異をとなえん |

リフレ政策はやはり無効のように感じる

2011.09.22 Thu

01:24:09

アメリカの状況を考えるとリフレ政策はやはり無効のように感じる。
日本でもとにかく日銀が国債を大量に購入すれば、通貨の量が増えて、それでインフレになるという意見をよく見かけるのだが、どうも信じられない。
なぜうまくいかないのか、何回も書いている気がするが、またまとめてみたい。

まずリフレ政策というのは、国債を中央銀行が無制限に購入し続ける政策としておく。
国債を持っていた民間は有利な状況で換金できたのだから、それを投資に回すはずだ。
たとえば、通貨の供給量が増えたのだから自国通貨の価値は減少することになり、外国為替市場では自国通貨を売れば儲かることになると主張する。
この考え方自体がどうも疑問だ。
デフレのときとインフレのときとでは、通貨の量の持つ意味が全然違ってくるのではないだろうか。

インフレのときというのは、労働とその交換で手に入る効用との間で効用の価値が大きい状況だ。
たとえば、1日働いて1万円の賃金とし、1万円で旅行ができるとする。
普通の人はこれは非常に有利な取引だと判断して、どんどん働いて、どんどん旅行する。
もちろん、これは個々の価値判断だから、そう判断しない人もいるだろう。
しかし、総体として考えれば全労働量と全効用とでは効用の価値が上回り、労働をできるだけ増やして消費しようという状況がありうる。
これがインフレのときの状況だ。
人は労働によって賃金を手に入れ、それを商品サービスの効用に積極的に交換しようとする。
だから、通貨量が増加すれば、人々はさらに積極的になる。
商品サービスの供給より需要の方が大きいので、インフレが発生していく。

それでは、デフレの状況はどうだろうか。
このときは、インフレのときと逆に、労働とその交換で手に入る効用とでは、労働の価値の方が大きい場合だ。
たとえば、1日働いて1万円の賃金とし、その1万円で手に入る商品サービスでそれに見合うものがほとんどない。
もちろん、人は生きていくために必要な物があるので、そういうものはどんなものでも買う。
でも、総体として考えたとき、全労働量と全効用とでは労働の価値が上回り、商品サービスの購入をできるだけ減らそうという状況が起こりうる。
貨幣の存在がなくて、直接労働と商品サービスを交換しようとすれば、人は労働時間を減らすしかない状況のようなものだ。
現実には貨幣は存在するので、労働を貨幣で貯めておくことができる。
人々は貨幣のまま貯めていき、商品サービスと交換しようとしない。
供給より需要が少ないので、価格は常に下落しようとする。
デフレの発生だ。

デフレ状況の場合では、通貨の供給量が増えたとしても、インフレにならない。
というより、1万円の労働と1万円の商品サービスを比較したとき、1万円の労働の方が価値があると判断しているのだから、商品サービスの価格が下がらない限り、絶対に交換は成立しないのだ。
貨幣をどういじくろうとも、総体としての全労働量と全効用との間で不均衡が存在している以上、経済は停滞するしかない。

当然のことながら、全労働量の方が全効用より価値が大きい状況は普通の場合起こり得ない。
資産の価格の極端な下落があった場合だけだ。
資産を考慮して考えると、通常の場合は、全労働量と労働に見当って作られた商品サービスの効用+資産から得られる効用の価値が均衡している。
自国に油田があると考えるならば、原油を売ってその金で輸入する商品サービスはただで手に入ると考えるようなものだ。
資産に大きな変動がなければ、生産性の改善によって、労働から手に入る効用は増えていく。
そうすれば自然と経済は成長していく。
しかし、資産の価値が急に減少すれば、全労働量の方が全効用より価値が大きくなる状況が発生し、デフレの状況が発生することになる。

話を元に戻して、リフレ政策がデフレ状況のときに効果をあげられない理由は、通貨をどういじくっても実際の労働と効用の変換比を変更できないということで結論は出ているのだが、もう少し詳しくのべる。
たとえば、QE2によって、株価は上昇し、ドル安に転換した効果があったように見える。
けれども、この効果は実際のQE2の政策の効果より、QE2によってドルの価値が減少するだろうという期待にもとづいたものに見える。
もちろんQE2が直接的に効こうが、期待として効こうが、効果があるならば問題はない。
ただ、期待としての変化の最終的な効果はまた変わってくるのだ。
QE2によってドル安に変化したとしても、ドル安は商品サービス価格を上昇させる。
ただでさえ、需要が不活発なのだから、価格が上昇すればさらに需要は減少してしまう。
それは回り回って、輸入を減らし、ドル安を止める。

QE2の世界的な効果を考えても同じことだ。
ドルは基軸通貨だからアメリカがデフレ状況だとしても、世界全体を考えるとインフレ状況はありえる。
実際原油は高止まりしてるし、商品価格は高いままだ。
アメリカ以外の国はドルが低金利で供給されることによる成長効果を享受できるかもしれない。
しかし、アメリカでは原油や商品の価格が上昇すれば、需要が減るだけだ。
ドル安による輸出増大の効果は輸入価格の上昇による輸入の減少によって、打ち消されてしまう。
アメリカでは輸入の方が輸出より大きいことを考えれば、かえって景気に悪影響を与える。
リフレ政策はうまくいかなくなる。
結局止めざるをえない。

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コメント

278

>リフレ政策というのは、国債を中央銀行が無制限に購入し続ける政策としておく。

もう、この時点で何もわかってないお馬鹿さんが藁人形に向かって攻撃しているようにしか思われませんよ?「自分は馬鹿である」と世間に向かって公表する、露出プレイ・羞恥プレイのような行為です。見せられた方はたまったもんじゃありません。

正直、リフレ政策は期待や制度が経済に与える影響や、過去の債務契約といった粘着的な名目価格、あるいは貨幣や国債といった財・労働力以外のものに対する超過需要など、様々な概念や理論を知らなければ理解できない難しいものです。そこから導かれる行動指針が仮に簡単で単純なもののように見えても、それが効果を持つ波及経路を理解するには、基となる概念や理論を学ぶ必要があります。

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