異をとなえん |

消費税増税もインフレもたいして変わらない

2012.06.08 Fri

20:25:20

消費税の税率を上げることに野田総理は必死に見えるが、なぜああも必死なのだろうか。
基本的には増税によって国債を出し続けるだけの政治から脱却したいという思いがあるのだろう。
他の国よりはるかに高いGDP比2倍以上の国債の累積金額は恐ろしい。
歳出の半分以上を借金でまかなっているのは、普通の家計で考えると返しようもない気がする。
でもやはり違う。

消費税を増税して借金を返す方法とインフレによって借金を実質的に減らしていく方法と何が違うのだろうか。
ぱっと見はたいして違わないはずだ。
物価が上がる、それだけだろう。
インフレ率3.5%が20年続けば、物価は倍になる。
実質GDPが今と同じならば、GDP比での国債金額は今の半分になっているはずだ。
実際には他の変数が多すぎて、正確なところはよくわからないが、実質GDPもある程度増えているならば、国債のGDP比率は減るだろう。

だから、消費税を上げるなと主張するわけではないが、上げないとしても日本経済にとって致命的な問題になるほど大きなインフレは発生しないように思える。
強いインフレが発生するのは、需要が供給を上回っているにもかかわらず、政府の支出が制約なく拡大していく状況だろう。
この場合インフレが発生しているので、金利0に近い国債を発行することはできない。
それでも政府の支出が増え、国債で賄うならば、その増加分は即国民の金融資産からの略奪であり、その分通貨価値を減殺する。
第二次世界大戦後の日本のインフレは、戦争被害によって供給能力を大幅に失ったにもかかわらず、需要はむしろ増えたことによって起こった。
政府支出を増やす必要も致命的だったはずだ。

現在の日本の状況では需要も供給も急激に増加する可能性は少ない。
需要は少子高齢化によって下手すれば減少する可能性だってある。
日本が成長できない最大の問題だが、インフレを発生しにくくしていることは間違いない。
供給も需給ギャップが存在する以上、ある程度の増加には簡単に対応できる。
つまり、需給ギャップがなくなってインフレ気味になったとき、財政赤字が発生しない方向に舵を切ればいい。
財政支出を減少させる方向に進むか、税収増加をはかる方向に進むかはわからないが、制御できないインフレを起こすことはない。

消費税増税とインフレ、どちらでも財政再建はできるだろうけど、無駄遣いは最終的に国民が支払うしかない。
だから、今行われている消費税増税論議も実行しようが、しまいがそれほど問題ではない。
問題なのは支出の無駄使いだ。
国会も支出の論議をつくす方がずっと生産的だ。

通貨の価値は変動しない方がいい。
経済は価格情報を基にして変動するが、インフレによって正しい情報が流通できなくなれば経済は効率的でなくなる。
だからインフレによって借金を返済しようとする発想は良くないが、デフレ時に無理に強行するものでない。
消費税増税をしないで最悪の状況になっても、小さなインフレが発生するだけなのだから、先送りして消費税問題を論議する時間はある。

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