異をとなえん |

「あかつき」の失敗に思う

2010.12.17 Fri

04:17:47

金星探査機「あかつき」の金星周回軌道への突入失敗は、新規に開発したエンジンの欠陥という意見が出ている。
参照:「あかつき」周回軌道投入失敗から見えてくる宇宙工学の受難
そして、初物のエンジンを投入したことで予算不足でテストが足らなかったのではないかという意見を見た。
ちょっと反論したい。

あかつきの失敗の理由は予算不足ではない。
日本の宇宙開発のプロジェクトの失敗率は、他の国と比べて特に劣っていない。
新規のロケットの開発は10回中2回ぐらい失敗する。
H-IIとH-IIAの開発でも、最初の10回で2回失敗していて大体同じだと言っていい。
練習と本番の違いは常にある。
練習はどんなに積み重ねても、本番と同じ環境にはならない。
本番に近い環境を設定することに手間がかかるようになってしまう。
どこかの時点で決断をするしかない。
世界の他のプロジェクトの失敗率が同じくらいだということは、日本のその決断が間違っていないことを示す。
それでも、失敗の確率が高いのは宇宙開発はどんなに大変かということでもあり、どうしても埋めきれない本番と練習の差である。

予算があまりにも少なくて、本番の成功率が下がってしまうと思えば、プロジェクトのリーダーは予算をなんとか増やすか、あきらめるか決断をすべきなのだ。
JAXAのプロジェクトは一つではない。
複数のプロジェクトが常に動いている。
一つプロジェクトを停止すれば、他のプロジェクトに予算が回るはずである。
個々のプロジェクトに財務省の審査が入ると言っても、JAXA全体の予算での目途はあるはずだ。

もちろんプロジェクトのリーダーの負担を大きい。
最初のリンク先にはプロジェクトが理学系と工学系の違いが問題だとあったが、それが重要とは思えない。
いや、まああることはあるのだろうけれど、結局はプロジェクトリーダーの最終決断次第だ。
そのリーダーの力量に工学系や理学系は関係あるだろうけれど、プロジェクトが失敗すれば痛いのは同じだ。
場数を重ねて能力を磨くしかないだろう。

科学技術の予算については、基本的にGNP比何%かの大枠を決めて、個々のプロジェクトごとの予算は科学者の自治に任せるのがいい。
宇宙開発も基本同じだ。
もちろん「はやぶさ2」のように、人気があるプロジェクトならばそれを採用するように、政治の方から働きかける必要はある。
でも、個々のプロジェクトの予算に対して、あまりにも厳しく政治で動かすべきではない。

予算は常に不足しているもので、足りることなどない。
青天井で支出すべきなのは、戦争が直前に迫った軍事費ぐらいなものだろう。
宇宙開発は絶対的に必要だとか、競争に勝たなくてはならない計画ではない。
日本の宇宙開発予算の制約のもとで、技術開発していくべきものなのだ。
予算が足りなくて、中国やインドに負けるというならば、その予算で勝てるように目標を変更すべきである。

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