異をとなえん |

世界経済に関するスケッチ

2011.01.28 Fri

04:28:58

商品価格が上昇している。
リーマンショックの原因が資源価格の上昇とするならば、今回の資源価格の上昇も不況を起こすだろう。
資源価格の上昇に焦点をあてて、世界経済の先行きについて、つらつらと考えてみた。

世界経済を一つとしてとらえたとき、その特徴はどうなるだろうか。
まず、最初に挙げられるのは、中国を始めとした新興国の台頭だろう。
中国の鉄鋼生産は約6億トンと急激に増加した。
ほんの少し前、世界の生産量合計が同じくらいだった時代から見ると大変な上昇である。
中国はその人口に見当った消費と生産を担うべく、経済が急激に成長している。
中国だけではない。
インドの成長も著しい。
10億を越える人口を持つ二つの大国の成長は、世界経済を急激に変化させている。
インドの経済はまだ小さいが、中国の経済は日本を越えて世界第二位のGDPを持つ国へと変化させた。
そして、10%近い高度成長はまだ続いている。

中国は膨大な資源を世界中から貪り食い始めている。
世界のあらゆる国々に進出し、投資をし、資源を輸入している。
そして、リーマンショック後の商品価格の下落はとうに終わり、今やリーマンショック前の価格に戻ろうかという勢いだ。

経済と資源の関係はどうなるだろうか。
技術に根本的な変化がないと仮定すれば、GDPの合計と利用できる資源の量には、ほぼ一定の比例関係が成り立つだろう。
石油、石炭、天然ガスなどは価格によって需要が変化するだろうけれど、大きな関係で見て、まあ一定と仮定する。
その場合、経済規模が大きくなるにつれて、資源も同じスピードで開発を続けなければならない。
しかし、これは短期的には難しい。
石油みたいに枯渇が心配され、開発量を増やせない不安の資源もある。
世界全体の成長率は去年4.75%と5%近いみたいだが、資源の開発が追いつかなくなりつつある。
それが今の価格の上昇だ。

経済成長の速さに資源開発が追いつかなければ、強制的に経済成長が抑えられる。
理屈から言えば、資源開発の速度に合わせて経済は成長するはずだ。
素の経済成長率が5%だとして、資源開発の速度が3%とすれば、実際の経済成長率は3%になるということだ。
実際の経済はこんなにうまくはならない。
経済が急激に成長すれば、資源価格は急激に上昇し、経済は打撃を受けて不況に近づく。
その結果、資源価格は急落し、それによって景気は持ち直して、経済は再度成長を開始する。
二つの振り子が互いに影響を及ぼしながら、複雑な運動をするようなものだ。

第二次石油ショック以後、資源価格はどちらかというと安い状態のままだった。
余剰が存在しているので高くならないのだ。
経済は資源による制約がない状態で成長できていた。
それが、資源の制約がある状態へと変化した。

資源を消費する国の成長は一定ではない。
今の状態では、先進国の成長率は低く、新興諸国の成長率は高い。
資源価格の上昇がどのように影響を及ぼすかは、わからないが、先進国の方に厳しく働く可能性が強いかもしれない。
問題は先進国の成長率が下がれば、需要が減り、輸入が減ることだ。
先進国、特にアメリカの消費が世界の成長の原動力だったとすれば、その消費が減り、輸入が減ることは、世界の成長率を下げることに他ならない。
リーマンショック後のアメリカの不況が世界に伝播したことだ。

好況と不況を繰り返しながら、世界経済の成長が資源開発の成長と同期することはありうるだろうか。
それは疑わしい。

リーマンショック後の不況は各国の政府の財政支出の大幅な増強によって克服したけれども、回復したのはそれだけが理由ではない。
資源価格の急落によって回復した面も多分にあったはずだ。
資源価格が元に戻るにつれて、再度需要は減少を開始する。
先進国の経済が弱く、新興諸国の経済が強いとすれば、この現象を繰り返すことによって、より新興諸国の資源消費量は増えていき、資源価格の変動の影響を受けやすくなる。

中国を新興諸国の代表とすれば、先進国の需要が減少するから、中国の輸出はより難しくなる。
資源価格が上昇するから、輸入額は増えていく。
この状況は問題だ。
何が根本的に違うかと言うと、資源に制約がない状況のもとでの成長を仮定して動いてきた経済が、それを下回った成長率になれば、経済はうまく動かない。
10%成長を仮定して借りた借金は、5%成長では返せない。
不良債権が大量に発生して、資産価格が大幅に下落する。
ただでさえ、中国はバブルが発生している面が強いのに、資産価格が下落に転じれば、成長は大幅に減退するだろう。

中国経済がバブルという固定観念が強いせいか、どうも結論がその方向に傾きやすい気がする。
ただ、中国経済が大きくなるにつれて、資源の制約はより強くなってゆく。
中国の経済が資源の消費量が極めて大きいことを考えれば、中国経済の成長はどう考えても世界の利用できる資源の成長に同期するしかない。
商品価格が簡単に上昇するということは、資源の制約がすぐそこに来ていることを示している。
資源の開発が直線的な物ではなく、でこぼこしやすいことを考えると、経済成長もでこぼこしやすいのは確実だ。

実際はもう少し違いそうだ。
前の石油ショックは二度起こった。
二度目の石油ショック後は、資源の制約が起こらない所まで世界の成長率が下落した。
今回の状況も同じ可能性がある。
今回の資源価格の上昇によって不況が発生すれば、世界の成長率は同じように資源の制約が起こらない所まで下落する。
その場合、先進国と新興諸国の間で、成長率をどう分配するかは、予測が難しい問題になりそうだ。

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