異をとなえん |

続:なぜ日本の総理の任期は短かくなっているのか?

2011.06.06 Mon

01:31:55

前回の記事では、予算の削減を国民が求めている理由の説明がなかった。
その説明を追加してみた。

バブル崩壊以後、日本経済はずっと需要が少ないために苦しんできた。
需要不足で物が売れず、物価はデフレとなり、ひたすら下がっていった。
日本の名目GDPは昔500兆円を越えていたものが、最近では470兆ぐらいになっている。
ただ、実質のGDPは増えている。
名目は減っているのに実質が増えていること自体がデフレを表しているけれど、要するにお金の価値が上がっているのだ。

デフレが定着することで、日本経済の名目賃金はずっと減少傾向を続けている。
その中でデフレ傾向を示していない所がある。
それが政府、地方自治体だ。

デフレというのは価格が安くなってサービスそのまま、あるいは価格も安くなってサービスも安くなるということだ。
所得は下がったけれど商品サービスの価格も下がることで、均衡は取れていた。
その中で価格がほとんど変わらない商品サービスは高値という認識を強く持つ。
それが政府・地方自治体となるわけだ。

政府・地方自治体というのは普通の意味での商品・サービスを供給する企業ではない。
独占的な市場の支配者であり、かつ強制的に価格を決定して、それを取り立てる能力を持っている。
だから、通常の状態でも政府は怨嗟の的であることが多い。
けれども、長期間サービスを続けることによって、その価格を仕方がなく納得していく。

最近と言っても、もう二年近く前になるが、家の近くに橋ができた。
橋と言っても、人と自転車だけが通れる橋だ。
すぐ近くに普通の橋もあったけれど、駅に近くいけるようになったので、とても便利に使える。
私が橋を渡るときには必ず人がいて、絶えることがない。
その橋がかかっている川辺にも道ができて、川面を見ながら散歩できるようになった。
私の住んでいる区は、人口が増えていることもあって、税金は変わらないのに、サービスは増えているような印象がある。
だから、あんまりたくさん金がかかっているとやだけど、感覚的には納得できている。

でも人口が増えている自治体などほとんどない。
総人口が減っている以上、人口の減っている自治体が当たり前になっている。
人数が減ると規模の経済が働かなくなり、効率が落ちてサービスが減る。
あるいは、財政危機の深刻化でサービスが減る。

以上の理由から公共サービスは、物凄く高いという印象を強く持たれることになる。
だから、大阪府の橋本知事や名古屋の河村市長のように、公共サービスの価格を下げようと努力する政治家を強く応援することになる。
本質的には効率を改善して、現行のサービスのレベルと公務員の給与を維持したまま、税金を安くできれば理想的である。
でも効率の改善は簡単にはいかない。
そいううわけで、少なくとも公務員の給与を引き下げて、自分たちと同じレベルにするように政治家には努力して欲しいのだ。

今の例は地方自治体だが、中央政府も同じことだ。
無駄な仕事をしない、効率を改善する、公務員の給与を上げない、政治家を支持する。

でも、日本の政治は基本的に圧力団体による連合としての性質が強くある。
圧力団体が自分たちの利権を守るために投票をし、資金を集めていくのに対して、普通の個人や企業は利権みたいな物に拘泥していない。
だから、圧力団体に政府の支出が回ることは多いが、バブル前はそれなりにシステムは動いていた。
成長の果実を手に入れられていれば、ある程度の扶養は許容範囲になる。
高度成長の時代都市に集まった地方出身者は親のいる地方にある程度金が回って欲しかったのだ。
一般国民を代表する圧力団体がなくとも、利益は分配できていたわけだ。

それが、バブル崩壊以後は一般国民は分配できるほどの成長の果実がなくなった。
それなのに、公共サービスの価格質に満足できない。
一般国民は政治家にずっと不満を持つようになり、その方向に動かない首相の支持率はすぐ下がることになる。

日本の政治システムにおいては基本的に全員の合意を求めていく。
十分に成長していた場合は全員に利益が分配できていた。
でも成長速度が大幅に低くなると、全員に利益を分配できなくなってしまう。
利益の分配をやめるしかないが、政治家は利益の分配に関与している人間がほとんどだから、そう簡単にいかない。
小泉元首相みたいに、多くの政治家を敵に回して利益の分配を止めようとすると、一般国民からの人気を得られても、政治家からは反対が多くなる。
逆に、多くの政治家の支持を集めようとすると、一般国民の利益を守ることができないので、支持率が下がり、総理の任期が短命になってゆく。

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