異をとなえん |

日本版CIA設立に反対する

2007.03.28 Wed

22:51:48

最近、日本版CIAというような、対外諜報機関を設立しろという意見が出ている。どんなものを作るか今一つ見えてこないのだが、CIAのようなものであれば、反対である。なぜかをここに述べる。

まず、反対するものを明確にしておこう。CIAのようなものとは対外諜報機関を指している。対外諜報機関を定義すると、対象国に対して情報取得等の目的のため非合法でも活動する組織である。元々の諜報機関は仮想敵国を想定し、その国と戦闘状態に入った場合に必要になる情報を各種集めているものだった。今でもイスラエルのモサドなんかはその典型だろう。

一方、アメリカのCIAはかなり特殊な例になると思われる。単に敵国の情報を取得するだけでなく、より積極的に反米政権の打倒、親米派の育成といった任務をこなしている。昔の共産圏でいうと、KGBというよりコミンテルンやコミンフォルムと言った党活動に近い感じだろうか。

では、なぜ対外諜報機関は非合法、秘密の機関なのだろうか。仮想敵国に対して、軍事情報を集めるのはスパイ防止法の例をあげるまでもなく多くの国で非合法である。今の時代だって、最も基本的な軍事情報である地図に規制が、かかっているので、これを調べる事自体が非合法である。非合法で実行している事を公開するわけにはいかないから、秘密の機関となる。

CIAみたいに政治的な活動をするならば、より非合法である。チリ、イラン、韓国などでのクーデターの背後でCIAが活動していた訳で、非合法というより当該政権から見れば完全な敵と断じていい。日本でも、戦後の一時期自民党に秘密資金を供給していた活動などがある。今の時代から見れば、アメリカに不信感を持つのは当然と言っていいだろう。

では、日本はこのような対外諜報機関を持つことができるだろうか。まず、第一に日本は専守防衛の軍事戦略を持っているから、軍事情報の取得の必要性がかなり弱くなる。相手国の地図、地理情報はいらない。攻撃された時の兵器情報などは必要だが、現在科学技術の上で日本に優位が認められている事と、当分攻撃などありえない政治情勢を考えればこれも弱い。例外として、北朝鮮があるがこれについては後に別途記述する。結局、軍事情報取得の必然性が、日本にはかなり薄い。

また、日本の外交政策の点からも対外諜報機関の必然性は弱くなる。日本の外交の基本は日米同盟中心に、国連、アジア重視の外交だが、その上に覆いかぶさるように全方位外交というのがある。全方位外交というのは、どの国とも仲良くしようという、いかにも日本らしい外交である。私は、イデオロギーを重視せず、あまり事を荒立てたくないという日本人の性質にあっていると思う。この全方位外交を取っている時、対外諜報機関を持つとどうなるだろう。非合法に活動していれば、いつかはスパイが摘発されることもあるだろう。その場合、外交上の問題が発生し、親善関係が悪くなる。ギスギスした感じが生まれる。中国みたいな国だと、対日感情悪化でデモなど起こされるかもしれない。日本としては大変な外交になる。

結局、あまり情報を取得するメリットがないのに、デメリットが大きい。日本には対外諜報機関を要らないという結論が出てくる。

ここまで、同意してきてくれた方にも北朝鮮はどうなのか、という意見もあるだろう。拉致被害者を取り返すために必要、外交関係がないのだから外交関係は悪くなりようがない、今までの私の考えだと対北朝鮮諜報機関はあっても別に問題がないように見える。

つまり、日本版CIAを作れば、北朝鮮に拉致された人の居場所がわかるようになると。そんな訳ないだろと、言いたい。CIAがイラクに大量破壊兵器を隠していると報告したのが、結局間違いだったように、簡単には手に入らない情報はあるのである。そして、偶然にもそんな情報を偶々取得したとしよう。何かの役に立つだろうか。週刊誌等で、そんな記事を見かけるが、それだけでは、ほとんど何の役にも立たない。真実だと証明できる情報で、北朝鮮に問詰める事ができて、初めて役に立つと言える。

つまり、北朝鮮に拉致された人の居場所のような情報は、北朝鮮からのタレコミに待つしかない。しかし、それが偽造された情報でない確証を得ることはとても難しいのだ。

それでも、信用性が薄くとも、集めておく必要があると思う人はいるかもしれない。だが、そのような場合は腐敗の問題が生じる。

対外諜報機関は秘密の機関である。しかも、生産物が情報という曖昧模糊としたものである。だから、どうしても腐りやすい。これを防ぐには、得た情報を利用して何らかの行動を起こし、その行動の結果から情報の真偽をある程度、予測できるものでなければならない。CIAなど批判が集中していた時などは、このような状況になっていたと思われる。北朝鮮に対して情報取得活動をする場合には、秘密にするのではなく、できるだけ公開していく必要がある。

最後に、日本版CIAは要らないと述べたが、非合法、秘密の機関は要らないという意味であって、そうでない機関はあってもいいと思われる。たとえば、緊急災害援助用の情報取得機関である。大規模な災害が発生した場合に援助を行なう事が、近ごろとみに多くなっている。現在は場当たり的な支援になってしまう事が多いと思うが、これを事前にできるだけ、計画化しようというのである。事前に起こりうる災害の予測、発生した場合の支援の方法、どのような物資をどのようにして送ればいいのか。地図、地理の情報から、その地域の人事情報まで集める情報は多い。ただ、災害支援の計画と連動しなくてはいけない事から、自ずと定まる所に定まるだろう。こんな事を公開して行なう機関はあってもいいと思う。

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