異をとなえん |

なぜドイツはECBの救済も共同債の発行も拒否するのか?

2011.11.29 Tue

21:37:01

イギリスのEconomistやFinancialTimesがユーロの崩壊を言いたてるのは、ポジショントークではないのだろうか。
ユーロシステムの崩壊はありえないと私は主張してきた。
今現在、信用のおける通貨ユーロが使われているのに、信用のまったくないであろう新しい通貨が使われることなどありえない。
そう主張してきた。

ユーロ崩壊の足音:落下物に要注意

引用開始

 ユーロ圏への参加を希望する周縁国が最初に魅力を感じる要素の1つだった安価な資金調達は、もはや過去のものだ。もしユーロ圏の1カ国が無秩序なデフォルトを余儀なくされたら、その国は独自通貨を復活させたくなるかもしれない。実際のところ、その国に残された選択肢はほとんどないのかもしれない。
引用終了

Economistでは、デフォルトを余儀なくされると独自通貨を復活させると予想している。
けれどもデフォルトしてしまったら、わざわざ独自通貨を導入する意味などほとんどありえなくなる。

新規通貨を導入すると金融システムがボロボロになり、政府がカネを支払えなくなると心配している。
そのために、公務員給与を借りろと言っている。

引用開始

 1つの方法として、公務員給与など支払うべきカネの一部を、小額の借用証書を発行して代用させるやり方がある。すると、その証書が、商品の購入や支払いに使用されるようになるだろう。
引用終了

いったい何を言っているのかと思う。
給与を借用証書で一時支払いするならば、現在のユーロで実行すればそれでいい。
ギリシャに一時たて替え払いは役に立たないだろう。
そのまま永久に返ってこない可能性が高すぎる。
でも、イタリアはそれほど悪化しているだろうか。
財政収支がほぼプラマイゼロならば、一時的に資金をたて替えておけば、十分支払らわれる可能性が高い。
イタリア国民は当然文句を言うだろうけれど、金がないから仕方がないで、黙らせる。
これはイタリア国民から、無利子である程度の期間金を借りることに等しい。
そこまで、イタリアが財政再建に必死になっているとするならば、現在の高金利も次第に下がっていくことだろう。

実際ここまで必要なのかは疑問を感じる。
イタリアの財政収支を強引に黒字にすれば、他のEU諸国からの援助も期待できる。
それで問題は解決だ。
それがドイツの考えだろう。

もちろん、そうはいかないかもしれない。
状況が極めて悪化している以上、なんらかの条件でパニックが発生する可能性はある。
けれども、それこそがECBの出番だろう。
金融パニックを起こした銀行があれば、緊急融資で銀行を救う。
ドイツもこれには反対しないだろう。
イタリア国債がデフォルトしたような事態が発生すれば、ECBが緊急に銀行に融資して金融システムが崩壊することを防ぐ。
当然国債がデフォルトしたような事態では、ECBの融資は返せないだろうけれど、それは実質ECBの銀行にして、後で金融システムが立ち直ったら売却すればいい。
イタリアやスペインなどの国債を大量に買っている銀行の国にとっては悲惨だろうけれど、自業自得だとしかいいようがない。

〔情報BOX〕イタリアに対する欧州主要銀行のエクスポージャー

図はわかりにくいけれど、イタリア国債の所有額が多いのはイタリアとフランスぐらいだ。
イタリアとフランスの銀行を潰してドイツに買収してもらえば、それで解決だ。

EconomistがECBの救済とか共同債とか言っているのは、ポジショントークとかと思ったけれど、イギリスの銀行はそれほどイタリアの国債を持っているわけではないので、必ずしも関係はないみたいだ。
ユーロ圏の外の国として、ユーロの国に迷惑をかけないで解決して欲しいという意見だ。
けれども、ドイツにとって救済することが得でなければ拒否することもまた自然である。
そして、EU諸国は他国を救済しないという原則がある以上、ドイツが拒否することもまた当然である。

Economist誌は、イタリアなどの国債のデフォルトがユーロ圏の崩壊という完全な破滅をもたらす、と主張することによってなんとか自分の損害をまぬがれようとする意見に見える。
その主張をうのみにする必要はない。

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