異をとなえん |

前原外相の口先外交には困ったものだ

2011.02.16 Wed

01:34:08

前原外相の先の見通しがまったくない口先外交は、どうも困ったものである。
何かと言うと、明日の日韓外相会談での竹島の話だ。

[政治]前原外相、竹島問題言及へ 16日の日韓外相会談で(2011.2.15 19:12)

引用開始

前原誠司外相は15日の記者会見で、16日に来日する韓国の金星煥外交通商相との会談の際に、同国が不法占拠している竹島について「日本の立場を言及することになる」と述べた。外務省のホームページは竹島を「わが国固有の領土」と明記し「韓国による竹島の占拠は、国際法上何ら根拠がないまま行われている不法占拠」と記載している。

前原氏はまた、日韓外相会談で北朝鮮の核開発、ミサイル、拉致問題への連携を確認し、韓国との経済連携協定(EPA)交渉再開を働きかける考えを示した。

産経新聞 2011.2.15 19:12
引用終了

韓国側から見れば、ほとんど宣戦布告に近いような受け取られかたをされるはずだ。
韓国外相からすると、日本から招待を受けて訪日したらいきなり頭から水をぶっかけられるようなものだ。
そんな会談をのこのこと続行したら、韓国内でどれほど批判を受けるかしれない。
もう話が出た瞬間に、テーブル蹴飛ばして席を立つようでないと韓国で政治家はやってられない。
そのくらい韓国内では敏感な問題のはずだ。

しかも、会談前日に記者会見で発表するというのは、韓国側に恥をかかすためにやっていると受け取られかねない。
韓国側としては、とにかく会談で話されること自体が問題である。
そのような会談を唯唯諾諾と受けているようでは韓国内からの批判は必死だ。
それを考えると、韓国側からは会談自体を行なわないか、先に攻撃して決裂するしかない。
会談自体を行なわないのは外交儀礼に反しているかもしれない。
そこで、会談冒頭に竹島問題を提起して、日本が竹島所有を主張した時点で、会談を決裂する。
それが一番ありそうな筋書だ。

問題なのは、日韓外相会談が決裂したことに伴なう影響である。
まず、北朝鮮との対応で日米韓の連携が危ぶまれることになる。
北朝鮮は日韓の間の外交亀裂を自分にとって優位だと考えるだろう。
韓国との間の挑発行為をエスカレートする危険性もあるので、いいこととは思えない。
北朝鮮に対しては、日米韓が一枚岩だと理解されるのが望まいい。

中国、ロシアと喧嘩しつつ、韓国にも喧嘩を売る。
それはそれでありだとは思うが、本当にそれほどの覚悟が前原外相にあるのだろうか。
友好的に話をしようとしてるのに、喧嘩を売っていると誤解されるのは本意ではないだろう。
少くとも、外相会談前日の記者会見で簡単に主張できるような問題とは思えない。

それでも、前原外相は竹島問題を外相会談の議題に挙げる先例にしたいのかもしれない。
しかし、一人の外相が自分独自の意見に固執したとしても、それを国全体でサポートしなければ日本全体の戦略がないと受け取られるだけだ。
前原氏は偽メール事件や八ッ場ダムの問題としても、自分だけの意見を表明して、周りがついてこれるか軽視している。
新米議員が意見を表明し、突出することによって、事態の打開を図るのは認められる。
けれども、外相になり、首相の座も手が届くほどの地位にいるならば、自分一人では責任を取れないことも多々でてくる。
その中で自分だけで責任を取ればいいだろうと、勝手な放言をするのは無責任極まりない。

そういうことを考えると、今実行する必要があるのか。
端的に言って、民主党政権の人気は大幅に落ちている。
いつまで政権を持つか、わからない。
その状況で韓国との外相会談が決裂することは、人気にどのような影響を及ぼすのか。
自民党が韓国にガツンと言えなかったことを言ったと評価されるのか、それとも素人外交だと批判されるのか。
どちらかと言うと、私には素人外交のように思える。

マスコミは韓国外相が席を立つと、日本を批判するような気がする。
野党はどうだろうか。
自民党は、小泉首相の時散々日中の間で首脳会談ができないことを民主党に批判されていた。
あれは日本外交の足を大きく引っ張った。
日本の外交的主張がどうであれ、日本と外国の間で首脳会談ができないことを、日本の責任だと批判していては、日本は外国に対して主張一つできなくなる。
外国は都合の悪いことを言われたなら、いつでも首脳会談を拒否できるからだ。
それで日本国内が分裂すればいい。
そのようなことにならないためにも、野党は相手国が会談を拒否したからといって、与党を批判するべきではない。

相手国が首脳会談、外相会談等を拒否したとしても、そのことを持って政府批判しないという、与野党の間の合意ができたとすれば素晴しい。
でも、それは今までの民主党の野党時代の行動に対する自己批判が必要になる。
民主党がそんなことをするだろうか。
怪しいものだ。

今までは竹島問題を表立って主張しないことで、外務省と自民党との間で、コンセンサスが取れていた。
それをひっくり返すのだから、民主党、外務省両方で根回しをして、竹島問題を日本側が恒常的に主張していくことで合意しなければいけないはずだ。
さもないと、今までの推移からいって、簡単に竹島問題を主張しない外相に戻るはずだ。

日本の外相の任期など短いものだ。
だとしたら、外相が変わったとしても、日本の外交方針が変わらないことを政権内で担保しておかなくてはならない。
少なくとも、外務省の中で日韓外相会談の際には、必ず竹島問題を議題に挙げると合意しておく必要がある。
外務大臣が交代しても、その外交姿勢を貫くためだ。
与党である民主党の中でも了解しておく必要がある。
理想を言えば、野党の自民党の間にも合意を取っておけば、それでもいい。
そこまで日本側が覚悟を固めておけば、韓国側も受けざるを得ない時があるだろう。
そのぐらい覚悟を決めて、竹島問題に挑戦するならば、それなりに認める。

ここまで述べてきたことは、私の勘違いかもしれない。
もしかしたら、韓国外相は竹島問題に言及したとしても、和気あいあいと会談を続けるのかもしれない。
だとしたら、私の不明を恥じるしかない。
けれども、私には前原外相は何も考えずに竹島のことを言及したに過ぎないように思う。
覚悟もないのに決裂するのだとしたら、外相として能力不足だと断ずるしかない。
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朝鮮半島情勢雑感

2010.11.26 Fri

04:30:27

朝鮮半島の話はどうも食いつきがいいようである。
アクセス数を稼ぐために、意見としてまとまっているわけではないが、とりとめのない感想を書いてみる。
今まで書いた内容と重複する部分があるかもしれないが、それは勘弁して欲しい。

** 今後の予測

今後の予測をまた立ててみる。

まず北朝鮮のチンピラヤクザモデルは変わっていない。
金が出なければ、挑発行為を続けるだけだ。

だから、その他の国の動向が問題となる。
六者協議の国の中で、この問題でのキーとなるのは、韓国と中国である。

六者協議の他のメンバー、日本とロシアは論外で、どちらも何もする気はない。
戦争が起ころうと起こるまいと、口先だけの介入しかしないだろう。
思考実験においては無視できる。

アメリカは重要だが、基本的に韓国の意思を尊重すると思われる。
北朝鮮の核開発は重大問題だろうけれど、今までの北朝鮮の行動はうそ臭すぎて信用が置けない。
今回のウランの濃縮施設も北朝鮮側が公開した時点で、はったりっぽい。
そうすると、戦争を単独で実行するのは気が重い。
北朝鮮に資金を提供するのが、アメリカ国内での保守派からの反発を考えると論外とすれば、アメリカは静観するのが一番ありえそうだ。
北朝鮮が挑発行動を繰り返したとしても、被害は韓国で発生するのだから、一義的な責任は韓国になる。
アメリカは韓国が戦争を決意すればサポートするし、韓国に戦う気がなければ静観しているだろう。

というわけで、今回の問題でまず決断を迫られるのは韓国である。
韓国は相変わらず苦しい。
地政学的に貧乏くじを引く運命にあるようだ。
戦争をするのも地獄だが、だからと言ってこのままの状態を続けると、北朝鮮の挑発行為によって民間人の被害が少しずつ増えていきそうだ。
国民の不満は高まりそうで、結果として戦争も覚悟するしかない。

** 韓国の決断はありえるのか

韓国が戦うと決意しても、簡単にはできない。
まず、韓国は大統領自体が戦時の指揮権を持っていないから、アメリカと協議をして、戦争開始で合意しなければならない。
アメリカが基本賛成してくれるとしても、戦争準備には数ヶ月かかるだろう。
北朝鮮シンパが大量に韓国にいる以上、情報はだだ漏れで北朝鮮にはすぐわかる。
そして、実際に戦闘準備をするには物資の蓄積が必要で、それは容易なことではない。
たぶん、世界に漏れ、間違いなく、ソウルへの攻撃の懸念、その他で株式は暴落、不況に真っ逆さまであろう。
ソウルに対する被害の事を考慮すると、市民の避難も大量に行なわなくてはいけない。
それ自体が経済に対して悪影響を与える。
戦う前から、そんなだから、大統領としても非常に辛い局面になる。
さらに、攻撃準備をしていることがわかっている以上、戦闘開始からソウルは大量な砲撃が襲う。
短時間で北朝鮮の砲兵戦力を殲滅できるとしても、ある程度の覚悟は必要となる。

準備万全の戦争開始がダメならば、現在手持ちの兵力による奇襲はどうだろうか。
実際に戦争をする人間としては、現有兵力による戦闘がどうなるか、長い検討を要するだろう。
素人としては、韓国は北朝鮮を圧倒できると仮定して、考えよう。
問題は中国の動向である。
戦いを仕掛けた以上、朝鮮統一のために中国との国境まで軍隊を派遣しなければいけない。
けれども、この場合中国が参戦してきたら、朝鮮戦争の再来になる可能性もある。
中国国境まで行ったアメリカ軍が中国の攻撃によって壊滅状態になったような状態だ。
アメリカと韓国が事前に戦争準備をきちんとして戦闘開始した場合は、中国軍にも勝てると思うのだが、奇襲だと苦しいような気がする。

ジレンマだが、アメリカとの合意が必要なら、戦争準備をきちんとして、戦闘開始するしかないだろう。
アメリカ軍は万全の準備をして戦いを開始する軍隊だ。
韓国の経済的な損害を気にするとは思えない。

戦争の費用もアメリカ軍の分は基本韓国が持つしかないように思われる。
辛い所だ。

** 中国の行動

そして、問題は中国となる。
韓国が戦争を覚悟して、中国に決断を迫る。
その時、中国がどういう行動を取るかだ。

今現在の状態だと、中国はのらりくらりを続けるままだ。
韓国にも、北朝鮮にも、いい格好をして、決断をしない。
北朝鮮の挑発行動による被害が韓国に局限しているだけなら、たいして問題ではない。
アメリカ軍が黄海に入ってくるのは嫌だろうけれど、実害はない。
問題なのは、実際に韓国が北朝鮮に侵攻してくることだ。
唯一の同盟国を失うこと、朝鮮戦争で血を持って贖った土地を資本主義者に渡すこと、北朝鮮との国境沿いが潜在的敵国になることなど、中国内の軍を中心とした強硬派にとっては大問題だろう。
世界一になると意識している強硬派には引けないはずだ。

しかし、今現在で戦争になると中国の勝ち目はかなり薄い。
アメリカのイラクを片付けた手並みを見る限り、普通の国では絶対に勝てない。
だから、下っ端はともかく、政府の責任者は戦争を避けたいはずだ。
結局元に戻って、決断しないパターンに入るわけだ。

そこで、韓国の決意が問題となる。
韓国が戦争決意を固めて、準備を進めれば、中国はいやでも決断を迫られる。
他の国からしてみれば、北朝鮮は中国の子分なのだから、中国が責任を持つべきなのだ。

対応方法はやはり一つしかない。
中国が、北朝鮮の替わりに韓国に金を支払い、韓国の替わりに北朝鮮に金を支払うことだ。
具体的には、六者協議をなんとか開く。
その場合、当然北朝鮮に出席料を支払う。
次に北朝鮮にうそでも言いからと謝罪してもらう。
北朝鮮は抵抗するだろうけれど、名誉の代償としてまた金を渡すわけだ。
普通の国は名誉がかかると認めないけれど、北朝鮮は金さえ渡せばどうにでもなる。
そして、韓国への賠償金も中国が当然立て替えることになる。

結論は前と一緒で、代わり映えのない記事かもしれない。
最初は、今回の事件のいろいろな評論に対して突っ込みを入れる記事にしようと思っていたのだが、今の自分の気持ちをまとめるだけでいっぱいになってしまった。
自分としては整合性の取れた論理だと思うのだが、他の人の意見を見るかぎりでは、あまり同じ意見はない。
なにか根本的な勘違いをしているのかもしれないが、教えていただけるとうれしいと思う。

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続:G20金融サミット以後の北朝鮮情勢
G20金融サミット以後の北朝鮮情勢
朝鮮半島戦争確率40%
北朝鮮はヤクザである
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続:G20金融サミット以後の北朝鮮情勢

2010.11.23 Tue

20:41:20

北朝鮮が韓国に砲撃を仕掛けた、というニュースが入った。
昨日、戦争が遠のいた、と予想を変更した私に対する嫌がらせか、と思う。
状況が変わったので、もう一度考えをまとめてみた。

まず、予想自体は変わっていない。
北朝鮮は挑発行為を続けるが、韓米日は金を出さない。
戦争の危険性が高まってゆく。
戦争をなんとしても避けたい中国が北朝鮮に援助をして、北朝鮮がほこを収め、あいまいのままに終わる。
これが基本パターンだ。

そこで今回の戦闘の原因は次のようなものだ。
たぶん、G20金融サミットまで挑発を控えろとの中国から北朝鮮への指示があった。
これは逆に言うと、サミットが終わりさえすれば、北朝鮮は好きにしろということだ
韓国はサミットで気が張り詰めていたのが、ちょうど緩んだ所を狙われたように思える。
その結果売られた喧嘩は買うというか、ガンが飛ばされた(戦闘訓練をした)から殴り返した(砲撃をした)、そんな所だろう。

中国が北朝鮮の挑発行動を抑えられるのなら、なぜ今回は止められないのだろうか。
それは北朝鮮が韓国との問題を二国間だけの問題としているからだ。
期限を切っての要請には、一応同盟国なので受け入れても、無期限の要求は認める理由がない。

それでは、再度戦争になるかどうかの予想をしてみる。
戦争になるには、韓国が北朝鮮の挑発行為に怒り狂って仕掛けるしかない。
北朝鮮側には、戦争を実施する軍事力や補給物資等はないからだ。
けれども、李明博政権は、今回の砲撃に対しても最初に自制を促すように、本質的には戦争を避けたいのだろう。
韓国国民の死者が出てもしょうがないと見切っているようだ。

北朝鮮側がやり得とみて、戦闘行為をエスカレートすれば戦争になる危険性は高まる。
韓国国民も一方的に殺されていて、政府の対応を受け入れるわけにはいかない。
しかし、衝動的に行動せず、損得で判断しようとすれば、戦争にはいきにくくなる。
監視艇撃沈事件のようにあいまいなまま終わる、そんなパターンが続きそうだ。

このパターンから抜け出すには、韓国が本格的な戦闘準備をして待つしかない。
けれども、それは中国がなんとしても戦争を止めたくて、仲介に乗り出してくるだろう。
韓国に対して北朝鮮に替わって賠償を支払い、北朝鮮に対して韓国に替わってみかじめ料を支払う。
そうすれば平和は成り立つ。

前の記事で、私が戦争確率を高く見積ったのは、韓国と中国の国としての毅然さを高く考えていたからだ。
しかし、李明博に祖国統一への熱い思いとか、北朝鮮地域の民に対する同情などはない。
胡錦濤にも、北朝鮮という道義的に問題な政権を支持する廉恥心はない。
あるいは、北朝鮮に対して決定的な行動に出るほどの内部の統一がない。
同盟国だから支持するという理屈を覆しない。
それが最終的に中国が金を出すとしているのは、決定的な行動を避けるために一番簡単なのが金を出すことだからだ。
だったら妥協は成立する。
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G20金融サミット以後の北朝鮮情勢

2010.11.22 Mon

18:57:49

北朝鮮情勢について、少し書いておきたい。
前の記事では戦争確率40%と書いていたが、現時点ではそれほど危険性がないように思える。
なぜ予想は間違ったのだろうか。

** チンピラヤクザモデルを肯定した場合

北朝鮮がチンピラヤクザであるというモデルを変えないで、現在の状況を考えてみる。
まず、最初の予測と決定的に違ったのは、G20金融サミットにおいて北朝鮮が戦争を煽動するような態度に出なかったことだ。
ここに来て、ウラン濃縮施設を建設した情報をアメリカ伝達するなど、再度恐喝的態度には出ている。
けれども、G20サミット前には、核実験の準備中などと言う情報が韓国のマスコミに流れただけで、G20サミットを止めるような行動はしなかった。

一つの理由は中国が止めたというものだ。
中国は世界に対するリーダーシップを持っていることを誇示する場として、G20サミットを支持している。
実際G20サミットの中で中国は一つの注目の的だった。
アメリカの金融緩和政策に対する各国の不満が出て、中国の元安政策が責められることもなかったのは、国際世論上は中国がアメリカの指導力争いに勝った感じさえもある。
そのようなステージを北朝鮮によって止められることは、中国にとっては我慢できないことに違いない。
中国は北朝鮮を何としてでも止めたい強い意思があった。

北朝鮮はそれを利用した。
北朝鮮は中国に対して、金正恩の後継者の立場を認めるように迫り、ほぼ成功したと思われる。
金正恩のデビューの場所としての代表者会議において、中国の外交使節が平壌に来て、親しく金正恩と会話したことは承認したと認めていいだろう。

金正日の後継者としての承認はずっと出ししぶっていた。
金正日が実質的に後継者としての立場を固めてからも、ずっと表に出てこなかったのは、中国が反対していたからだを考えるのが一番わかりやすい。
社会主義の世襲は問題だ、というたぶんとう小兵の指示によって、金正日は後継者の地位を確立できなかたのだ。
その時のことを考えると、金正恩の後継者としての立場が取り沙汰されてから、ほんの数年での承認は中国が大幅に北朝鮮に対して軟化したことを示している。
金正日の短期間での中国への2回の訪問と考え合わせると、中国と北朝鮮の間で色々な交渉があり、妥協にいたったのだろう。
北朝鮮からすると、監視艇を撃沈したことに対する利得は十分あったと考えていい。

** チンピラヤクザモデルを否定した場合

北朝鮮がチンピラヤクザモデルから離脱したという考えはどうだろうか。
金正日から金正恩に指導者が交替したと考えれば、大きく行動が変化してもおかしくはない。
けれども、金正日がまだ指導者の地位を交替していないことと、金正恩が後継に決定してから少ししかたっておらず、まだ若いことを考えると、実質的な金正恩の影響力が大きいとは思えない。

歴史を振り返えると、アレキサンダー大王のように若くして権力を掌握するケースもある。
しかし、これらのケースは、名目上の指導者の位置が交替し、危機の中で指導者に権力が集中し、それに対応できたことで指導権が確立している。
金正恩の場合はそうなってはいない。
むしろ、デノミの時の旗振り役が金正恩らしいことを考えると、それに失敗した金正恩はかなりみそをつけている。

それらを合わせると、金正日の指導力が依然として保たれていると考えるのが普通だろう。
金正日の指導力が健在ならば、特に行動パターンが変化する理由はない。

** 結論

北朝鮮がチンピラヤクザだというモデルは未だに有効だと思われる。
すると、北朝鮮が核開発するとかいう脅しで、韓国・アメリカ・日本に対して迫ってくることは変わらないだろう。
けれども、現在の韓米日の政権がそれに屈っすることは考えにくい。
韓国は幾分援助をするみたいだが、本当に雀の涙みたいな道義的な援助で前のノムヒョン政権の時とは大違いになっている。
これでは、金が入らない北朝鮮は苛立つ。
北朝鮮が行動をエスカレーションする危険性は高いが、戦争になることを嫌う中国は止めに入らざるを得ない。
中国自体が世界に対して強硬に出るか、穏健に出るかで分裂している状態では、北朝鮮に対して決定的な行動は取れない。
わずかの金で事態を先延ばしできるならば、中国は金を出すのではないかと思う。
中国がなんらかの形で北朝鮮に金をやれば、今のままの情勢が続いていきそうである。

中国にとっては北朝鮮に鼻面を引きずりまわされている状態で、不満も多い。
けれども、北朝鮮を味方にするか、敵にするか、決すことができない状態ではいたしかたない。
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朝鮮半島戦争確率40%

2010.05.26 Wed

21:23:23

朝鮮半島の情勢が緊迫している。
李明博大統領が哨戒艇の沈没を北朝鮮の潜水艦攻撃だと断定したことで、朝鮮半島は戦闘の危険につつまれることになった。
朝鮮半島がどうなるか、未来展望について書いてみたい。

まず、北朝鮮による潜水艦攻撃は意外ではなかった。
前の分析でも書いているように、北朝鮮の行動原理はヤクザそのものである。
韓国の李明博政権は前の北朝鮮に融和的な政権と違って、反北朝鮮的な姿勢を取っている。
北朝鮮は核実験やら、開城での操業にケチをつけるやら、金剛山観光を停止するなど、韓国に脅しをかけているのに、李明博政権は依然として、金を払おうとしない。
北朝鮮としては、いつまでも舐められているのが我慢できなくなり、潜水艦による魚雷攻撃という荒っぽい行動に出たのだろう。
みかじめ料を払わない店に本格的ないやがらせに出てきたわけだ。
北朝鮮は、全面戦争自体は勝ち目がないことを意識しているだろうけれど、他の国が手を出しづらいことは意識している。
韓国は戦争時の被害、戦費自体、北朝鮮自体が崩壊した場合の再開発費用などを考えると北朝鮮と戦争しにくい。
だから、全面戦争にならないように脅している。

今回の潜水艦攻撃は北朝鮮の意図に十分かなっている。
北朝鮮の攻撃が直ちに判明すると、韓国は報復せざるを得ない意味がある。
敵国に国民が攻撃されて黙っているわけにはいかない。
そこで直ちに報復すると双方がエスカレートし合って、全面戦争に発展する危険性がある。
沈没から原因が確定するまで一ヶ月以上かかると、一時の怒りから攻撃を仕掛けるわけにはいかない。
韓国は国連安全保障理事会に制裁決議を依頼することで、当面は矛を収めた。
しかし、これはある意味北朝鮮の思うつぼなのである。
実際に手を出させないで、危機を高めるのは脅しにとって、もっとも都合がいい。
金正日は戦闘準備を支持し、国連の制裁行為も戦争の宣言だと、口先の脅しを強めている。
本気に戦争をする気はなくとも、戦闘行為が準備されれば韓国にとっては大きな負担だ。

では今後の情勢はどうなるだろうか。
まず、今回の危機は金正日が起こしたものだ。
何らかの金を引き出さなければ、矛を収める気はない。
韓国にとって極めて重要なイベント、金融サミットが11月にある。
それに合わせて危機を段階的に高めていくだろう。
今まで北朝鮮の脅しはほぼ成功してきた。
だから、今回も成功するだろうと考えて自ら手を引く気は絶対にないはずだ。

それに対して、韓国の対応はもう少し異なってくる。
まず、国の面子、国民感情はどうあれ、韓国政府は金を払って事態を収束させる可能性がある。
G20金融サミットの韓国開催は韓国にとって、極めて重要だ。
国の威信の面子がかかる。
絶対に成功させたいはずだ。
しかし、北朝鮮との軍事的緊張関係が続けば、開催は大変困難になる。
強行開催したくとも、北朝鮮との緊張関係が最高度に高まっている時には、大統領自体が北朝鮮との対応に追われることだろう。
ホスト役など、とうていやってられない。
そう考えると辞退せざるを得ない。
それを避けようと思えば、北朝鮮となんらかの妥協をして、つまりある程度の金を払って、今回の事態を収拾するしかない。
この可能性はあると思うのだが、まず問題はどう収拾するかだ。
韓国軍人が殺されたのに、それに金を払うというのは、国民感情的にはとうてい認められるものではない。
中国経由で資金を回して、つまり事態の仲裁を中国に依頼して、その解決料を支払う型だろう。
その解決料は援助と名前を変えて北朝鮮に流れるわけだ。
この解決はないことはないが、難しい。
どんな理屈をつけた所でヤクザにみかじめ料を払って、手を引いてもらうに過ぎない。
国の指導者としては避けたいだろう。
ヤクザの脅しには屈っさない姿勢を示したい。

それでは、韓国が北朝鮮に対して全面戦争を仕掛けるのはどうだろうか。
韓国が北朝鮮に対して軍事的優位に立っていることは確実と見られる。
北朝鮮はガソリンの補給すらもままならない状態と聞く。
北朝鮮国民が貧しく、デノミ政策などでますます政権から離反していることも確実だ。
攻撃すれば長くは持たないだろう。
しかし、気になる問題が幾つかある。

まず第一に北朝鮮の攻撃から生じる被害だ。
ソウルが前線からの砲撃の射程距離にあることを考えると、ある程度の被害はやむを得ない。
それがどの程度になるのか。
韓国側がから仕掛けることを前提にすれば、ある程度被害は局限できる。
避難していれば人的被害は最小限だろう。
物的被害のことは頭が痛いだろうが、これで問題が解決すると思えば我慢できる。
そういう意味で覚悟さえすれば解決できる問題だ。

より重要な問題は中国だ。
中国は何と言っても、北朝鮮と友好条約を結んでいる。
この条約では、どちららが他国から攻撃された時には、無条件の全面支援を約束しているのだ。
最近、この条約は有名無実化している話もあるが実際のところはわからない。
朝鮮戦争の時にも、誰も中国が介入すると考えていなかったのに介入してきた。
今回だって介入する可能性はある。
介入しなければ、中国の約束は信頼できないと多くの国が思うだろう。
その威信低下自体も嫌なはずだ。
また、北朝鮮の山河は中国人の血で資本主義者から防衛したというのが、中国軍人の考えのはずだ。
中国軍部は北朝鮮と独自にパイプを持っていると考えられる。
軍が条約をたてに介入を主張した場合、これはどう考えても正論なのだが、中国指導部が抑えられるか難しい。
中国が介入してきたら状況は不透明になる。
そもそも通常戦で韓米連合軍は中国に勝てるのか。
中国との経済関係はどうなるのか。
外野からはいい加減に予想できても、李明博大統領にとっては容易に解決できる問題ではない。

それから戦後の復興処理の問題がある。
ドイツ統一よりもずっと金がかかるだろう。
韓国にとっては大いに負担になるはずだ。
もっとも、いつかは朝鮮統一を果たさなければならないとしたら、時期の問題だけだとも言える。
覚悟を決めれば解決できる問題だ。

韓国から北朝鮮に戦争を仕掛ける可能性はある。
けれども、困難な問題はいくつかある。
そして、ヤクザに脅されたからと言って、ヤクザの組に殴り込みに行くのはおかしい。
警察に保護を依頼するのが普通だ。
そうすると、国連安保理に提訴して、解決を待つというのが一番普通の対応となるだろう。

国連安保理の対応を考える前に主要国の対応を考えておこう。

まず、我らが日本だが基本的には韓国に追随するだろう。
クリントン大統領の時、アメリカと朝鮮との間で戦争寸前になったことがあった。
その時、日本と韓国は戦争に反対していた。
その頃は拉致問題も重大視されなかったので、あえて戦争を起こしてまで解決する問題はなかった。
そうすると、戦争自体で被害を及ぶ可能性や、戦後の復興資金などで、日本が要求される資金のことなどを考えると、戦争に慎重になるのも当然と言えた。
現在は違う。
核問題、ミサイル問題と北朝鮮は日本の脅威になっている。
多額の開発費がかかっているMD構想も、このためといえる。
拉致問題は解決しなければならない負担がずっとのしかかっている。
金正日政権が崩壊すれば、それらの問題は解決する。
そういう意味で日本はある程度戦費を持っても、韓国による北朝鮮との戦争を支持するだろう。
しかし、実際の戦闘を援助する気はない。
そういう意味で当事国から見れば、実質的には無視されることになるだろう。

ロシアも日本と同じだ。
口ではいろいろな事を言ってくるだろうけれど、実際の行動に出ることはない。
北朝鮮との経済活動も、もうあまり活発ではない。
国連安保理では何らかのアメをしゃぶらせておけば、特に文句もはさまないだろう。
日本と同じで無視していい。

アメリカはどうだろうか。
アメリカは世界で手一杯ともいえる。
イラク、アフガニスタンと軍事紛争を抱えている所で朝鮮半島で事を起こすことは難しい。
けれども、戦費自体は韓国、日本で大半は持ってくれるはずだ。
北朝鮮自体も核兵器やミサイルの販売を計っていて、アメリカにとっては気にいらないというか、積極的に政権を打破したい国のはずだ。
そういうことを考えると、韓国支持が基本だろう。
韓国が腹をくくれば、戦争にも協力すると思う。
中国が介入してくると、第三次世界大戦の始まりとも言えそうだが、核兵器を使わなければ互いに許容範囲だろう。
米中対戦なんかがあったら、世界経済がぐちゃぐちゃになりそうだけど、先が読めなすぎて気にできない。

中国の態度が一番わかりにくい。
中国はこの前の北朝鮮に対する制裁では賛成し、ある程度の圧力をかけることを認めた。
六ヶ国協議でも北朝鮮に単純に同意することなく、会議をまとめようとしている。
けれども、北朝鮮が言うことを聞かずとも、積極的に制裁をかけることはない。
石油の輸出停止などを実行すれば、北朝鮮は従うしかないように思われる。
これらのはっきりしない態度は中国が今のままの状態が一番いいと思っていることの表れだ。
中国は北朝鮮が日米韓に迷惑をかけて、その仲裁役をかっているのが有利だとみている。
実際六ヶ国協議の主催者だということは、中国にとっての国際的地位の向上になっている。
このあいまいなままの状態が続けば一番良くても、北朝鮮の暴走がそれを許さなくしている。
中国は判断を迫られているはずだが、北朝鮮との過去のしがらみから何もできないというのが実態だ。
私の考えでは、韓国が北朝鮮に戦争を仕掛ければ、口では批判するが、実際は何もしないと見ている。

それでは国連安保理の討議がどうなるか見てみよう。
中国が今のままの状態が一番いいということは、中国の時間稼ぎに終始することになりそうだ。
とにかく中国の調査団の派遣を認めさせ、何やかやと時間を稼ぐ。
自作自演説を持ち出せば時間など幾らでも稼げる。
その間に事態の緊張が緩和するのを待つのだ。
ただ、これは難しい。
仕掛けているのは、最初に述べたように北朝鮮だ。
韓国が屈伏しなければ新たな挑発を開始する。
対立はエスカレートするしかないように見える。

局面の打開は中国が北朝鮮の行動に手綱をつけて、積極的にコントロールすることにあるだろう。
北朝鮮の行動に軍事上の援助をしないという表明だけでも、北朝鮮の暴走を抑える効果がある。
しかし、今までの行動から何もしないように見え、結局対立はそのまま続くことになる。

今までの分析から今後どうなるかの確立を考えてみよう。
ケース1、韓国が屈伏する。
20%ぐらいか。
ケース2、韓国と北朝鮮が一触即発のまま対峙し、年内に戦争状態に入る。
40%ぐらい。
ケース3、韓国と北朝鮮が一触即発のまま対峙し、そのまま年を越える。
40%ぐらい。

思った以上に、戦争確率が高かった。
つまり、韓国、北朝鮮とも戦争自体は避けたいが、後に引くことはできない。
顔を突き合わせ一触即発の状態が当分続いていく。
こうなる確率が一番高く、そうすると偶発的な衝突を両方止めることができず、戦争になるということだろう。
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韓国の企業になぜ日本は勝てないのだろうか?

2010.03.06 Sat

05:39:18

ウォン安とか法人税が低いとかという理由はもちろんある。
実際韓国の企業の技術力とかがついてきて、ほぼ互角になった以上、それらの差は致命的なものになっている可能性が高い。
しかし、それ以上に大きな理由として、貿易についての比較優位の原則がある。
韓国の輸出産業はかなり偏っている。
造船、鉄鋼、半導体、携帯電話、自動車、薄型テレビ、そのぐらいではないか。
石油製品もあったかもしれない。
記憶で書いているので、それほど定かではないが、それほど広い範囲には及んでいない。
サムスン、現代自動車、LG、ポスコなどの主要企業の輸出にほとんど負っている。

日本は違う。
日本の輸出する製品は非常に幅広くなっている。
特に素材部品部門が強くなっていて、消費者ではなく生産者に供給している。
直接消費者ではないので価格よりも品質が重視されることも、それらの製品に特化しているといっていい。
そして、良く言われるように、韓国の輸出産業への素材や部品を供給しているのは日本の輸出産業なのである。

そこで、貿易の比較優位の原則が重要になってくる。
もし、日本が韓国の企業と競争している部門で勝つならば、韓国は輸出できるものがなくなってしまう。
輸出できなければ、貿易収支の悪化から、ウォン安になる。
そうすれば競争力は回復して、日本の企業を上回るようになるわけだ。
貿易収支の悪化が単純にウォン安につながるかどうかは難しい。
為替相場に最大の影響を与えているのは、金利ということになっている。
しかし、それでもサムスンが日本の企業に負ければ景気が悪くなることで、金利が安くなり、やはりウォン安になるだろう。
韓国の競争力が復活することは間違いない。

結局、日本の企業、ソニー、松下、シャープが競争しているのは韓国の企業ではないのだ。
日本の信越化学や旭硝子などの企業と戦っているのだ。
それらの企業に比べて、生産性が低いから韓国に負けている。
生産性と言っても、この場合は寡占市場における支配の能力によって、価格を上昇させる力を持っているということだ。
価格を上昇させることができるので、生産性は高くなるというわけだ。
逆に言うと価格勝負の市場の場合、韓国は勝てるようになるまでウォンは安くなる。
だから韓国の企業は勝つというわけだ。

もちろん、こういう単純ではないパターンもある。
韓国内でも組立てしていたら、採算が取れない製品も多くなっている。
携帯電話や家電とかは、中国で組立てないと競争に勝てない。
そういう部門で日本が負けるのは、日本企業の力不足だろう。
特にちょっと前の景気が良かった時に、工場を日本に持ってきたのが良かったことなのか。
その時点では、確かに日本の工場立地に優位性があったのだろうけれど、長い目で見ると問題だった気がする。
ただ、この点は日本企業も本格的に世界展開しなくてはいけないと感じているみたいなので、期待できる。
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韓国は発展しているのだろうか?

2010.02.27 Sat

04:38:13

サムスンや現代自動車が日本企業を追い落して、トップに君臨しようとしている。
経済成長率の伸びも著しい。
ファイナンスタイムズでは、次の記事を掲げて韓国の発展を評している。

韓国はもはや勝ち目のない弱者に非ず

昨年はリーマンショック後の金融危機があったにも関わらず、プラス成長を確保した。
そういう意味で前途洋々に見えるのだが、どうもおかしい。
一番おかしいのは、海外への移民が止まらないことだろう。
海外への留学とか支社への赴任ではない。
国籍を移すという移民だ。
移民が止まらないのは、韓国自体に国民があいそをつかしていることを示している。
もっとも、この金融危機で移民は止まり、逆に戻っている国民が増えているらしい。

参照:韓国人の海外移民 100万人に迫る 優秀人材も流出

国に頼らないというのは、韓国人にとってはバイタリティだろうけれど、国としての前途は怪しい。

オピニオン:日本企業よ、「ものづくり神話」を捨てて「経営力」を磨け

上記の記事に見られるように、IMF危機以後、韓国の企業構造は根本的に変わった。
アメリカナイズされ、欧米流の企業経営が貫かれるようになった。
日本の財閥型の経営構造から脱却したわけだ。
欧米型の企業構造は上と下がはっきり分かれた構造だ。
上が考え、下は何も考えずに実行する。
上の人間は戦略的に行動し、長時間働き、結果に責任を持ち、高い給与を手にする。
下の人間は言われた通りに行動し、時間当たりの賃金を受け取る。
下の人間は会社から見れば費用の一項目でしかない。
これはある意味極めて正しい経営であり、韓国や欧米の会社で成果を出している。
ただ、この考えを貫けば、労働者はどこでも同じなのだ。
自国の労働者も他国の労働者も同一視することになる。
いや、自国とか他国とかいう概念自体がない。
もっとも、この考えに従えば、上部と下部では使う言語が異ってくる。
それは、上部の人間が多言語を使いこなせれば、問題ではない。
多言語を使いこなせること自体も上部の人間にとっての能力になるわけだ。
韓国の経営はちょうどその流れにうまく乗ることによって、発展したように見える。

日本の企業が労働者を可変と見なすことを拒否したがゆえに、費用の削減が遅れた。
韓国の企業は日本との深いつきあいによって、欧米企業が容易にアクセスできない日本の部品素材産業を利用することが可能であった。
韓国の企業はその弱みをついて、世界にのし上がった。

もちろん、日本型の経営が全面的に悪いわけではない。
社員一人一人の能力の活用が必要な部門では、日本企業は健闘している。
組立産業と化している家電産業では負けていても、部品素材産業では十分戦えている。
私には、チームとしての労働者の能力が必要な部門や個々の卓越した技能を持つ労働者たちは、日本にほとんど集中しているようにすら見える。
まあ、日本型と欧米型の経営の違いについては別の話だ。
ここでは、韓国を通して欧米型経営のもたらすものについて考えたい。

経営者と労働者をはっきり分離して、経営を行なうことは現在の時代にあっている。
中国を始めとした、低賃金労働者が自由市場経済圏に急速に参入したからだ。
これらの労働者を組織化して、安く働かせるならば、企業は極めて高い利益を挙げることができる。
グローバリゼーションという流行だ。
もちろん、経営者は高い能力を要する。
外国語によるコミュニケーションを始めとした外国人とのつきあい、法治が確立していない国での政府との交渉、工業での労働者の技能のマニュアル化、投資資金の調達など、まさに難問は山積みである。
でも、だからこそ経営者の能力は試され、高い給与と高い利益率を手に入れることができる。

しかし、この経営が続いたならば、労働者の賃金は世界での平均化が進み、先進国ではどんどん下がることになる。
実際移民が多いアメリカではこれが顕著に見える。
韓国でも移民を増やして、これに対応している。
もちろん、経営者の給与が増大すれば、一人当りの国民総生産という意味では上昇していくだろう。
そして、一人当りの国民総生産が増えていけば、それを消費も増えていく。
経営者は基本的には、自分たちの国で消費するのだから、サービスを通じて、賃金は上昇するはずだ。
つまり、大金持ちが執事などを雇えば、執事の給与は結構高くなければおかしいということだ。
でも、韓国国民はそのシステムにあまり適応していない。
その表れが海外移民の増加だ。

グローバリゼーションは間違いなく世界の成長に貢献した。
多国籍企業の経営者たちが最も平均的な世界の人々の生活を向上させた。
けれども、今まで安楽をむさぼってきた先進国の労働者にとっては問題が多い。
民主主義国では、だから労働者たちが反乱を起こそうとしている。
保護貿易主義の台頭はその証拠だ。
韓国の労働争議の激烈さも、反乱の一つになる。
しかし、韓国は保護貿易の台頭を許すゆとりはない。
そんなことをすれば、直ぐ国として苦しくなる。
IMF危機は、それを示した。
リーマンショックでもウォンが大幅に安くなったのは、危機に対してバッファーが弱いからだ。

韓国経済は今の所順調だ。
ゆとりの無さは危機感を保たせ、今後の発展につながると思う。
けれども、韓国国民の一人一人は成長しているのだろうか。
所得の向上もあるが、技能の向上などを含めての話だ。
それが伸びていかない限り、本当の意味での発展があるのかと思う。
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