異をとなえん |

「日銀が紙幣を印刷すればデフレは解消する」という意見はおかしい

2010.12.01 Wed

03:06:41

リフレ派の人の、「日銀が紙幣を印刷すればデフレは解消する」というような意見を読むことがある。
なんというか、いらつくというか、少しかんにさわる。
わかってて煽動しているのか、それとも何もわからずに尻馬に乗っているのか、どちらにしても真摯な態度には思えない。

「日銀が紙幣を印刷すればデフレは解消する」という表現の何が問題かと言うと、紙幣を印刷するだけでは意味をなさないことが明らかだかである。
まず、どんな人にだって、日銀が紙幣を印刷しても、それを持っているだけでは経済が何も変化しないことはわかるだろう。
印刷した紙幣が効果を持つには、それを使うしかない。
使って始めて経済に影響が出てくる。
でも、日銀は紙幣を使うことはできない。
厳密には、消費するために使うことはできない。

これは当たり前だ。
日銀総裁が刷った紙幣で別荘を買ったりすれば、おかしいことは誰でもわかるだろう。
日銀が私利私欲のために使うのは犯罪だ。
公益のために使うこともできない。
公益のためにお金を使うことができるのは、政府ということになっている。
無から有を生み出すことはできない。
日銀が紙幣を印刷することで生み出した物が、そのまま有となれば、実はどこからか、盗んでいることになる。
それは許されないことであり、日銀は消費するためにお金を使えないことになっている。

日銀ができるのはお金を貸すことと取り立てることだけだ。
実際には、国債を買ったり、売ったりして実行する。
国債を買うのはお金を貸すことであり、売るのは取り立てることだ。
国債を買えば代金が支払われて、通貨が市場に供給される。
だから、リフレ派の主張する「日本銀行が紙幣を印刷すれば」というのは、日銀がどんどん国債を買えというのと同意義のはずだ。

つまり、「日銀がどんどん国債を買えばデフレは解消する」と主張するならば、私は誠実だと思う。
でもそう主張しないのは、国債をどんどん買うというのが、普通の国民からするといかがわしく思えるからだ。
国債をどんどん買うというのは、戦争の時のハイパーインフレを思い起こさせるから、紙幣を印刷するという形でごまかす。
それが卑怯なやり方だと感じる。

そして、リフレ派と反リフレ派の論点は国債を買うことで、デフレを解消するかだろう。
日銀が国債を買って資金を供給すれば、民間の金融主体は受け取った代金を他に貸し出すはずだ、というのがリフレ派の主張だ。
反対派の主張は、国債を買って資金を供給しても、民間の金融主体が日銀に預けてしまえば何の影響もない、というものだ。
実際、これは前回の量的緩和時にほとんど民間に資金が流動しなかったことが、一つの裏付けになっている。

たとえば、日銀が100兆分国債を買ったとして、その100兆全てが日銀の預金勘定に積み上がったなら、経済効果は0のはずである。
理論として本当に0なのか自信がないのだけれど、少なくとも実経済に影響した効果を検出するのが難しいぐらい小さいはずだ。
全額預金に回されることなどありえない、というのが理論的反論だろうけれど、日銀は民間の金融主体とコミュニケーションを取っている。
民間の金融主体は「見えざる手」という表現にあるように無数にいるわけではない。
実際には、ゆうちょ銀行、メガバンク3行と他の小さい銀行ぐらいしかないのだ。
日銀は、それらの銀行とコミュニケーションを取ることによって、国債を買い取ることの効果を大体判断できるし、判断した結果、量的緩和政策があまり有効でないとしているわけだ。

量的緩和政策が完全に無効かというと、そうでもない。
前回の量的緩和政策では、外資系の銀行を通じて、大量の資金が不動産会社に貸し出され、土地のプチバブル状態を演出した。
でも、これは正しいとはとても思えない。
金利を0.5%上げただけで崩壊するような土地価格の高騰はおかしいだろう。
その反省も含めて、日銀が量的緩和政策に慎重なのは当然だ。

私は日銀の政策を支持したい。

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コメント

252 デフレのとき

http://www3.boj.or.jp/kids/matome/resume10.html
 景気がわるいときは、買いたい人が少ないので、モノのねだんは下がります。モノのねだんが下がると、同じ金額でたくさん買い物ができていいことのように思えますが、景気がますますわるくなって、お店や会社の経営がくるしくなり、そこではたらく人々のお給料もへって…よくないのでしたね。
 デフレのとき、日本銀行は、銀行などの手持ちのお金をふやすそうさをします。

 銀行の手持ちのお金がふえると、金利が下がります。

 金利が下がると、借り賃が安くなってお金を返すのが楽になるので、お金を借りる人はふえます。お金を借りて工場を建てたり、家を建てたりすることもふえますね。

 また、金利が低くなれば、銀行にあずけておいても利子が少ししかつかないので、お金をおろして使う人がふえるかもしれません。

 このように金利が低くなると、モノの売り買いやお金の動きが少しずつ活発になって、モノのねだんが下がりにくくなるのです。

253 Re: デフレのとき

日銀キッズさん、コメントありがとうございます。
単なる引用なので、真意はよくわからないのですが、国債をどんどん買えば長期金利は下がるはずだから、デフレ解消の役に立つという意見だと解釈しました。

それには同意します。
しかし、国債をどんどん買っても、デフレを解消する効果はあまり強くなく、デフレそれ自体はそれほど悪いとは思えないので、必死になってやるような政策とは思えません。
デフレがそれほど悪くないという意見は下記を見てください。
http://munya.dtiblog.com/blog-entry-789.html

それでは。

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