異をとなえん |

アメリカ経済がダメになる理由

2012.03.08 Thu

20:53:49

アメリカ経済復調の理由では、アメリカの大幅な財政支出の拡大をアメリカ経済復調の理由としていた。
けれども、アメリカの経済はさらに苦しくなっていくように見える。
最大の原因は石油の価格上昇だ。
石油の価格上昇は世界経済自体の成長力を低下させるだろう。
そして、アメリカ経済はもっとも石油価格の上昇に弱い。

ダメになる理由はいくらでもある。
アメリカは他の先進国に比べてエネルギーの消費量が倍だ。

人口一人当たりエネルギー消費量の推移(主要国)

当然原油価格の上昇は他の先進国の2倍のダメージを与える。
だから、ガソリン価格の上昇が一般的な消費を冷やすと言えるのだ。
アメリカ経済が減速すること、世界経済自体が石油価格の上昇で減速すること、両方が世界経済の金融を支配しているアメリカの金融産業に悪影響を与え、利益を減少させるはずだ。

さらに問題なのは、ガソリン価格の上昇が住宅価格に悪影響を及ぼすことだ。
前にも同じようなことを書いているのだが、もう少し説明してみたい。

覇権国交代の理論 - 「内向の世界帝国日本の時代がやってくる」感想

引用開始

ガソリン価格が上昇すれば、アメリカ人は自動車通勤を避け、公共交通機関への転換を図るだろう。
そして、都心の高層マンションに住むようにし、交通費を削減しようとする。
引用終了

ガソリン価格が上昇すれば、交通費をおさえるためにできるだけ通勤する地域に近い所に住もうとするだろう。
どこに住めば、自分の行動距離を最小にすることができるかという問題だが、買物は購買頻度を少なくすることによって移動距離の総量を減らすことができるし、通勤に比べれば総量も小さい。
ほぼ毎日移動しなければならない通勤の移動距離を減らすことが一番重要な問題となる。

すると何が起こるかと言えば、通勤場所がある都心近辺への引越しである。
エネルギー価格の上昇によって、増田悦佐氏が主張する自動車から鉄道への交通手段への変換がアメリカで起こるのは難しいだろう。
鉄道設備は簡単には作れないからだ。
しかし、都心近辺の建物を高層化して、郊外から都心に人口が移動するのはそれほど難しくない。
ニューヨークなどの例外を除き、アメリカの多くの都市の人口密度は高くない。

乗用車利用と人口密度の相互関係に関する研究

引用開始

アメリカの都市のほとんどは居住密度が20/haに満たず、他地域と比較して極端に居住密度が低いことに留意する必要がある。
引用終了

だから、都心中心にある、一軒家を取り壊してマンションにすればいい。
駐車場をどうするかという問題はあるけれど、それはバス交通の充実とか、車のシェアとかでカバーするのが一番ありふれた解決だろう。

その結果何が起こるか。
郊外の家は住む人がいなくなるのだから価格はさらに低下していく。
都心のマンションは住む人が増加するのだから、価格が上昇していく。
賃貸マンションの賃料も上昇することになる。

Murray Hill Journal: 住宅価格は上がらなくても家賃は上がる

上記のブログでは住宅価格は上がっていなくとも、家賃が上がっていることを記事にしている。
もっとも、賃貸と購入の場合の位置の違いがわからないから、家賃の上昇の理由ははっきりしていない。
それでもニューヨークの中心部であるマンハッタンの家賃が上昇しているのは、原因が交通費の削減にあることを示しているように見える。

1月米住宅着工は予想上回る+1.5%、集合住宅がけん引しプラスに転じる

また上記の記事では、米住宅着工件数は集合住宅がけん引しプラスに転じるとある。
米住宅着工件数の表の数値を見てもあまり納得できないのだが、許可件数の方を見ると集合住宅は一年前の14万9千件が23万1千件と顕著に増えている。

二つをまとめると、一軒家から集合住宅中心にアメリカの住居状況は変わっている。
重要なのは、交通費が原因でその変換が起こっているのだとすれば、どんなに賃料が上昇しても住宅価格の上昇に結びつかないことだ。
むしろ、郊外の一軒家は住む人がいなくなって、とことん下落する可能性の方が強い。
住宅価格がさらに下がり続けば、いつまで経ってもアメリカの需要は回復しない。
結局、アメリカ経済そのものが石油に基づいた国だったことを確認するのではないだろうか?

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