異をとなえん |

購買力平価について - 為替レートはどう決まるのか?(その2)

2011.06.01 Wed

02:41:48

前回の記事では、金利差0の場合購買力平価に為替レートが決まるとしたが、正確には違う。
貿易財の購買力平価に見当った水準に為替レートが決まると言った方が正しい。
単なる購買力平価だと、消費者価格の購買力平価を指すのが普通だから誤解を招く。

実際、国際通貨研究所の主要通貨購買力平価によると、現在の消費者価格の購買力平価は1ドル132.74円だ。
企業物価による購買力平価は100.95、輸出物価による購買力平価は65.12となっている。
貿易財による購買力平価としては輸出物価による購買力平価を使うのが正しいだろう。

輸出物価による購買力平価って、そもそも何を表わしているのか、と疑問を持ったけれど、それは主要通貨購買力平価(PPP)Q&A(PDFファイル)を参照にして欲しい。
要するに、1990年のときに150円ぐらいで輸出していた商品を今は65円ぐらいで輸出しているという話だろう。

と考えたけど、これはおかしいな。
これではアメリカ側の物価の変動を考慮していない。
アメリカの物価の変動がないとした場合、150円の物を65円ぐらいで輸出しているという話だ。
そうすると実際は日本の輸出商品の価格はあまり変わっていなくて、アメリカの方の輸出商品の価格が2倍以上になっているのだろう。

相対的購買力平価より絶対的購買力平価を使う方が理想なのだろうけれど、この値でもそれほど問題はない気がする。
実際、2001年ごろから輸出価格による購買力平価は常に実勢価格を上回っていて、輸出企業が円安利益を満喫していた話と整合している。

さて前回の話と考え合わせると、輸出物価による購買力平価は1ドル65.12円で、この価格に金利差がない場合一致すると仮定できる。
具体的投資で考えると、債券に投資したときの為替相場より円高に振れ、この輸出物価による購買力平価を上回ったら、単純に円に換金すると損になってしまうこともある。
けれども、その場合アメリカで商品を買って日本で売却すれば、理屈としては輸出物価による購買力平価で換金できるはずだ。
だから、国債を中心とした債券投資の話では、輸出物価による購買力平価にまで円高に振れたとしても、その時点で利益が出ているならばアメリカ国債に投資してもいいわけだ。

前回の話の補足説明で終わってしまった。
この結果何が言えるかについては次回に。

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