異をとなえん |

日本国債のCDSが上昇している理由

2012.02.24 Fri

20:54:25

あいも変わらず、日本国債のデフォルト話が出ている。

日本が世界金融危機の次なる「誘発点」に―米誌

私はありえないと否定しているが、それではなぜCDSの保証料が上昇しているのだろうか。
そこらへんのことを説明してみたい。
ただ、実務がよくわかっていないので私流の解釈である。

まず、自国通貨建ての国債はデフォルトしないのに、なぜCDSの相場が成り立つかである。
デフォルトしないといっても、それは絶対的なものではない。
アメリカで去年国債の発行上限の引き上げでもめたように、理屈でなくデフォルトすることはありうる。
普通デフォルトするより、インフレの方が経済にとっては優しい。
デフォルトだと金融システムに大きなひびが入って、経済が動かなくなることがある。
だから、常識的にはデフォルトするより、借り換えを続けるはずだ。
けれども、そういう常識は外国の人間にとってはよくわからない。
日本人だってアメリカ国債が政治的な争いでデフォルトしたら、意外性に驚くだろう。
そんなわけで、最悪の事態を考えて自国通貨建ての国債でもCDSの市場は成り立つ。

その場合、国債のCDSは別通貨建てでなくてはならない。
国債がデフォルトしたら、その国の通貨は暴落する。
そんな通貨で購入した資金が戻ってきても役に立たない。
だから、日本の国債のCDSはドル建てで成立している。

また、国債のCDSを当事国の金融機関が売買することは普通ないと思われる。
当事国の金融機関は自国の国債を大量に持っている。
そして、多くの取引で国債が絶対にデフォルトしないことを前提にしている。
たとえば、為替の先物取引で1ヶ月後に100万ドルを円に交換する取引が成立したならば、銀行は今直ちに100万ドルを借りて、円に交換し、それで1ヶ月満期の国債を買う。
1ヶ月後に償還された資金と100万ドルを交換し、そして借りた100万ドルを返す。
最初に取引が成立した時点で全ての利率と交換レートは確定するので、銀行は当然儲かるように取引する。
さて、問題はこの時国債がデフォルトしたらどうなるかだ。
はっきりいって、もうどうにもならない。
先物取引で交換するための資金は手に入らないだろうから、もう破綻するより仕方がない。
もちろん、100万ドルとかならば大丈夫だろうけれど、実際には天文学的な金額んある。
ネットでは小さな金額でも、累積では膨大な額になるのだ。

だから、日本の銀行が日本国債の破綻に備えてCDSを買っていたとしても何の役に立たない。
第一、今の場合だったら必要な資金は円なので、ドルで戻っても基本的には困る。
そんなわけで、基本的にCDSの市場は日本の金融機関と関係ない他所の国での話となる。

自国通貨建ての国債は、普通デフォルトしないと言った。
それならば、CDSの売り手は基本保証料をただ取りできる。
だから、売れば売るほど大儲けだ。
それなのに、なぜCDSの価格は上がるのだろうか。
その理由は、たぶんCDSの売り手は担保がいるからである。
私みたいな貧乏人が、CDSの売り手となっても、本当にデフォルトしたときに債務を肩代わりできるわけがない。
つまり、ちゃんと返せるあてがある企業しか取引に参加できない。
そして、担保を入れておくのだと思う。
結局担保のお金をCDSで運用しているのに近い話になるので、幾らでも売るというわけにはいかない。

それでは、CDSの保証料が利回りより高いというのはどういうことだろうか。

引用開始

ニューヨークとロンドンの取引所でも職員が「最近の日本国債のCDS指数は135bp前後で、利回りより100bpほど高い」と話している。
引用終了

最近外国の投資家が日本国債を買っている。
彼らは現物の資金で持って、日本国債を買っているのだから、保証料が利回りより高いのならばCDSを売った方が得なはずだ。
100万ドルの資金でCDSを売れば、135bp、つまり1.35%の保証料が毎年入る。
実際に日本国債を買うより100bp、つまり1万ドルほど得になる。
もちろん、日本国債がデフォルトすれば償還金額を支払わなければならないけれど、それは実際に日本国債を買ってデフォルトするのと同じはずだ。

答えは為替にあるのだと思う。
日本国債の利回りは円建てである以上、当然円で利息がつく。
円高に振れればドル建ての保証料を上回ることもありうる。
1%など為替変動に比べれば、あってないようなものだ。
つまり、日本国債の購入というのは円高への期待を示すものであって、利回り自体は重視していないことを示している。

もう一度、CDSの価格が上昇している理由を考えてみよう。
円が上昇すると考えている投資家は円を購入する。
そのまま置いておくと利子がつかないから、一番確実である国債で運用する。
いざというときのために日本国債のCDSを買っておく。
いざというのは、アメリカ国債のデフォルトのような本当に偶発的な事態への準備である。
この場合、単純なドルベースだと逆ざやになるはずだが、円が将来的に上昇すると考えているので許容できることになる。
将来的な運用を考えると分散投資をしていると言ってもいい。

それでは、なぜCDSの価格が上昇しているかだ。
最大の理由は海外の投資家が日本国債を買っているので、安心のためにその分CDSを購入しているからだ。
逆説的なのだが、日本の信頼性が上がっているから、CDSの保証料が利回りを上回るほど上昇しているのだと思う。

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