異をとなえん |

お金があることとないこと

2011.06.25 Sat

05:53:02

お金がある人とない人では使い方が全然違う。
お金がある人は余裕を持った使い方ができる。
まとめて買えば割引をしてくれる商品で、本当に必要なものなら今必要がなくとも買う。
それに対してお金がない人は悲しい。
日々使える金に制限があるから、一個あたりの費用よりも総額を重視して買物をしなくてはならない。
長期を見れば損なことでも、仕方がない。
割引率よりも、絶対額なのだ。

投資も同じだ。
お金があれば余裕を持って投資することができる。
将来性のあるハイリスクハイリターンの株や商品を買うことができる。
危険は分散投資をすることで軽減すればいい。
余裕があるので、長期間投資が戻らない状態にも耐えられる。

お金に余裕がないと、そうはいかない。
分散投資をしようにも、総額に余裕がないので投資対象を絞らざるを得ない。
長期間資本を寝かすのも非常につらい。
いつ借金の返済を迫られるかわからないからだ。
だから、どうしてもリスクの少ない、リターンの小さい投資をすることになる。

バブル崩壊後の日本は典型的なお金のない国だった。
ある意味不思議である。
その頃すでに世界一の純債権国で、世界中に資産を持っていたからだ。
けれどもバブル崩壊によって、日本国内の資産価格が暴落し続けたために、企業も人もずっと貧しくなり続けた。
その結果資産を寝かしておくことができなくなり、大量に売却を続けた。
バブル前に高値づかみをしている資産だったので、損をして売るしかなかった。
リスクのある資産を売り払い、日本の銀行が投資するのは、いつでも換金できる日本国債だったり、アメリカ国債になった。

ITバブルが崩壊し、911のワールドトレードセンターの攻撃以後、ブッシュ政権は金融緩和政策と軍事増強政策を取り、景気刺激を続けた。
日本はアメリカ国債を大量に購入した。
アメリカ国債を買うことによる利益はたかが知れていた。

参照:このままでは日本沈没

引用開始

 実際、1990〜2010年の期間で10年物の日本国債と米国債を比較すると、金利は米国債が平均して2.84%高い。ところがこの期間にドル相場は円に対して年率平均で2.80%下落している。金利格差は為替相場の変化でぴったりと帳消しになっている。
引用終了

日本国債を購入するのとほとんど同じだ。
それでも、リスクをできるだけ抑え、なおかつある程度の利益を上げる投資対象はそれしかなかった。
企業はリスクのある投資をするより前に、もっとも確実な投資、すなわち借金の返済をし続けた。

そして、ようやく借金の苦しみからの解放が見えてきた。
企業は少なくともキャッシュリッチになり、積極的に投資する体制をととのえつつある。

実際、日本企業の海外への投資は増えつつある。
M&Aも増えている。
武田薬品のスイス「ナイコメッド」社の買収金額は1.1兆円で日本の歴代三位だ。
武田薬品は半分を自己資金で、半分は借入金でまかなう予定だ。
それだけのリスクに耐えられると判断したわけだ。
普通ならば、アメリカ国債を買うよりもずっと有利な投資になるだろう。
銀行や証券会社も武田薬品に資金を供給することで、国債なんかよりもずっと有利な投資ができることになる。

バブル崩壊後の資産価格の下落で、企業も人も資産をすべて現金かそれとほとんど変わらない金融商品に変えてきた。
資産価格の下落もストップしたように見える。
とは言っても、金融危機の大暴落で、さらなる下落はあった。
今後の状況もはっきりとは見えない。
けれども、ほとんどの資産を現金に変更した以上、もうあまり怖くはない。
自分たちの得意な場所で戦えるならば、リスクを持った投資をすることができる。
外国への日本の投資が増えているのは、それが理由だ。

バブル崩壊以後、ずっとお金がなかった日本もようやくお金がたまってきた。
リスクのある投資ができるようになった。
投資が成功すれば、資産が増えてゆく。
企業がもうかって、日本の会社の価格を上げてゆけば、日本株を持っている人もお金持ちになる。
お金持ちはたくさん消費をする。
日本国内でお金が回るようになり、景気はよくなる。

バブル崩壊後の不況はあまりにも長くて、夜明けがこないかのように思える。
けれども、企業が投資を開始しているのは、明らかに状況が好転している証拠だ。
夜明けは近い。

関連記事
日本の好景気の条件 - 為替レートはどう決まるのか?(その10)

このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURLはこちら