異をとなえん |

「専門家の予測はサルにも劣る」感想

2012.05.23 Wed

20:30:17

ダン・ガードナーの「専門家の予測はサルにも劣る」を見る。

面白い。

いい悪口というのは、なんかわからんけれど本当に書いた人が賢く見える。
この本も、専門家が物事の未来を予測するときになぜ外しやすいかを批判していて説得力がありすぎる。
納得してしまう。

トインビーの「歴史の研究」がなぜダメなのかの言及がある。
専門家は自分の理論に従ってバイアスをかけて物事を見るからという。
ジフという人の今回の経済危機に対する警告がなぜ当たったかについての言及があり、そしてなぜ当たらなかったかについての言及がある。
同じことを言い続けていれば、たいていはいつかは当たるからだ。
予測の実現時期についての言及がなければ、予測はあまり役に立たない。

その他に日本経済が1990年ごろ好調で、アメリカを抜くという予測が広まっていたという話がある。
その後の現実を見ると全然当たっていないのだが、予測が広く信じられたのは未来が過去の変化の延長線にあるという仮定が間違っていることを説得力を持って語る。

人間の予測が直前に聞いた数値に影響されるという話も面白い。
ガンジーが6歳で死んだのは本当かどうかをたずねた後ガンジーが何歳で死んだかを聞くのと、ガンジーがずっと歳を取って死んだのは本当かと聞いて、年齢をたずねるのとでは答える数値が変わってくる。
人間は全然関係ない数値がわかっていても影響されるのだ。
前にコンピュータの思考法と人間の思考法の違いについて考えたけれど、人間は直ぐに答えを出すために、直感的に頭に浮んだ考えを試し、試行錯誤で予測していく。
だから、直前で聞いた数値に思考が影響を受ける。

私もなんというか歴史の法則の探求とか、未来予測をいろいろやっている。
たいていは間違っているわけだ。
日本経済が復活すると言い続けているわけだが、全然当たらない。
理由は幾つかあるだろうが、結局は時期が推定できないからだ。
でも時期の推測は難しい。
当てようとするならば、たぶん理屈をどうこうよりも、アンテナを広く張って、初期の兆候を見つけた方が正しい。
もっとも、私は正確な未来予測よりも、理論を考える方が面白いのだがら失敗するのが当然なのかもしれない。

未来予測の無謀さと、にも関わらず実行する場合の注意点を教えてくれる点で役に立つ本だ。

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日本国債の格下げ

2012.05.22 Tue

20:21:55

フィッチが日本国債をA+に格下げした。

フィッチ 日本国債を1段階格下げ

そのせいで円安が進んでいるらしい。
もっともまだ79円台なので大きな影響ではない。
とりあえず円安方向へのニュースなので売った向きがあるのだろう。

フィッチの格付けはアメリカはまだAAAになっている。
韓国の格付けはAAでなんか他の格付け会社と変わっている感じだ。

韓国の格付けがいつ日本を上回ったか確認しようとしたのだが、よくわからない。
もしかしたら今回上げたのだろうか。

消費税の引き上げにも全然めどが立っていないので、日本の格付けを下げたとしても全然おかしくはないのだが、韓国と逆転しているのが不思議に思う。
世界経済が危機に陥るたびにウォンの価格は低下していて、当分その状況は変わらないように見える。
国の中の財政状況が現時点では良くとも、経済危機が起これば国はそれを救うために、財政支出を増やさざるを得ない。
実際スペインやアイルランドはリーマンショック前は財政黒字だったはずだ。
本当かどうかちょっと怪しいか。
後で確認しておこう。
危機によって財政支出が急増することで、財政赤字になり信用性が低下していく。
韓国の格付けを上げたということは、フィッチはそういう部分を全然検討していないのだろうか。

格付け会社があてにならないとはよく言われているが、利用している人どう使っているのか本当に見えない。
アメリカの投資家がこの格付けを見て役にたつのだろうか。
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初音ミクNHKで放送

2012.05.21 Mon

20:22:58

土曜日NHKでミクさんのロサンゼルスコンサートmikunopolisが放送された。
パソコンの小さなスクリーンで見るのに比べて、テレビの大きな画面は見やすい。
セットリストを工夫していることもあって歌に没入してしまった。
NHK、グッドジョブである。
NHKがこんなにミク押しになるとは昔と隔世の感がある。

2008年11月10日にNHK特集で「デジタルネイティブ」という番組が放送された。
ネットにおける新しい世代を扱っているのだが、現実世界、とはいってもネットも現実だからネット以外の現実というような意味、にこびているような若者が中心になっていて、私は気にくわなかった。
そういう突っ込みどころがたくさんあるのがとりえの番組だったけど。
そして、この番組でもっとも気にくわなかったのが、初音ミクの名前が全然取り上げられないことだった。
初音ミクは2007年8月31日発売開始で既にこの時期には巨大な影響を及ぼし始めていた。
消費者がコンテンツを作り出すという点は、ネットにおける新しい現象として、いろいろな評論も出ていた。
それなのに、なぜか明々白々のこの現象をNHKはとらえることができない。
番組製作者のネットに対する感性の弱さに絶望してしまう。

それが段々と世の中も変わってくる。
NHKという世間の流れに鈍そうな人たちも変わるのだから、初音ミクも出世したわけだ。

リスアニという雑誌でNHKの石原プロデューサーが初音ミク現象のことをマスコミは知らないのにニュースにしていると論評している。
わかったと思っている人が番組制作しはじめたということだ。
実際今回の番組以外にも、初音ミクの名前はちらほら出てきている。
今後も露出が期待できそうなのはうれしい。

初音ミクもまだまだ奥が深そうだ。
未来が楽しみで仕方がない。
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ドイツはどうすべきか - ギリシャのユーロ圏離脱は不可能だ(その8)

2012.05.19 Sat

20:07:38

今日の覚書、集めてみましたのところにギリシャ情勢についての経済記事がたくさん載っていたので読みふけってしまった。
私の考えとAmbrose Evans-Pritchard氏の記事の考えがどうも異なっている。
根本的な思考法が違うみたいだ。
その本質が何なのか考えてみたい。

世界にはドイツが財政援助をしてギリシャを助けるべきだという考えが主流としてあるようだ。
なぜドイツはギリシャを救わなければならないのか。
大恐慌の再来を防ぐためだろう。
ギリシャに援助を行うことで深刻な不況は防げるかもしれない。
しかし、それはアリとキリギリスの話で、夏の間遊んでいたキリギリスが冬になってアリに援助を求めたときに、アリが助ける話になる。
自分たちが一生懸命働いていたときに遊んでいた人間を助けることは難しい。
そして、実際にはアリはキリギリスを助けようとしている。
けれどもキリギリスは最低限の援助では嫌だという。
夏の遊んでいたころに近い生活を要求する。
これではアリが援助したくなるのも無理はないはずだ。

それではギリシャがデフォルトすれば、ドイツにとって致命的になるだろうか。
とりあえず大恐慌が起こったとしても、ドイツという国がなくなるわけではない。
EUが分裂したって戦争は遠い話だ。
ユーロ圏が分裂することによる経済の混乱も起こらない。
経済の力が弱い南欧諸国はユーロ圏から離脱できないからだ。
デフォルトはできたとしても、ユーロという通貨の使用をやめることはできない。
そうなれば大不況はユーロ安を招く。
ユーロ安はドイツにとっては福音だ。
現在もドイツはユーロ圏内ではそれなりの成長を維持しているのは、ユーロ安によって輸出が伸びているからだ。

リーマンショックの再来があれば世界全体の需要が急減する。
ユーロ安になったとしても輸出は伸びなくなる。
けれども別にそれで世界が壊れたわけではない。

前回は世界全体がケインズ政策によって需要の急減を抑えた。
それはまだ各国に財政上の余裕があったからだ。
今回は財政上の余裕がなくなっている。
そうなるとリーマンショックのようなV字回復は望めない。
ただドイツは経常黒字を出している以上ある程度のケインズ政策は発動できる。
それほど悪化しない予測も成り立つわけだ。

そんなわけでドイツにとってはギリシャを助ける必要性はそれほど大きくないと思う。
どうも論旨がまとまらない。
Ambrose Evans-Pritchard氏の記事の分析もできなかった。
次回もう一度挑戦する。
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緊縮政策を緩和しても救いにはならない - ギリシャのユーロ圏離脱は不可能だ(その7)

2012.05.18 Fri

20:38:29

ギリシャねたはなかなかつきない。
今回はギリシャの努力を認めて緊縮政策を緩和しろという意見に反論したみた。

【コラム】認められていいギリシャの緊縮努力−残存債務が問題

ギリシャは財政赤字を2年間で8.6%も削減した。
引用開始

政府は過去2年間でプライマリー財政赤字、つまり利払い分を除いた財政赤字をGDPの10.6%(2009年)から2.2%(11年)に圧縮した
引用終了
その努力を認め、EUはギリシャとの合意を絶対視するのではなく、ギリシャの残存債務をさらに削減すべきという意見だ。

日本の財政赤字が全然減らない状況と比較すると、ギリシャは極めて努力しているように見える。
実際努力しているとは思うのだが、たぶんこれでは足らない。

ギリシャの財政赤字が大きく減っているのは、財政支出を大幅に減らしているからだ。
年金と公務員の賃金の削減の影響が大きいのだろう。
でも財政目標は達成していない。
収入が減っているからだ。
GDPが減少すれば税収も減る。
政府支出を減らせばGDPも減り、GDPが減れば政府収入も減るというループにはまっている。

ではここで我慢していれば、GDPが成長して財政赤字がなくなることはあるだろうか。
無理だ。
理由はGDPはもっと落ち込むからだ。

ギリシャの産業構造は2007年時点で製造業が10.5%、建設業が7.3%、流通・観光・交通等が37.4%、金融業・不動産・ビジネス関連サービス業が17.3%、公的管理・その他が21.1%となっている。

参照:スペイン・ギリシャの経済構造の特徴について

製造業の比率が極めて低く、輸出する力が弱い。
そして経常収支の赤字が10%以上という経済だ。
ユーロ圏に加入する前は赤字続きだったとはいえ、GDP比の3%ぐらいですんでいた。
それがユーロ圏に加入することで赤字が急増し10%を超えてきた。

参照:ギリシャの国際収支の推移

ギリシャの赤字が急増したのは、国債の金利が下がったことで国債の発行を増やし、それが消費に回ったからだ。
ギリシャ政府が借金をし、その金が各国から物資を輸入する代金として出て行く。
輸入した商品を売ることで原価と小売の差としてのGDPが生まれる。
原価を50%だとすれば輸入した商品を小売したときに輸入商品と同等分の付加価値が生じたことになるわけだ。
その他にも内需産業や公務員に金が回ることで、GDPは増幅しギリシャという国のGDPができている。
もちろん、これは他の国でも普通のことなのだが、輸出が何もなければギリシャとしての付加価値は何かという話になる。

極言すればギリシャは国が借金をし、それを国民が山分けをして暮らしていただけだ。
政府が外国から借金できなくなれば、国民は生活できずGDPは0に近づいてしまう。

2009年の財政赤字が10%を超えていることは、ギリシャ政府が支出をまだ減らしていないことを示している。
EUの監視の目が厳しくなって2010、2011年と減らし始めたのだろうが、国民はまだ消費をしている。
だから経常収支の赤字は10%近辺のままであり、GDP自身も大きく減っていない。

ギリシャの経済成長率の推移

消費には慣性がある。
またユーロに加入して経済が好調だったということでギリシャ国民はかなりの貯蓄をしているはずだ。
その貯蓄を吐き出しているから、消費は大きく減らず、GDPも大きく減ってはいない。
けれども、財政支出を大きく減らせば、他に収入のあてがほとんどない以上、消費は減るしかない。
つまりGDPはさらに大きく減るのだ。
税収はGDPと比例するから、財政赤字のGDP比は拡大し始める。
結局ギリシャの緊縮政策の努力は徒労に終わるかもしれない。

ギリシャはどうしたらいいのだろうか。
輸出が増大して経常収支の赤字が消すしかない。
そうならなければEU全体にとってギリシャは永久にお荷物ということになる。
輸出を増やすためには、賃金が大幅に低下させ外国から投資をしてもらえるようにするしかない。
それと輸出を伸ばすために害となる規制を撤廃することだ。

ではどのくらい賃金は下がるべきなのか。
ユーロ圏に入ってから生産性の上昇がほとんどないとしたら、賃金はそこまで下がるべきだろう。
1998年から2008年でGDPは大体倍になっているので、元に戻るとしたら賃金は半分に下がるしかない。

急激に下げるのはきついから、緊縮政策を緩めるという妥協もありえる。
しかし、それでは経済が反転する底が全然見えないだろう。
そしてEUとの合意はまだまだ甘い。
GDPの縮小を十分見込んでいなければ、財政収支がバランスするのはさらに先になる。
緊縮政策はさらに続くことを考えれば、ギリシャ嫌でも合意したことを守っていくしかない。
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政治家は決断することが望まれる - ギリシャのユーロ圏離脱は不可能だ(その6)

2012.05.17 Thu

20:19:44

鳩山元首相が沖縄で謝罪「今も『最低でも県外』という気持ちだ」、とのたまう。
このおっさんは一体何を言っているのだ。
総理大臣でも問題を解決できなかったのに、いまさら何を言っても意味がない。

普天間基地移転問題が難しいことはわかる。
単純に考えれば県外への基地移転と日米安保維持という相容れない二つの選択肢があって、その選択をどうするかが総理に求められていた。
単純に考えすぎかもしれない、二つの選択肢の間のどちらを選ぶのかではなく、両方を満たす解を探すのが政治ともいえる。
ただそれは茨の道であって、リーダーは自分で頭を使って両方の妥協点をなんとか見つけなければならない。
鳩山元総理の方法は選択を避け、かといって妥協点を必死で見つけようとするのでもなかった。
自分で勝手に期限を切って、辞任したのは自業自得といえる。

二つの選択肢を単純に選ぶことができず、迷うのはある意味当然だ。
なんとか両立させたいと考えるのも人間として仕方がない。
しかし、政治家はそれに解を与えて決断していくのが使命のはずだ。
どうにもならなくなって逃げ出したのは仕方がないとしても、その問題を解決しなければならない後の政治家の負担になるようなことを言うべきではない。

もし本当に県外移転しかないと考えていたのだとしたら、日米安保条約廃棄まで視野に入れて行動すべきだった。
でもどうみてもそれほどの使命感はなかった。
鳩山氏は不幸そうな人がいたらそれに同情して、全体のことを考えずに行動する単純な人だけだ。
単なるお金持ちだったらいいとしても、政治家としては失格であり、ルーピーと評されるのは当然だ。

ギリシャ問題のことを考えてみると、二つの選択肢が迫られている。
緊縮政策とEUからの離脱だ。
ギリシャ国民のほとんどは両方ともいやだと思っている。
だから、両立が可能だと主張する急進左派連合が支持を伸ばしているのだ。
問題は急進左派連合が政権を取った後だ。

両立が可能だと主張しても、EUからどちらかを選べと迫られれば決めなくてはならない。
責任ある政治家ならば、つまり鳩山氏みたいな政治家でなければ決断することができるはずだ。
どちらを選択するかは、EUからの離脱は緊縮政策よりもっと被害が大きいのだから答えは自明に見える。
価値観によって選択が分かれるわけではない。

意味があるのだとしたら、チキンゲームの戦略だけだ。
ギリシャにとって緊縮政策は-100、EU圏からの離脱は-500としよう。
EUにとってギリシャの緊縮政策は-100、ギリシャのEU圏からの離脱は-1000といった感じだ。
だからEU側にとってもチキンゲームを挑まれれば妥協したくなる気持ちもあるだろう。
それだけがギリシャ国民のチャンスだからだ。
しかし、それを受け入れることはいつまでたってもギリシャのわがままに付き合わされることを意味する。
そしてギリシャのわがままを認めれば、他のスペイン、イタリアにも認めざるを得なくなる。
そんなゆとりはEUにないだろう。
少なくとも、ドイツの政治的には。
迷ったときは原則に立ち返るしかない。
借りた借金を返すのは当然という原則にだ。

第一次世界大戦はどの国の政治家も望んでいなかったのに、誰も止めることができず突入してしまった。
その理由の一つは第一次世界大戦がどのような結末をもたらすのが予測できなかったことにある。
ギリシャのデフォルトも同じようなものだ。
どれほどの被害を世界にもたらすのか、はっきりしたことはわからない。
はっきりしているのは、ギリシャの被害がより大きくなるだけだ。
鳩山氏ほど無責任な政治家でなければ、理性ある選択ができると信じたい。

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ユーロ相場はどうなるか - ギリシャのユーロ圏離脱は不可能だ(その5)

2012.05.16 Wed

20:23:38

ギリシャのユーロ圏離脱はないが、ギリシャ政府がユーロ圏離脱を言い出す可能性はある。
その場合、ユーロ相場はどうなるだろうか。

普通に考えれば当然ユーロ安のはずである。
けれどもユーロ高になると予想する人もいて、考えてしまった。

取り付け騒ぎが起こった ギリシャのユーロ脱退の噂で

本文の方は大部分同意できるのだが、最後の方で少し理解できなくなってくる。
前にも書いている通り、政治情勢の本命はギリシャ左派連合が勝利するけれども、緊縮政策回避だ。
ギリシャ左派連合はユーロ維持、緊縮政策破棄を主張しているが、この二つの政策は両立しない。
EUの各国はギリシャのわがままを認める可能性は少ない。
もっともフランスの選挙で非緊縮政策派が勝っていることもあるので、部分的な妥協が図れる可能性はある。
ドイツがEU各国の反感を抑えようと、援助を幾らか増やす可能性だ。
しかし、選挙情勢のことを考えるとメルケル首相もそんなに妥協はできない。
前の合意とほとんど変わらない条件であることは間違いないだろう。
前の条件の変更ではなくて、新しい取り決めを追加する形でだ。

でも大きな条件は前の交渉が相当な難交渉だった以上変更はできない。
緊縮政策は継続しかない。

だから、ギリシャ国民が支持する政党を翻意して、緊縮派の政党に投票する可能性は少ないけれど、非緊縮派が緊縮派に変われば全然問題はない。

さて一番わからない部分は次である。

引用開始

最後に、若しギリシャがユーロを脱退し、新ドラクマを採用した場合、たぶんユーロは大暴騰します。それは一瞬にしてドイツを大不況に陥れるでしょう。
引用終了

一時的にであれ、ギリシャがユーロ離脱を宣言すれば事実上ギリシャ企業のほとんどがEUの取引で破綻に追い込まれる。
ギリシャのユーロ建ての借金が大幅にこげつくのと同意のはずだ。
それは他の周辺国、アイルランド、ポルトガル、スペイン、イタリアへの不信感を強める。
そこへの資金は当然引き上げようと考えるのが普通のはずだ。
周辺国の国債を売る所も多くなる。
換金したユーロ資金をどうするか。

考え方は二つ。
ユーロ自身が信用できないから他の信用できる通貨、ドル、円、ポンド、スイスフランに換金する。
この場合ユーロを買った方はその資金の運用先をどうするかという問題が出てくる。
もう一つはユーロでもっとも信用できそうな資産、ドイツ国債に変換することだ。

実際ドイツ国債の価格は上昇し、周辺国の国債の価格は下落している。
ドイツ国債の需要はすさまじく、金利はマイナスに突入しているのだ。
とにかく安全な所に預けられるならば、その分の損を甘受する向きが多くなっている。

ユーロから逃げ出す資金が多くなればユーロ安になる。
裁定取引に使われているだろうドイツ国債の金利が下がっているということもユーロ安を導く。

それでは、この流れはギリシャがユーロを脱退し、新ドラクマを採用すると変わるのだろうか。
短期的にはデフォルトを嫌って、逃げ出す資金が多くなるとしか思えない。
それはユーロ安だ。
中期的にはギリシャが悲惨な状態になることでユーロ圏の脱退が不可能だと各国が確信し、その結果のユーロ安はなくなりそうだ。
もっとも緊縮財政を求められている各国の国債が安定するかは別問題だろう。

そういうわけで考えてみたけど、ユーロ高になる理屈がよく見えない。
EUが成長政策に切り替わる可能性もある。
ただ財政政策の発動は難しい。
実行するとしたらECBの金利の切り下げだろう。
これは緊縮政策によって経済圏が縮小している国の景気にはたいした影響があるとは思えない。
スペインやイタリアの株式市場が良くなるとは思えないという意味だ。
意味があるとしたらユーロ安によって景気がまあまあのドイツだ。
金利を下げればユーロ安の可能性は高まる。
ドイツは輸出も増えるし、利益も増える。
金利が安くなればそれらと相まって設備投資も増えることだろう。
ドイツ一国の景気が良くなることでユーロ圏全体の景気が良くなれば、ユーロ高の可能性はある。
でもそれはずっと長期の話だ。
ユーロ高は先になると思う。

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