異をとなえん |

グローバリゼーションが格差を拡大させる - グローバリゼーションの本質とは?(その2)

2012.03.14 Wed

20:43:54

グローバリゼーションの話を続ける。
国ごとに話をしようと思っていたが、理論的な話をもう少ししたい。

リカードの比較優位説によって、自由貿易は貿易する国々の富を増やすということが説明されている。
それと同時に、ヘクシャー=オーリン・モデルによる要素価格均等化定理によれば、賃金は同一化していく。
先進国は労働賃金が中国みたいな低賃金の国に引き寄せられていくのに、どうやって自由貿易で得をすることが可能なのだろうか。
その答えは、資本と労働の分配率において、資本の分け前がずっと大きくなるである。

この理屈をどう証明する、あるいは説明するか、いろいろ悩んでいるのだが難しい。
一応考えた理屈は次のようなものだ。

二つの国AとBがあって、Aは資本がたくさんある先進国、Bは低賃金の発展途上国とする。
ここでグローバリゼーションの革新によって、A国からB国に資本と技術を移転すれば、B国でもA国と同じ労働生産性で商品を製造できるとする。
そうするとB国からA国への輸出が低賃金によって競争力が強いので増えていく。
これが均衡するのは、A国とB国の賃金が一致した所となる。
A国においては、賃金が下がっているのだから、前と同じだけの量を生産しているのならば、資本の取り分が増えることになる。
一方、B国においても、前は生産していなかった生産が生まれたのだから、資本は同じようにその利益を増やすことが可能になる。
B国の資本はA国から投資されたものなのだから、それはA国にとっての利益となる。
だから、総量としての生産量は増えているし、A国も資本の取り分と労働の取り分を合わせれば、その総量は増えているのだ。

どうもグダグダで、なんか穴がありそうだ。
理論はともかくとして、現実はそのように説明できると思う。

アメリカはグローバリゼーションを主導することによって、大きく成長した。
多くの製造業がアメリカを離れ、新興国に進出し、その製品を輸入した。
アメリカでは製造業の労働者が減少し、賃金は上昇しなくなった。
その替わりに、アメリカの多国籍企業は大幅に利益を上げることが可能になった。
その資本の利益は株式会社の配当として分配されるより、グローバリゼーションを推進した経営者たちの手におさまった。
一般労働者と経営者の所得格差は拡大していった。
もっともグローバリゼーションによる利益が上位だけに集中していたならば、そもそも輸入を増やせず、グローバリゼーション自体が止まってしまったことだろう。
資本による利益は配当の拡大、株式の価格上昇、そしてサービス業を通して、アメリカ国民全体にしみわたり、アメリカ全体が豊かになっていった。
金融業が非常に儲かったのも、アメリカの利益の原点が新興国への資本の移動にあったからだ。

グローバリゼーションは人類全体で見れば、間違いなく成長を促進させた。
中国を中心に、ギリギリの生活で生きていた人たちが人並の生活をできるようになった。
けれども、それがアメリカの格差を拡大させたことも明らかだ。
いや、格差こそが成長のエネルギーだといっていいのかもしれない。

日本はグローバリゼーションの波に大きく乗り遅れた。
その一つの理由は格差こそが原動力なのに、それができなかったからだ。
企業が共同体経営のために、労働者を解雇できないので、新興国への進出が遅れた。
利益が上がらないわけである。
また、日本が国際化されていないこともあって、新興国での経営がうまくいかなったことも、グローバリゼーションに乗れなかった原因だろう。

もっとも、最近日本は世界への進出を加速させつつある。
現在いる社員を解雇せず、別の部門になんとか移動させることができるようになりつつあるからだ。
先進国においては、グローバリゼーションの利益はサービス業に回るから、そちらに労働力を移動できるなら、自然にみんなが利益を享受できる。

今回の記事ではグローバリゼーションがなぜ格差を拡大させるのか、説明してみた。
次回はアメリカ、日本以外の国について、グローバリゼーションがどう働くかを考察してみたい。

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