異をとなえん |

なぜ日本はグローバリゼーションの恩恵に預かれなかったのか? - ガラパゴス化は必然である(その14)

2011.05.18 Wed

20:00:56

前回の記事では、日本のバブル崩壊後の世界経済の成長が新興国を世界経済に取り込んだことによるものと述べた。
新興国が世界経済のシステムに参入することで、金融による利益が増大し、その利益が世界全体を潤したにも関わらず、日本はその成長の恩恵に預かれなかった。
日本がガラパゴス化しているという批判は、その成長、つまりグローバリゼーション、による恩恵に日本が参加できていない所から来る。
今回はグローバリゼーションに参加できない理由について述べたい。

** 日本がグローバリゼーションの恩恵に預かれない理由

アメリカがグローバリゼーションによる利益を甘受できた理由は、新興国に資本、市場、経営、技術を供給し、その替わりに極めて安価な労働力を新興国から受け取れたことだった。
日本には新興国に供給できるものがなく、さらに受け取れるものもなかった。

日本には資本がなかった。
バブル崩壊後の資産価格の下落によって、不動産だけで1200兆円近くを失った日本には外国に投資できる資本がそもそもなかった。
ただ、これはバブル崩壊の期間を通して見れば資本不足だったが、時期によっては微妙に異なっている。
1994年の円高局面では、海外に進出する資金は出てきた。
あまりにも円高になったので、採算が有利になり資金が出てきたと言えよう。
でも、バブル崩壊後は全体としては資金不足だった。
これについては、後でもう一度述べたい。

日本には市場がなかった。
バブル崩壊後の需要の縮小によって、日本の内需はずっと低いままで、デフレ傾向にあった。
海外で生産した製品の価格が低くても、市場が縮小しつつある所に入っていくのは難しい。
もっともこれは卵が先か、ニワトリが先かの論争に似た所もある。
積極的に安い輸入品を増やさなかったから需要が伸びなかった、という考えもあるだろう。
ただ、どちらにしても消費が減りつつある状況で、その流れを変えるのは難しかった。

日本には経営がなかった。
海外で経営を行なうには、進出した国とコミニュケーションを取る必要がある。
日本は世界のエリート層の共通語である英語の能力に欠けていて、簡単に企業の進出ができなかった。
企業の進出に伴なう労働問題の摩擦などを、出先の政府と交渉する能力に欠けているということだ。

日本に技術だけはあったと思う。
海外に移転する製造技術はあったが、それだけだった。

日本には労働力を受け入れる余裕がなかった。
バブル崩壊後、需要が減少したことによって労働者は余っていた。
労働者が余っていれば、当然賃金は減少傾向になる。
現時点では採算が取れていても、日本の賃金が減少し、進出先の賃金が上昇すれば採算割れになるかもしれない。
そういう状況が、海外に積極的に進出することを妨げた。
また、終身雇用的な日本の経営が労働者を解雇しづらくしたことも、その原因の一つだろう。

** 海外進出の停滞

日本企業が外国に移転できなかった理由を述べてきたが、実は1994年ごろ円高のために製造業を中心に移転が行なわれた時期もあった。
財政政策によるテコ入れで日本経済は小康状態を取り戻し、円高のせいもあって製造業中心に海外に移転が行なわれた。
その結果アメリカ型のグローバリゼーションによる景気回復が起こり、1995、1996年と3%ぐらいのかなりいい成長率を保つことができた。
この景気が崩れたのは、銀行の不良債権の糊塗が限界に達し、破綻し始めたからである。
本来ならもっと下がるべき土地の価格を、銀行は損失を表に出さないために、見せかけの取引を行なってごまかしていた。
見せかけの融資で破綻企業を一時的に持たせていたが、景気が悪くなると銀行自体の資金繰りに問題が生じ、崩壊した。
その結果、日本は再度均衡点を目指して需要が減少し、海外進出を継続できなくなった。

ないない尽くしだから、日本の企業が海外に進出できなかったのも当然と思えるが、1994年ごろの海外投資の増大は条件さえ整えばそれなりの進出が可能だったことを示している。
バブル崩壊後の日本というのは、金利が下がったことで円安に振れるのが当然だったと思う。
金利差があれば、金利が安い国から高い国へ資金が流れていく。
けれども、日本企業は借金返済のために世界中から資金をかき集める必要があった。
三菱地所のロックフェラーセンターの投売りは、損をしてでも日本に資金を戻す必要があったからだ。
1994年ごろの円高はそのためであり、長続きするものではなかった。

海外進出が一時的なものに留まったのは、円高などの臨時の条件によって進出ができただけで、その条件が終われば利益を増大させていくことができなかったからだ。
円高によって海外に進出することは有利になったが、日本の需要縮小傾向が変わらないと、企業の利益は増えていかない。
企業の利益が増えなければ、株価は上がらず、資産の増大による需要の拡大というサイクルにつなげられない。
これではグローバリゼーションによる、多国籍企業の恒常的な利益の確保ができない。
結局バブル崩壊局面におけるグローバル化に無理があった。

** まとめ

どうも、うまく論旨をコントロールできなかった。
日本のガラパゴス化が、グローバリゼーションの時期でも必然ということを示したいのだが、記述が散慢になった割に大事なことが書けてない気がする。
次回も同じことの繰り返しになるかもしれないが、もう一度別の観点から見るような方向で挑戦したいと思う。

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