者を働かせることで達成した。
低賃金の労働力がなくなった時点で、新たな付加価値を生み出せなければ成長できない。
しかし、言われたままに働いていた人間が急に発明を生み出すようなどできはしない。
そのための努力と時間が必要だ。
そうできるように、国家と社会の仕組みを変える必要が中所得国のワナを生み出すことになる。
そして、変革に成功していない国も多い。
中国が中所得国のままでは、国内市場もそれほど大きくはならない。
韓国の中国に対する依存度がそれほど上がるとも思えないわけだ。

さらに韓国の貿易で代替不可能な製品は何かという話がある。
石油を一カ国から輸入していて、他に輸出してくれる国がなければ額がどうこうよりも実際の経済の依存度は大きいはずだ。
中国への輸出は中所得国が必要とする製品の輸出のはずだ。
公共投資や設備投資のために必要な製品だろう。
これらの製品は他の中所得国、たとえばASEAN諸国に対しても輸出が可能だ。
つまり中国への輸出が閉ざされたとしても、他の国で代替できることになる。
それに対してアメリカや日本への貿易が代替可能かは難しい。
そもそもアメリカの経常赤字が世界の新興国の成長を促してきた。
アメリカに対して輸出ができなくなれば、韓国は成長自体できなくなるかもしれない。
また日本からの輸入は、輸出するために必要な部品や素材であり、それらを加工するための設備や機械だ。
韓国は日本からの輸入を制限して、日本に対する貿易赤字を減らそうという政策をいろいろと続けてきた。
それがいっこうにうまくいかないのは、日本が供給する製品が輸出するために必要不可欠な製品だったからだ。
だから日本との貿易が遮断されれば、経済システム自体が動かなくなる可能性がある。
つまり、米中対立が起これば、韓国は中国よりも日米との貿易を選ぶべきということだ。

韓国が中国との関係に気を遣うのは理解できる。
米中が対立すれば、最前線に立つ韓国が大きな被害をこうむるのは確かだろう。
だから米中の間で中立的な立場を取りたくて、「離米従中」と見える外交路線を取っているように見えるのかもしれない。
けれども、それは中立を目指すものであって、中国に完全に従属する路線と解釈するのは間違っている。
そして、経済的に韓国がアメリカや日本に強く依存していることを考えると、最終的にはアメリカにつくしかない。
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韓国は離米従中を選択するか?

2013.02.14 Thu

21:49:59

鈴置高文氏は日経ビジネスオンラインで、韓国が離米従中の外交路線を選択すると主張している。
参照:「早読み 深読み 朝鮮半島」

この主張にどうも納得がいかない。
同じ主張の記事はたくさんあるのだが、「中国から“体育館の裏”に呼び出された韓国」「“体育館の裏”で軍事協定を提案した韓国」の記事がよくまとまっていると思う。
この二つの記事を中心にして反論してみたい。
鈴置氏の主張は、韓国が中国の経済圏に取り込まれつつあること、そして北朝鮮の核の脅威から身を守るために離米従中を選択するというものだ。

「中国から“体育館の裏”に呼び出された韓国」では、中国への貿易依存度が高まっていることで、韓国が中国と自由貿易協定を結ぼうとしていることを示す。

引用開始

 確かに、韓国の対中依存度は高い。韓国の中国(香港を含む)への輸出額は全体の約30%。日本の25%と比べ少し高い程度だ。しかし、韓国経済は輸出に頼る度合いが極端に大きい。GDP(国内総生産)に対する輸出比率は50%前後に達し、日本の15%前後と比べものにならないほど高い。対中輸出が韓国経済の死命を制する。
引用終了

引用開始

 韓国は、日ごとに大きくなる中国という存在に抗しきれなくなったのだ。今年1月に「正式交渉入り」を強引に受諾させられた際、匿名の韓国政府高官の談話がメディアに一斉に載った。「金正日死亡後の不安定な情勢に加え、頻発する中国漁船の不法操業問題を考えると、中国の協力を引き出すにはFTA交渉を開始せざるを得ない」。韓国の役人は日本の役人にも同じ“言い訳”をしているという。

 「北朝鮮と漁民」は今、韓国人が持つ中国への恐怖感を象徴する。「金正日という強力な指導者を失った北朝鮮は中国の支配下に置かれ、混乱が起きれば人民解放軍が駐屯するだろう」と多くの韓国人は信じている。朝鮮戦争で米軍も勝てなかった中国軍と直接対峙する――。韓国人にとってこれ以上の悪夢はない。

 韓国の東と西の領海では、数百隻、あるいは千隻を超えるとされる中国漁船が日常的に不法操業している。彼らは取り締まりにあたる韓国の海洋警察官を平気で殺傷する。その不法漁民を中国政府は一切取り締まらない。韓国人にしてみれば中国にかけられた投網が、北から西から東からジワリジワリと締まってくる感じだ。中国はその圧迫感を使って韓国をFTAに引き込んだのだ。
引用終了

また、「“体育館の裏”で軍事協定を提案した韓国」では、韓国が米中の対立の中で脅してくる中国に対してにじり寄り、軍事協定の締結に動いているとした。

引用開始

 米中対立が鮮明になるなか、韓国が中国に軍事協定の締結を提案した。経済的にも軍事的にも中国に飲み込まれそうになった韓国は、ついに米中間で二股外交に乗り出したのだ。
引用終了

引用開始

 韓国経済は対中依存度の急増で生殺与奪の権を中国に握られた。軍事的にも海軍力の増強により黄海を内海化した中国に対抗できなくなった。不法操業する中国漁民が、逮捕に向かった韓国の海洋警察官を堂々と殺害する事件が相次ぐ。中国政府は自国漁民を規制するどころか、海軍力の行使までほのめかし韓国を脅す。

 前回記事「中国から“体育館の裏”に呼び出された韓国」では、強大化した中国が要求する自由貿易協定(FTA)締結を韓国が拒否できなくなった様を描いた。“体育館の裏”で大国から脅された小国がとる道は2つ。他の大国との同盟を強化して抵抗するか、逆に脅してくる大国ににじり寄るか、である。韓国は後者を選び、忠誠の証として軍事協定締結を提案したのであろう。
引用終了

その他にも、中国との間でスワップ協定を結ぶなどして、関係を強化しつつある。
以上のようなことから、韓国はアメリカとの同盟から離脱して、中国との同盟に移るという離米従中の主張となっている。

二つの巨大勢力にはさまれた小さな国が、どちらにつくか決めかねていろいろと悩むというのは、昔からよくある図式だ。
片一方の勢力に完全従属してしまう例もあるが、コウモリのように二股をかけて、なんとか対立から利益を得ようとする国も多い。
韓国の現在の状況はまさにその典型的な例だろう。
だが、逆に言うと韓国が中国に完全に従属してしまったら、アメリカからの支援は得られなくなってしまう。
それはそれでまずい。
だから離米従中ではなくて、二股外交を目指すというならわかる。
アメリカにも中国にもいい顔をしようというのだ。
そしてアメリカと中国が決定的に対立するならば、やはりアメリカにつくのではないだろうか。

それについて論証しようと思ったが、時間がなくなった。
次回へ続く。
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続:北朝鮮の核実験は終わりの始まりとなる

2013.02.13 Wed

21:49:51

北朝鮮が三回目の核実験を実行した。
北朝鮮の核実験については、「北朝鮮の核実験は終わりの始まりとなる」の記事で考察しているが、今後の状況について考えていない部分があったので補足したい。

北朝鮮の核実験はアメリカとの直接交渉が目的だと新聞記事には載っている。
朝鮮戦争の休戦協定を永続的なものにし、国内の体制を保証させようというのだ。
この理屈自体はおかしいと思っている。
なんと言っても、朝鮮戦争の休戦協定が結ばれてから60年近く経つ。
その間不穏な情勢が続いてはいるが、戦争にはならなかった。
北朝鮮の体制も安定して続いている。
実際のところ、周辺国のどの国にしても北朝鮮を崩壊させたいと考えているかは微妙だ。
政権転覆後の難民の発生や経済援助の後始末のことを考えると、今のままでいてくれた方がずっといい。
金正恩体制を転覆したい国は、拉致問題を抱えている日本ぐらいだろう。
それなのに、北朝鮮がアメリカとの直接交渉を主張するのは、その段階で援助をせびろうとしているからだ。
クリントン政権のころの核開発を中断する代償ということで、手に入れた経済援助が忘れられない。
核とミサイルの開発によって、再度援助を手に入れて、それをずっと続けていく、それが北朝鮮の外交目的だ。

しかし、世界も北朝鮮の瀬戸際外交のことをよくわかってきた。
恐喝だと断じる意見は見なくても、意図的に危機を作り出しているという見方をほとんどの国がしている。
アメリカも北朝鮮の行動を黙殺しようとしている。
北朝鮮は核とミサイルの開発に成功しても、世界が無視を続ければ、開発の代償を手に入れることができず、体制は深刻な危機に陥るというのが前回の私の予想だった。

考慮がもれていたのは、アメリカから代償を手に入れられなければ単純に困ると思っていたが、他の国に核やミサイルを輸出することで開発の成果を手に入れようとする可能性だ。
北朝鮮に対しては国連決議で大量破壊兵器に関しての輸出入が制限されている。
しかし、核やミサイルを欲しがっている国があるならば、決議を無視して輸入することも十分にありうるだろう。
イランやベネズエラはそんな国かもしれない。
アメリカから攻撃される可能性があると信じる国ならば、飛びつく可能性はある。
北朝鮮がアメリカから相手にされず、追い詰められれば核兵器の売却は当然ありえることだ。

無秩序な核兵器の拡散は世界秩序に対する深刻な問題だ。
イランが北朝鮮から核兵器を購入して、イスラエルを攻撃するのは世界にとって悪夢としかいいようがない。
アメリカは絶対にこれを阻止しようとするだろう。
どうしたら阻止できるか。
基本的には核兵器の輸送を絶てばいい。
核兵器が物理的にある程度の重さと大きさを持つ以上、輸送手段を排除すれば輸出はできなくなる。

北朝鮮からの輸送手段について、空路、海路、陸路と考えてみよう。
海路については、封鎖することで全面的に止めることも考えられるけど、臨検を行うことでも十分に代替できる。
どこへ行く国の船であろうとも、中国韓国ロシアの港に強制的に停泊させて貨物の中身をチェックすればいい。
作業量についてはわからないが、十分対応可能に思える。
空路は臨検のようなことはできない。
北朝鮮が空路で核兵器等を輸送できるような飛行機を持っているかは知らないが、基本空路輸送は全て禁止だろう。
北朝鮮は外国に空路で輸出するためには、中国台湾日本ロシアのどれかの領空もしくはそれに近い領域を飛ぶ必要がある。
物理的に強行するとしたら、日本と台湾の間の空域だろうが、日米の空軍力ならば十分に対応可能だと思う。
陸路は中国ロシア韓国の三つしかない。
核兵器の拡散に関してはどの国も反対のはずだ。
だから、そのような物資の輸送をチェックすることは十分期待できる。

問題なのは中国に北朝鮮からの航空輸送の封鎖と海上輸送の臨検を認めさせることができるかどうかだ。
中国が認めれば国連での安全保障決議もできるだろう。
中国も北朝鮮の体制を崩壊させることは望まなくても、核兵器の拡散には反対するはずだ。
イスラム原理主義の手に渡って、中国国内でテロに利用される可能性だってある。
だとしたら、海上と航空での輸送を制限することも認めるだろう。
北朝鮮の体制崩壊を懸念するとしても、北朝鮮の貿易自体は中国と陸路を介せば普通にできる。
核兵器等の輸出は、中国がチェックすれば対応できる。
北朝鮮は嫌がるだろうけれど、北朝鮮に対する生殺与奪の権利を持つことは中国にとっても、それほど不利な条件とは思えない。
国連決議で通るかどうかは微妙かもしれないが、アメリカ日本韓国ロシアの有志による封鎖は認めるのではないだろうか。
認めると思いたい。

中国が認めない場合は北朝鮮の行動を是認することになり、今回の核実験も本質的に中国と北朝鮮がぐるになって実行したと解釈しなければならない。
可能性としてはありうるけれど、これは中国が完全に世界の秩序の破壊者になろうとしていることであり、今回の考察からは除外しておく。

日本はアメリカと協力して、国連安保理で北朝鮮への航空輸送の禁止と海上臨検の決議が認められるように努力すべきだ。
認められない場合、アメリカを中心とした有志連合で強行すべきだ。
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続:Blunderの将棋が凄い

2013.02.11 Mon

21:26:07

floodgateで対局しているBlunderの将棋が凄いと幾つか紹介しているが、他の対局がそれほどでもないのが気になっていた。
勝ち負けの差というより、消費時間の使い方がどうも理屈に合っていない。

関連記事
Blunderの将棋が凄い
コンピュータ将棋最高峰の一局

今日その理由かもしれない記事を見つけることができた。

Bonanzaの評価関数とStockfishの探索と

長時間floodgateのソフトを修正している話かどうかわからないが、Bonanzaの評価関数部分とStockfishの探索部分をBlunderの独自開発部分と差し替えて効果を確認しているみたいだ。
それが微妙にソフトの違いにあらわれているのかもしれない。
ただ、時間の使い方とは話が違う気もする。
ソースを見てもいない人間の分析には限界があることを感じた日でもあった。
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コンピュータ将棋最高峰の一局

2013.02.09 Sat

21:46:32

今日のBlunder対gpsfishの将棋が素晴らしかった。
twitterの一言コメントだけでは感動を伝えきれないので、ブログにもコメントを追加する。

将棋は断崖にかかったロープの上で全力で殴り合っているような将棋だった。
物凄いパンチを繰り出し、相手は受けきって殴り返す。
どちらも一歩も引かない、そんな感じだ。

将棋はゴキゲン中飛車で、先手が7八金型に構える。
先手Blunderはいつものごとくノータイムで定跡を指し、当然のように劣勢に陥る。
最近のBlunderは序盤必ず不利になるのだが、もっと何とかできないのだろうか。
後手番で不利になるのは仕方がないとしても、先手で指した時でさえ評価値がマイナス、後手有利になる。
Blunderが苦戦している最大の理由がこれだ。
今回の序盤も、後手は1歩得をして、飛車が龍になっている。
先手にはたいした得があるようにも見えない。
弱い私の目から見れば、これだけで後手勝勢だ。
実際はそう単純なことではなくて、ほんの微差に過ぎず互角なのだろうけれど、それでも先手は評価値マイナスで開始する必要はないだろう。

手が進むうちに、Blunderが盛り返してくる。
中盤戦の力では現在Blunderが最強だと思っている。
手どころの読みが深く、他のソフトを上回っている。
その分消費時間が多く、秒読みに先に突入して負けることも多いのだが、中盤戦が強いと一番強く見える。
実際Blunderの読みと評価値は安定していて、底まで読んでいる感じがする。
他のソフトは手が進むにつれて、読み通りに進んでいるのに評価値が大きく変動するので、どこまで正しいのか怪しい。
Blunderは読みどおりに進んでいると、形勢がいいならば評価値が順調に増えていくので納得できる。

対局は進むにつれて、盤面が不穏になっていく。
どの一手でも、直ぐ詰むや詰まざるやに発展する可能性を含んでいるようで、緊迫して目が離せない。
それを読み取れる棋力の無さが悲しい。
それでも、駒を取るぞという手を唯々諾々と聞いていたのでは勝てないことがわかる。
手を抜いて相手玉に迫る。
一手間違えたらすぐ詰んでしまうような迫力があって、素晴らしい。

将棋は100手を少し超えたあたりで、Blunderが有利になり、決着がつくかなと思ったのだが、全然そんなことはない。
gpsfishが粘りに転じ、守備陣の再構築を始めてしまう。
Blunderは時間がなくなっているので、秒読みに突入して逆転するかの流れに見えてきた。
ただコンピュータ将棋というのは、面白いことに先に時間が切れてもそれほど不利にならない。
秒読みの方はすぐに指すから、時間が残っている方はそのとき読むことができない。
だから自分の手番で長考することになる。
秒読みの側はその間読むことができるので、かなり思考を補うことができる。
Blunderはうまく時間を使って、優勢を持続していった。
その結果gpsfishも時間を大量に使って秒読みに突入した。
形勢はかなりはっきりBlunder有利に傾いていたので、そのままきっちりと勝ちきった。

今日の将棋が素晴らしいと感じたのは、コンピュータ将棋らしくなく、互角に近い形勢が続いたことだ。
コンピュータ将棋では、どちらかが一方的に有利になって、そのまま勝ちきってしまうような将棋が多い感じがしている。
終盤力が強いから、最後の方では逆転はほとんど起きない。
だから必死に粘っているけれど、少しずつ悪くなって負ける。
最強の手で突っ張ると形勢不明なのだが、自信の持てない方が逃げてしまい、ただ粘っているだけの将棋、そんな将棋が多い。
それに対して今日の将棋はぎりぎりまで戦っているのが素晴らしかった。
それにも関わらず、将棋はすぐ終わることなく、延々と続く。

現在のコンピュータ将棋最高峰の一局だと思う。
将棋を知っている人は一度は見てもらい、感動して欲しい。
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