異をとなえん |

対馬と尖閣諸島の違い

2012.08.21 Tue

21:26:33

領土問題についての記事が続いているが、また一つ追加してみる。

韓国に対馬は韓国の領土だと主張している人たちがいる。
今のところ政府としては流石に主張してこないが、国会議員の中にもそういう人たちはいる。
これに対してどう対応したらいいのだろうか。

基本的には無視すればいい。
対馬が韓国領などと言う主張は、江戸時代ごろ対馬藩が形としては朝鮮に対して頭を下げていた事情によるだけだ。
近代レベルの領土とは関係がない。

しかし、これは中国の尖閣諸島に対する主張とは違うのだろうか。
中国や韓国の側から見るとあまり違いはない。
どちらも古代や中世の領土的な意識はあったかも知れないが、近代の領土という意識はない。
実効支配をしていないから、現代ではとうてい自国領には値しないが、因縁をつけるだけだったらできるという話だ。
違ってくるのは要求されている日本側だ。
対馬は魏志倭人伝のころから日本人が支配してきた土地であって、まさに固有領土というしかない。
この地は日本列島を灰にしたって守らねばならない領土だろう。
だから本当に軍事的に攻撃してくれば防衛するだけの話だ。
本当にその危険性があるならば、軍事力をできるだけ強化して対応すればいい。

尖閣諸島は違うわけだ。
少なくとも対馬とは同一視できない。
固有の領土ではないから、裁判で争って負ければ放棄できる、そういうレベルの領土だ。
もちろん、日本領になったのが最近だと言っても、日本の領土と言えることは確かだろう。
けれども、日本列島を灰にしてまで死守できるかといえばそうではないのだ。
戦争をして勝てなかったら放棄できる、そういうレベルの領土だ。
対馬は逆に戦争に負けて取られても、必ず取り返さなくてはいけない領土だろう。

対馬はそういう覚悟があるから、韓国が何をいってきてもあまり気にする必要はない。
もっとも、本気で主張してきたら、流石に韓国を敵国認定して、外交的経済的には全面対決する必要はあると思うが。

つまり対馬は人間の体でいう腕とかのレベルに相当するもので、金をもらえれば放棄できるようなものではない。
脳や心臓と同じ一体のものとして行動するだけだ。
それに対して、尖閣諸島や竹島は同一の体というには無理がある。
近代以後に領土として組み入れたものに過ぎない。
だから面倒であっても、隣国と争っていくしかない。
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肉はくわえているだけでは意味がない - 尖閣諸島問題について

2012.08.20 Mon

21:15:47

twitterで、「肉をくわえている犬はほえない、ほえると肉を落として取られてしまうから」、というような話を読んだ。
実際の文章は元のささやきが見つけられないので記憶で書いている。
日本が尖閣諸島を実効支配しているのに、領土問題を強く発言するのは、肉をくわえている犬がほえるような行為というわけだ。
確かにほえて肉を落としてしまうのはバカだろう。
けれども、犬が肉をくわえたままでいるのはどうだろうか。
他の犬からすると、食べる気がないなら、自分にもチャンスがあるかと思ってさらにほえることにならないだろうか。
つまり、尖閣諸島を日本が実効支配しているというならば、その肉を食べなくてはいけない。
いつまでも何もせずに、ほえてはいけないといい続けるのは無理がある。

もっとも尖閣諸島で肉を食べるという行為が何を意味するかは難しい。
利益を挙げ続けられなくなったから、日本は尖閣諸島から人を引き上げたわけだ。
漁港を作ったところで漁をする人たち自体がもういない。

しかし資源探査はできる。
採算に乗るかどうかはわからないが、実行すること自体に意味がある。
資源の価値がわかることによって、初めてどれだけの価値をかけて争っているかがわかるわけだ。

日本は中国との対立をさけて、ずっと尖閣諸島に対して資源探査等をしなかった。
これは別にそれほど悪いわけではない。
昔日本と中国では国力に差があって、先のばしにしても不利になるということはなかった。
将棋で強い棋士が千日手を避けないようなものだ。
手数が伸びれば伸びるほど、弱い棋士の方が間違いやすくなる。
強い棋士はより勝ちやすい。
でも、中国がGDP世界2位になったこともあるように、明らかに状況は変わった。
時間が過ぎることが、必ずしも日本にとって有利であるとは思えなくなった。
単純に軍事的側面を考えるならば、ここ十年くらいは中国の軍事力が伸びていくことに間違いはない。
つまり中国の強硬手段を恐れる必要が出てきたわけだ。

余裕がなくなったというのは、負けフラグでもある。
映画とかでよく見るのは、技量が急上昇している後輩がこわくなって、先輩がいじめるけど逆に負かされるパターンだ。
しかし、何もしないで抜かされていくというのはさらに問題でもある。
その先輩は幾らなんでも覇気がなさすぎる。
尖閣諸島問題にしても、なんらかの措置をとった方がいい。

「外交は冷静に」といった報道が目につく。
その意見はわからないでもないが、冷静に実行できた外交など古今にあっただろうか。
外交問題は国民感情が沸騰し政府が制御できなくなるケースが多い。
目の前の局面にとらわれて紛争化しないことに精力を注いでしまえば、世論の反発を買って政権を失うのもよくあることだ。

今回の尖閣諸島に関しては、どう見ても日本と中国の間で紛争化している。
日本が竹島に対して韓国がどう言おうとも、領土問題があると主張しているように、中国は尖閣諸島の主権を主張し続けるだろう。
私は尖閣諸島に関しては日本の主張が正しいと思っている。
過去がどうであれ、日本が占領し続けていたのに、戦後直ちに中国が所有権を主張しないのは、忘れていた以外にありえない。
それはつまり実効支配していなかったということだ。
けれども中国が所有権の主張を続けるならば、泥仕合でしかない。
領土紛争は力で決着をつけるか、第三者の仲裁で解決を図るしかない。

中国が今軍事的に動けない状態で、日本が既成事実を積み重ねようとすれば、対立は深刻化する。
中国は経済的なゆさぶりをかけてくる可能性は高いが、日本が強硬な立場を取れば覆すことはできない。
このとき中国はどうするか。
軍事的に勝ち目が少ないとすれば、今の日本が韓国に対してするように、国際司法裁への提訴が一番ありうるのではないか。
それを日本が認めてしまえば、尖閣諸島問題への平和的解決の道が開かれる。

裁判に勝つか負けるかはどうでもいい。
平和的に領土問題が解決するのが最優先だ。

心配なこととして、日本が勝ったとしても中国があきらめるかという問題はある。
中国があきらめなければ日本が軍事的に守らなくてはならないのは同じことだ。
しかし、国際的な判決が下れば、それに挑戦するのは世界秩序を破壊する行為と同じことだ。
中国が世界秩序を絶対に守るかは怪しいとは思うけれど、それでも尖閣諸島に対する軍事的行動は世界秩序を根本的に覆すことができてからだろう。
できたとしても、それはずっと先で無視することができる問題だ。

日本では中国を嫌いな人が80%を越えたとかいう世論調査を見た。
この現状の下で冷静に外交と言っても、できるわけがない。
ある程度のガス抜きが必要だ。
その状況として今はそんなに悪くない。

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日本は尖閣諸島に対して具体的な実効支配の行動を取るべきだ
続:日本は尖閣諸島に対して具体的な実効支配の行動を取るべきだ
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王位戦第4局のコンピュータソフトによる検討

2012.08.18 Sat

21:17:14

今期の王位戦第4局でコンピュータソフトによる面白い検討記事があったのでリンク。

2012年、王位戦第4局、終盤を「激指定跡道場3」で観戦

これを見ると、91手目の15桂打ちが敗着という結論になっている。
gpsshogiでは、93手目の55角打ちでまだ先手がいいといっているが、王位戦中継サイトのコメントによると、詰めろ逃れの詰めろがあって後手勝ちらしい。
gpsshogiの読みはどういうものだったのか、知りたいところだ。

第53期王位戦七番勝負第4局 ▲藤井猛九段対△羽生善治王位 2日目

こちらは2ch名人の記事。
2ch名人は将棋の注目局に対して2chでのコメントと激指11の形勢判断を並べて記事を作っている。
将棋の観戦はこれが一番楽しめる。
王位戦第4局も1日目から記事が作られているが、将棋は終盤が面白いのでこちらだけリンクしておく。

私のサイトにはコンピュータ将棋2012:詰将棋メモから来る人が多いのだが、なぜか2ch名人の記事はリンクしていない。
コンピュータと特に関係していないからかも知れないが、激指の形勢判断が常についているので、2ch名人はプロとコンピュータの実力差を推測するには最適だと思う。
コンピュータ将棋を見ていて2ch名人を見逃している人には薦めておく。
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夏バテ

2012.08.17 Fri

21:19:51

夏バテがひどい。
暑いせいか頭が全然動かないし、眠くなる。
全然やる気がおこらない。
年を取ったからの気もする。

将棋では45歳ぐらいから老化が始まるのか全然勝てなくなるらしい。
私はそれ以上なのだから老化が始まっても当然か。

でもやはり何事かを為したい、と思う。

なんかこれだけでは、しょうもないので韓国ジョークを追加。
最初の文から段々と作られていくのを見てきたが、まとまっているのを見つけたので引用しておく。

引用開始

( ´∀`)< 私は日本人です
<丶`∀´> < 私は日本人です
( ´∀`)< 人の嫌がる事を進んでやります
<丶`∀´> < 人の嫌がる事を進んでやります
( ´∀`)< 人間は助け合って生きている
<丶`∀´> < 人間は助け合って生きている
( ´∀`)< イヌが大好きです
<丶`∀´> < イヌが大好きです
( ´∀`)< ちょっとライターを貸してください
<丶`∀´> < ちょっとライターを貸してください
( ´∀`)< かわいいお嬢さんですね、3才ぐらいですか?
<丶`∀´> < かわいいお嬢さんですね、3才ぐらいですか?
( ´∀`)< 息子は小さいんですよ
<丶`∀´> < 息子は小さいんですよ
( ´∀`)< 生存者を見逃すな
<丶`∀´> < 生存者を見逃すな
( ´∀`)< 10年ぶりですね。おかわりないですか?
<丶`∀´> < 10年ぶりですね。おかわりないですか?
引用終了

しかし、韓国のことを知らない人には全然意味がわからないジョークだな。
わからない人はわからないままでいましょう。
身近で知っている人がいないのに偏見を持って見るのはよくない。

韓国人ネタは2ちゃんねるで語られる、ある意味想像の産物だと思うので、現実としてそのまま受け取ってはいけない。
本気で韓国人を罵倒する人は危険に見える。
不況によって余裕がなくなっているからだろうけど、もう少し笑い飛ばせるような経済成長があればいいなと思う。

もっとも嫌韓をあおるような文章を書く私も同罪なわけだが、でも韓国人ネタはとてつもなく面白いんだよな。
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最近(2012/08/16)ブックマークしたページ

2012.08.16 Thu

21:19:04

最近ブックマークしたページをメモしておく。

Kousyoublog

アニメやら歴史関係についての興味深いブログ。
私もこういうブログを目指しているはずなのだが、なぜだかはるかに遠い気がする。

岡田清先生の「物流清話」

アメリカの鉄道政策史が興味深い。
後で読もうとリンクしておく。

国ごとの移民動向を表現したインフォグラフィック「peoplemovin」

peoplemovinの解説記事。
日本への移民人口は200万ぐらいになっているが、これは日本に長期滞在している外国人の数であって移民とは違うはずだ。
個々の移民の定義がよくわからないが、ぱっと見た目面白い。
ただ、移民先、移民元の国を何か方法があるかも知れないが、簡単に検索できなかった。
そこらへん不便だ。

悩める人、いらっしゃい! 凱風館主、内田 樹の「ぽかぽか相談室」第5回

内田先生の日本人ボランティア話。
9条の方向に話を進めているが、私は日本人のボランティアが多いとしたら、長期不況のために暇人が多いからだと思う。
暇であることが、生きがい探しを生み、ボランティアを生み、オリンピックでメダルを取れるスポーツ選手を生み、初音ミクを生む。
バブル後の不況が多様性を生み出している。

あたらしい憲法のはなし
文部省


有名な副読本の内容だと思う。
資料を参照するときのためにリンクしておく。

内田 由紀子 氏「幸福度とは」

幸福度を研究している人へのインタビュー。
幸福かどうかはしょせん個人の問題で国が関与することではないと思っているので、反論するときのためにリンク。

たね蒔きジャーナル・韓国大統領の竹島訪問の意味

朴一(パク・イル)氏による、韓国大統領の竹島訪問の意味解説。
昨日の記事を書くのに少し参考にした。

鰻屋本舗(将棋)藤井語録

今王位戦で羽生王位に挑戦している藤井九段が、なぜ鰻でアスキー表示されるか理由を調べたとき見つけたページ。

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韓国大統領の竹島訪問に思うこと

2012.08.15 Wed

21:14:48

イ・ミョンバク韓国大統領が竹島を訪問した。
うざったい。
そして、これに対して日本がどうすれば良いか思いうかばない。
何を実行しようとも解決法はなく、状況は悪くなるばかりのような気がする。
取りとめもなく、頭にある考えを書きとめておきたい。

まず、ネットの感想を見ると韓国大統領の愚行だと評している人が多い。
実効支配している竹島をわざわざ領土係争地として、世界にアピールするのは馬鹿げている。
世界が注目し、日韓の平和のために仲裁行為を行おうとすれば、竹島の支配が危うくなる危険性が出てくる。
それは韓国の国益を損じると日本人は思うわけだ。

この考えは誤っているというか、韓国人の動機を理解していない。
大統領が竹島を訪問するのは、日本が領土主張している島を韓国は好き勝手にできることを示したいからだ。
昔韓国が竹島を所有したいたがどうかも、それほど重要ではない。
いや、むしろ竹島が日本の固有の領土であった方がうれしいだろう。
だってそれは韓国が日本の領土を奪ったことになるからだ。

だから竹島支配を世界にアピールすることが必要になる。
誰も注目してくれなかったら、韓国は日本の面目を簡単に踏みにじれるほどの大国であることを世界に示せない。
日本をバカにすることで、韓国は日本より上位の国であることを世界に証明できると思うのだ。

韓国大統領がレイムダック化を防ぐために、竹島訪問したのも違う気がする。
残り任期は短い。
2013年2月24日が任期満了で、あと半年ちょっとだ。
人気が回復しようともしまいとも、できることは少ないだろう。
それなのに竹島を訪問したのは人気取りというより、任期が短くなって将来のことをあまり考えなくなったから、地が出てきたのだ。
イ大統領の生年月日は1941年12月19日で、戦後の反日気分の中で物心ついたことになる。
理念としての反日を身に付けた。
大統領になったばかりは国益のことを考え日本との対立を自制したが、慰安婦の問題など日本との関係はなかなかうまくいかない。
だからその不満が竹島訪問や天皇の謝罪要求などで噴出した。

韓国人は偉いことを示すために、わざと法律等を無視することがある。
自分は法律を無視することができるほどの力を持っていると社会にアピールするわけだ。
今回の竹島訪問はどのような経緯をたどろうとも、韓国が放棄することには結びつきそうにない。
世界が竹島の所有権を日本に認めたとしても、韓国は拒否し、それができることを世界に誇示するだろう。
日本が取り戻すためには軍事力を行使するしかないが、あんな小島一つのために軍事紛争を起こすなどバカらしすぎる。
そこで行き詰まりだ。

なんらかの報復措置を取れば日本も傷つくことになる。
韓国との資金スワップの協定を停止すれば、韓国も傷つくだろうけれど日本も傷つく。
韓国が破綻すれば日本経済も悪くなるのは確実だ。
そのようなことが起こらないように、スワップ協定を結んでいる。
そしてスワップ協定を停止したとしても、韓国が竹島をあきらめることはない。
つまり日韓関係が悪くなるだけで解決には結びつかない。

もっとも韓国の方も日本に対して同じようなことを考えているのかもしれない。
慰安婦問題に対して日本が解決策を講じようとしないから、その報復措置をなんらか取らざるを得ない。
実害が発生しない報復措置として竹島訪問が選ばれた。
互いの世論が反日嫌韓に傾くだけで、何の実りもない世界だ。
不毛ではある。
かと言って日本にも妥協できないところはあるし、妥協したとしてもそれで解決はしない。
韓国にとって反日は存在意義に近いので、妥協すればハードルを高くするだけだ。
日本にとっては迷惑な話だ。

それではどうしたらいいのか。
実のところどうしようもないと思う。
いつか時間が解決してくれると信じて、うやむやにして先延ばしにするしかない。
適当に反発し、適当に引く。
外交担当者には嫌になるだけの世界だろうけれど、それしかないというのが私の結論だ。
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続:2012年4-6月期GDP速報に期待する

2012.08.13 Mon

21:16:10

GDP速報の結果は期待はずれだった。
民間消費の実質成長率は0.1%、名目成長率は-0.3%と予想を大幅に下回った。
エコノミストによる民間消費の実質成長率はだいたい0.3%ぐらいなので、日本経済の成長がまたへこみつつある感を強く持たせる。

もっとも季節調整によるずれやうるう年効果が下方にずれを生じさせているのかもしれない。
季節調整によるずれというのは、金融危機や東日本大震災などの個別な現象が季節調整のずれを大きくしているという意味だ。
金融危機では2009年の1-3月が底となり、東日本大震災では2011年の1-3月が震災によって大きく経済規模を減少させた。
その結果次の四半期である4-6月は普通の季節以上に成長率がかさ上げされた。
だからそれらの期を含んで季節調整計算をすると、普通の季節調整による成長では伸びが低いように見られる。
うるう年効果というのは、2012年1-3月がうるう年だったのでその分成長率がかさ上げされていた。
だから相対的に4-6月期の成長率は低くなる。
逆に言うと1-3月期の成長率は通常より高く表示されたことになる。

それらを合わせると、結局のところ今回の成長率は日本経済の潜在成長率とされる年2%前後と変わっていない。
日本経済はもう少し高めの成長率を出せると考えている私にはショックな数字だ。
もっとも金融危機後の潜在成長率は年0.5%という予測から見れば、まともな数字なのだが。

民間最終消費支出の低迷の原因は何かともう少し調べてみた。
形態別国内家計最終消費支出の方を見て、いろいろと数値を見てみる。
名目の原系列から、加工した実質や季節調整済みのデータまで、いろいろと見比べているのだがよくわからない。
名目の原系列を加工するのは、見ただけではわからないことをはっきりさせるために行う。
それなのにかえってわからなくなるのは、元々のトレンドがはっきりしていないからだ。
1%ぐらいのデフレ状態や季節調整がぐちゃぐちゃになっている状態では、本当の成長率が読み取れない。

ただ民間消費の詳細を見ると、耐久財の実質の消費金額がここにきてかなりはっきりと伸びている。
金融危機を抜けてからは実質の前年同期比でだいたい10%以上だ。
金融危機後はリカバリーも含めて20%以上が5期続いたし、東日本大震災後は10%以上が続いている。
その前が実質でもたいした伸びを示していないのに比べると、ずっと良くなっている。
しかし、名目の前年同期比で見ると伸びはそれほど大きくはない。
2007年4-6月期の原系列による名目の耐久財の支出は5兆8841億円、2012年4-6月期の支出は5兆5597億円だ。
全体で見るとわずかながらマイナス傾向になっているが、実質は各々6兆6071億円と10兆3597億円なので大違いだ。
つまり、個々の商品の価格が下がっているので、いままでと同じ金額を消費していても効用は大幅に伸びている理屈だ。

バブル崩壊後、総需要が縮小している中では、消費金額は上昇せず機能品質を上昇させることで経済は成長するしかなかった。
それがここに来て、価格が下落するとその分消費量が増えているようにも見える。
季節調整済みの名目系列で民間最終消費支出の耐久消費財が1.9%、0.9%とプラスを保っている。
ただこの値がそのままプラスを続けるかはよくわからない。
それがはっきりしない成長率に現れている。

機能の向上による実質金額の上昇は耐久財に一番現れる。
半耐久財、非耐久財、サービスは機能が向上してもよくわかりにくい。
だから価格が低下すると、実質の消費も低下しているように見える。
本当はある程度の品質の向上があると思うのだが、効用の上昇は見えない。
それに対して、耐久財は性能の上昇を計算に入れることができる。
だから実質の消費は増えているわけだ。

耐久財が名目でも成長するようになれば、デフレ自体が終わり賃金が上昇することでサービスの消費金額が上昇していく。
その兆しが少し見えたような気がするGDP速報結果だった。
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