異をとなえん |

なぜ一人当たりGDPが高いだけではガラパゴス化しないのか? - ガラパゴス化は必然である(その9)

2011.01.15 Sat

21:21:54

「ガラパゴス化は必然である」の続きを書こうとして、金融業の特殊性の所で止まっていた。
どうもタイトルが悪かった気がする。
金融業が特異であると言うより、一人当たりGDPが高いだけではガラパゴス化した需要を生み出さないことに意識を集中する必要があった。
そこで、「なぜ一人当たりGDPが高いだけではガラパゴス化しないのか?」に変更して書いてみる。

日本の一人当りGDPは世界の最高水準であると述べてきた。
しかし、一人当りGDPでは日本を越えている国は他にも多くある。
それらの国はなぜガラパゴス化と呼ばれうる、新しい需要を生み出さないのだろうか。

** 一人当りGDPが高い国

日本より一人当りGDPが高い国は、wikipediaで調べてみると、石油資源国か金融産業が盛んな国のどちらかだ。
これらの国の繁栄は、資産効果によるものが大で、資産価格が上昇することで、一人当りGNPが上昇してきた。

石油資源国の場合、石油価格が上昇することで一人当りGNPが上昇したことは明らかだろう。
金融業が盛んな国が資産価格の上昇によって一人当りGNPが上昇するのは少し解説がいる。

金融業も本質的な生産性の向上によって産業が発展することはある。
オプション取引とかは本当に生産性が向上しているかはわからないが、ネット取引が普及したことによる、手数料の低下は間違いなく生産性の向上につながったと思う。
けれども、金融業ではともすると資産価格の上昇による利益の増大を生産性の改善と見間違うことになる。
金融業は資産取引の仲介によって食っていく以上、取引途中での資産価値の増大は在庫価格の上昇となり、結果として利益の拡大につながる。

グローバリゼーションを、インターネットの普及やコンテナ船などによる物流システムの改善、社会主義国の崩壊による資本主義世界への参入などによって起こった、世界を一つの市場にした現象と定義しよう。
グローバリゼーションによって、新興国の国民が世界の平均的な労働者、消費者になる障壁がなくなったのだ。
結果、新興国では爆発的な需要の増加が起こり、投資や消費のための資金需要が拡大している。
そのため、全世界的には資産価値が増大し、金融産業が盛んな国、特化した国では、一人当りGDPが急増することになった。

以前では、一国の中で金持ちと貧乏人に分かれていたが、世界全体の中で金持ちの国と貧乏人の国に分かれるようになった。
資産による利子によって暮すことができる人間が集まっている国が金持ちの国となり、金融業が発達している国は、金持ちの資産を運用することによって、そこから利益を得ている国々となる。

** 資産による消費

それでは、資産による消費の特徴は何だろうか。
たとえば、資源国は資源を売るだけで、暮していける。
その時、一体どれだけ消費すべきかの目安をどう持てるのだろうか。
資源も使っていけばなくなる。
後の事を考えて、全部使いきらず、資源を資産とみなして、利子だけで暮していくというのが一つの回答だ。

でも、それだけでは普通に生活する分には足りない国はどうするのか。
ナウルはリン鉱石の販売で高所得だったけれど、資源がなくなってただの貧乏国に戻ってしまった。
資源がなくなった時に暮していけるように、貯蓄と消費に分けるのだろうけれど、その分配をどうするのか。
答えはないと思う。
つまり、使っていい消費の目安がないのが、資産による消費の本質的な特徴だ。

労働による消費が、自分一個人が一生に稼げる金額分を消費するのが原則であるのに対して、資産による消費は幾ら使っていいかわからないのだ。
もちろん、個人として考えれば全資産を一生に使いきるで終わるかもしれない。
でも、子孫のことを考えれば全部使いきるわけにはいかない。
国の場合は永久に続くことを考えれば、利子分だけを消費するというのが原則かもしれない。
それだけで生活できない場合は、労働して稼ぐわけだ。

** 金融業の盛んな国の消費

金融業の盛んな国の消費も同じようなものだ。
前に述べたように、金融業の盛んな国では資産効果による資産価格の増大を、生産性の上昇としてとらえやすい。
そうすると、その分増えた所得を消費に回すことになる。

この所得が普通の労働による所得と何が違うかと言うと、労働時間の長さが全然所得に関係ないのだ。
工夫によって生産性を高くしなくとも、所得が増える、そういうことがありうるのだ。
汗水流して手に入れた金でないあぶく銭、それが金融業の資産効果による所得の本質だ。
資産効果が発生していない場合は、金融業も普通の産業と同じなので、普通の労働による所得でしかない。

それでは、その消費の特徴はという所で時間がなくなった。
この続きは次で。

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355 続:なぜ一人当たりGDPが高いだけではガラパゴス化しないのか? - ガラパゴス化は必然である(その10)

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