異をとなえん |

アメリカの格下げの影響は?

2011.07.26 Tue

03:50:20

アメリカの国債の格付けが引き下げられようとしている。
格付け会社は財政再建プログラムが予定通り進まないと、AAAから一段階落として、AAにすると主張している。
アメリカ議会での交渉は順調に進んでいない。
順調に進まないことを前提として、実際に引き下げられた場合、影響はどのようになるだろうか。

すぐどうこうといった影響はないと思う。
前から主張しているように、自国通貨建ての国債にデフォルトリスクはない。
あるのはインフレリスクだけである。
インフレが発生すると、その通貨建てで発行している債券はすべて影響が生じる。
だから、ドル建ての債券ではアメリカ国債の格付けが一番高くて、それ以外の債券はアメリカ国債の格付けより低くなる。
アメリカ国債の格付けを引き下げることは、ドル建ての債券を全てずらす意味しかない。
格付け会社が、AAAの格付けを民間企業に取っておいたとしても、アメリカ国債より信用度が高いわけがない。
整合性を取っていなくとも、投資家の方はそのように対応する。
だから、投資家の社内規定がどうあろうとも、その規定を変更して対応するだろう。
アメリカ国債がAAA格付けでなくなったとしても、アメリカ国債を売って、買い替えることのできる債券はない。
現状維持が関の山だ。
そういう意味で債券市場に大きな影響はないと思う。

もっとも、格付けの変更で株式市場は敏感に反映することがある。
よくわからない所だ。
ただ、短期的な影響はともかくとして、時間が経てばその効果も吸収されるだろうから、大きな影響がないのは変わりない。

じゃあ全然影響がないと断言していいかと言えば、そうでもないかもしれない。
一番大きな問題はアメリカに外国資金が流入してくるかどうかだ。
アメリカの国債を買っているのは、FRBと中国、日本、それにイギリスから流れてくる中東資金が主な所らしい。
大口所は資金量が多くて動きようがない。
中国も元とドルを固定相場に近い感じで運用している以上、アメリカ国債を買っていくしかない。
新興国は為替相場をドルとの固定にしようと介入し、外貨準備を積上げている。
こんな風に考えていくと、アメリカに流れてくる外国資金もそれほど影響がなように見える。

けれども現在のドルの弱さを気にして、他の通貨で外貨準備を運用する流れもある。
中国が日本の国債を買っているというニュースも出てきている。
格付けの引下げは、外貨準備をドルだけで持つことから、いろいろな通貨で外貨準備を持つ流れに変える可能性がある。
各国が外貨準備をドルだけから他通貨にも分散した場合、アメリカに流れる資金の流れが細くなる。
アメリカはたぶんそれを補うために、世界に分散しているアメリカ資本を引き上げる必要が出てくる。
長期的に見た場合、それはアメリカの基軸通貨ドルの終わりの始まりになるかもしれない。

そんなに先走っても意味はないか。
結局、アメリカ国債の格下げは、短期では心理的な変動があるかもしれないが大きな影響はないというのが結論である。

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