異をとなえん |

金融業はローカルな産業である

2011.07.06 Wed

04:07:53

ちきりんさんの「金融業なんてむいてないし、東証も要らない。」という記事が、なかなか神経を刺激してくれて感心する。
文章は人の感情を刺激してなんぼのところがあるから、読んで何の感想も出ないのが一番悪くて、感動したとか、参考になるとか、真似したいとか、思わすのがいい文章である。
極論を書き、反論を書きたくさせるのは一つのテクニックであって、参考になる点が多い。
今回の文章もうまく感情を刺激してくれたので、反論を書きたい。

文章全体の論旨より、個別の文単位に納得がいかない部分が多いので、特に刺激された部分に反論する。

引用開始

金融って、最も世界共通が進みやすいビジネスでしょ。お金はお金であって、made in Japanのお金という概念もないし、ニーズの違いもないです。どこの国の人も運用するなら10%の利子の方が5%の利子よりいいと思ってる。世界共通の商売は英語で行われるようになるのが必然。英語が苦手な日本人には向いてない。
引用終了

これがよくわからない。
私には逆に思える。

金融ほどローカルで、属人的な産業はない。
大規模な投資をするので、金を借りようとする人がいる。
銀行が金を貸そうとするとき、担保があればいいけどない場合どうするか。
銀行は投資計画を綿密に検討し、借りようとする人のことを徹底的に調べようとするだろう。
その上で、借り手が信頼できるかどうか判断して決めるわけだ。

だから、信頼というのは一番重要な要素で必然的にローカルな世界になっていく。
信頼する範囲は、身内、友人、同郷人、自国民てな感じに拡大していくからだ。
言葉が通じない人間の信用なんてものは簡単に計れるわけがない。

現在の世界ではアメリカを中心とした金融システムが確立している。
アメリカが世界に金を貸すわけだが、そのために金を借りようとする人はアメリカの大学にいって、そこでコネを作り、アメリカ人との間に友人関係を作っていく。
アメリカはさらに世界に安全保障を通じて、他国の政治に大きな影響を持っている。
これらのコネがアメリカから世界への資金の供給を円滑にし、多大な利益を上げる基本となっている。

日本は金融業に向いていないというか、このシステムに入っていない。
だから、野村證券の海外進出がずっと失敗していたのも当然だと思うし、現在のリーマン買収による進出も成功するとは思えない。
けれども、日本の金融業は世界に直接金を貸す必要はない。
海外進出する日本企業に金を貸せばいい。
日本企業ならリスクもわかる。
調達金利は世界で一番低い。
十分やっていけるはずだ。

バブル崩壊以後、日本企業が金を借りなくなって、金融業はずっと苦しかった。
企業は金を借りたがらない性質がしみついてしまって、今後も金融業はそんなに楽観できない。
でも、前にもあげたように、日本企業の海外進出はさかんになりつつある。
そこに金を貸し出す余地はでてきている。
そうなれば、日本金融業もだいぶ未来は明るくなるはずだ。

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409 「モノ作りで稼いだ金は、金融取引で稼いだ金より尊い」

昨日の続きで、ちきりんさんの「金融業なんてむいてないし、東証も要らない。」という記事を批判してみたい。 引用開始 (6)お金が汚いものだと思ってる・・ しかも一部の人は「モノ作りで稼いだ金は、金融取引で稼いだ金より尊い」と信じてる残念さ。 引用終了 そんなにお