異をとなえん |

続:ガラパゴス化とは何か? - ガラパゴス化は必然である(その12)

2011.01.20 Thu

00:05:02

前回、ガラパゴス化の本質を「アメリカ文明が活力を失いつつある今、それに代わって生まれようとしている文明の先駆的現象」と説明した。
この意味をもう少し考察したい。

** 文明とは何か?

まず、文明とは何だろうか。
文化がローカルな地域であるものに対して、むしろ普遍的に多くの国で使われる物が文明だ。

古代、日本は中国から、稲作、漢字、呉服、法律、儒教、仏教などの文化を輸入した。
中国を中心に生まれ、整備された、それらの文化は中国周辺諸国に広く普及し、各国はその影響の元で生活していった。
つまり、文明は古代からいろいろあれど、中心となる国があって、それが周辺に伝播していく形は似ている。
最先端の国から溢れ出していくわけだ。
基本的に複数の国が一つの文明を共有した例はないと思う。
ギリシャ・ローマ文明などという例もあるが、ギリシャ文明を継承したローマ文明というだけで、同時に併存しているわけではない。

近代に入って、イギリスで産業革命が起こり、それに伴ってイギリス文明と呼ぶべきものができたと思う。
鉄道、蒸気機関、サッカー、ラグビーを始めとしたスポーツなどが、その対象であり、世界中に広まっていった。
それを継承してアメリカ文明が生まれた。
自動車や映画はそのオリジナルがどうであれ、実質的にはアメリカによって世界に広められた。
フランスやドイツなども世界に広まっていく文化はあった。
けれども、それが文明という形で呼べないのは、イギリスという中心に取り込まれて、それが広まる形で伝播したと考えているからだ。

世界の先端を行く国家の文化が、影響力を拡大することによって、普遍的な文明と呼べるものになる。
昔は交通や通信が発達していなかったから、複数の文明が共存できたが、現在地球は一つになっていて、複数の文明というものはない。
産業革命以後は近代文明と総称されているかもしれないが、実質的にはイギリス文明であり、アメリカ文明であるだろう。

** アメリカ文明は停滞しているのか?

アメリカがガラパゴス化した国家であることは、以前の記事で説明した。
世界最先端の国家として、独自の進歩をしていくことは当然である。
問題はそれが世界に普及していくか、どうかであり、それができなければ単に時代遅れになりつつあるに過ぎない。
アメリカは大きな家、大きな自動車、高価な医療によって構成されている国だ。
けれども、それらは世界に対して影響力を持てなくなっている。
大きな家、大きな自動車は、石油価格が高騰していけば、アメリカ国内でさえ存続できるか怪しい。
世界に普及しそうなのは、高価な医療だけである。
これは高価だということが、ネックになる。
現在のバブル化したアメリカ経済の中でやっと消費できる医療が、他の国の払える程度の金額で供給できるかどうか怪しい。

今後、石油が安価かつ大量に採掘できるように変化すれば、アメリカも復活できるだろうが、そうならなければ、アメリカは停滞する。

別な側面から考えると、アメリカは新規の文化を生み出しているのだろうか。
目が偏っているせいかもしれないが、私には全然思いつかない。
新規の産業ならばネットワーク系に各種出ている。
Apple、google、facebook、グルーポンなどだ。
でも、これらは私の目には、ちょっと違うのである。
これらはネットワーク系のインフラであって、その上に乗っかるアプリではない。
たとえば、iPhoneには世界カメラというアプリが日本で開発されている。
世界カメラというアプリは新規の文化だと思うのだが、iPhone自体は少し違う。
当然のことながら、iPhone上のアプリが大量に開発され、消費されるならば、iPhone自体も新規な文化といっていい。
ただ、そこまで行ってないように見える。

アメリカからは最近大ヒット映画も大ヒット音楽も出ていない気がする。
私がそれらに疎いだけなのだろうか。
あるいは、日本が洋画、洋楽に対して魅力を感じなくなっているだけだろうか。
魅力ある文物を生み出せなくなれば、それは文明の停滞というしかない。

** 新しい文明の萌芽

世界を主導してきた国家が停滞し始めると、世界は成長できなくなる。
それに代わって、世界の最先端にいる、つまり一人当りGDPが世界の最高水準に達している国は、経済が成長をしていくために、新しい需要、文化を生み出していくはずだ。
現在だと、アメリカが停滞したとしても、一人当りGDPで同一水準の国は他にもある。
アメリカ以外のG7諸国だ。
それらの国も成長しようとするならば、新しい文化を生み出す可能性がある。
もっとも、アメリカと日本以外のG7国で、新しい文化が何か出ているかというと疑問である。
私がヨーロッパをよく知らないだけかも知れないが、全然思いつかない。
もっとも、新しい文化などと言うものは、深くで動いていて表面的には見えないから、外部の人間には気づかないだけかもしれない。

私は日本にいて、日本の情報を豊富に取得している。
だから日本独自の文化について、気づいている。
けれども、世界の他の国では多くの人は日本独自の文化について気づいていない。
つまり、私がヨーロッパの国々の文化に気づかないのと相似形だとも言える。

どちらにしても、新しい文化は生まれ始める。
複数の国から出れば、主導権を巡って競争することはあるだろう。
ただ、最終的には一つの国に集約する。
世界のいろいろな国から情報を取り込むことは効率が悪い。
一つの国から情報を取得した方が、ずっと簡単だ。
複数の国が先端の文化を生み出したとしても、一つの国が増幅装置となりデータを取得して文化を発信するようになる。

そこまで行けば、もはやガラパゴス化などとは呼ばれない。
新文明の成立だ。

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