異をとなえん |

ギリシャの立場は強くない

2012.02.11 Sat

20:47:35

ギリシャ国民がゼネストでEUの決定に不満をとなえている。
納得しがたい。
EUはギリシャに対して金を貸そうとしているのだ。
金を借りる方が条件をつけられるなんて聞いたことがない。
貸さないよといえば済むだけだ。

もっとも、そう思っていない人もいるみたいだ。
アテネで感じた借り手の強み
その違いを考えてみた。

ギリシャの先行きはどう言いつくろうとも、デフォルトであることははっきりしている。
70%も元本カットして、自主的だからデフォルトではないなどと言うのは詭弁に過ぎない。
だから、今大事なのはギリシャがデフォルトしたとして、その後の再建の方法だ。
デフォルトしたら普通は借金できなくなる。
金を返さない相手に金を貸す相手はいない。

問題はそれでギリシャがやっていけるかだ。
完全に借金ができなくなると、何もできなくなってしまう。
たとえば、薬の輸入にしたって病気さえ治れば返せるはずでも、その一時の借金ができなくなればそのまま死んでしまうことになる。
あるいは、江戸時代の大工さんみたいな仕事がある。
雨ばっかりで仕事ができない。
大工道具は生活のために質屋に入れた。
そうすると、仕事をするためには大工道具を払い出すための一時的な資金が必要になる。
この資金は大工さんが働きにいく意志を持っていて、天気がいいから仕事があってなどと、回りの環境が整って始めて支出されるわけだ。

ギリシアにしても同じことだろう。
借金をちゃらにする、とかは簡単にできる。
国の場合は強制的に取り立てられることもない。
でも、それをしたら経済は明日から回らなくなってしまう。
ギリシャの民間の取引はまだ動いている。
でも国がデフォルトすると、取引を支えていたシステムが崩壊してしまう。
たとえば、貿易保険がかけられなくなる。
だから、経済が回るかたちで借金を整理しなければならない。

実際、EU主要国からみれば借金が返ってくるなど、もはや当てにしているとは思えない。
けれども、これから貸す金を返すあてがあるかだけは確認したい。
幾らなんでも、これを返そうという意志もなかったら見捨てるしかない。

そういう意味で、ギリシャ国民の
引用開始

ギリシャの「民意」は、「メルケルがなんと言おうと払えないものは払えないのよ」というアテネで会った失業中夫婦の一言に代表される。
引用終了
という意志は、無効だとしか思えない。

ギリシャの資金の流れを見ると、ギリシャ政府が国債で金を集め、その金で輸入をして、商品をみんなで分配して生きている。
そんな感じだ。
この流れをこわさなくてはいけない。

金を返すあてというのは、政府の財政収支が黒字になるということだが、その場合ギリシャから欧州主要国に資金が流れる。
それを達成するには、ギリシャの経常収支が黒字にならねばならない。
ギリシャの民間に投資資金がたくさん流れていれば、経常収支が赤字でも政府が借金を返している可能性はある。
けれども、それはギリシャの民間が好況だということだ。

そのためには国際競争力をつける必要がある。
それは普通賃金の引下げである。
技能をつける、技術力をつけるという解決もあるけれど、現実問題として不可能だろう。
とにかく他の国に比べて圧倒的に賃金を下げて、競争力をつけるしかない。
そういう意味でEUがギリシャに強制しつつある、最低賃金の引下げは競争力回復に役立つはずだ。

ギリシャのデフォルトがユーロ崩壊の引き金を引く可能性があるので、ドイツが最終的に譲るというのも納得しがたい。
70%までちゃらにできるならば、後30%も耐えられると見るのが普通だろう。
もちろん痛手は痛手だろうけど、不良債権をいつまでも抱えているより、きちんと清算処理をした方が回復は早い、というのは日本のバブル崩壊での教訓のはずだ。

それでは逆に、なぜギリシャを助ける必要があるのだろうか。
それは一つの国が無差別に崩壊すれば、世界の他の国にいろいろと迷惑がかかるからだ。
サラ金で首が回らない人がいても、仕事することで金を稼ぎ自分の支出を賄えるならば、仕事できないようにするより、借金を整理して自立させた方がいい。

問題なのはギリシャがそもそも自立しているかである。
自分の稼いでいる金で生活できるようにならなくては助ける意味がない。

ギリシャはユーロ加入後、一人当りGDPが倍ぐらい伸びた。
それがそもそもバブルだったとしたら、その段階まで所得を減らす必要がある。

そういう意味で実は現在のギリシャの改革でもまだ切り込み不足のような気もする。
だが、それは賃金の硬直性を考えるといたしかたないことかもしれない。
改革が進めば、今後ギリシャ内部ではデフレが強まっていくだろう。
それによって、また賃金を下げていく方法しかないような気もする。

まあ、それは将来の話だろう。
とにかく形だけでも、キャッシュフローを成立させておく必要がある。
ギリシャ政府は金がないのだから、それに合わせて支出を削減するしかない。

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