異をとなえん |

為替の最終防衛ラインをもらすことは批判されることなのだろうか?

2010.09.18 Sat

05:18:45

仙谷官房長官が円の介入ラインをもらしたことで批判されている。

「仙谷氏は本当にばかだ」為替介入で渡辺喜美氏

引用開始

 みんなの党の渡辺喜美代表は16日、都内のホテルで開かれた日本商工会議所の総会であいさつし、政府・日銀の為替介入に関連し、仙谷由人官房長官が15日の記者会見で1ドル=82円台が政府の「防衛ライン」と認める発言をしたことに対し、「わたしが投機筋なら『82円までは大丈夫だ』と必ず狙う。本当にばかだ。国家経営をやったことのない人たちに国家経営任せると日本が滅ぶということだ」と批判した。
引用終了

なぜ批判されるのか、よくわからない。
仙谷官房長官の言っていることは82円になるまでは介入しないこととは違うと思うのだが、そう解釈しているような気がする。

82円が当局の最終防衛ラインになることは自明ではないだろうか。
83円から82円になる所で財務省は介入を開始した。
現時点でのドルの平均取得レートはわからないけれど、82円より下ということはありえない。
だから、82円台ならば介入の損得は赤字になるだろう。
つまりドル円レートが82円以下なら、日本政府の介入が失敗したことは明らかだ。
当然介入を決定した人の責任問題にもなる。
リフレ理論から来る、円を刷るための投機であって、介入によって儲かったかどうかは関係ないという理屈は、私には納得し難いし、たぶん普通の人も納得できないだろう。
そういう理由で、82円台が当局の最終防衛ラインになるというのは仙谷官房長官に教えてもらわなくとも自明ではないかと思うのだが、違うのだろうか。

投機筋にとって重要になるのは、日本がどこまで介入を続けるかというレートのはずだ。
現時点で為替は85円台だけれども、流れが円高か円安に向かっているかは判然としない。
流れが円高で日本が介入するのは82円台とはっきり決まっていれば、確かに投機筋にとっては歓迎だろう。
しかし、日本が介入するのは82円台と決まっているわけではない。
どこまで追撃してくるか、投機筋ははっきりと読み取れない。
このドルを購入するのを中止するレートが定まっていると、このレートを漏らすのは確かに大問題だが、仙谷官房長官の発言はこのレートを示唆しているわけではないはずだ。

また、ドルを購入する投機筋にとっても、82円台が介入ラインをわかったからと言って、安心できるわけではない。
82円台以下にならないと必ずわかるならば、未だにドルと円の間に金利差がある以上、ある程度の所までドルを買い上げることができる。
計算面倒だと思ったが、実際どの程度でドル円レートが均衡するかの予測になるので調べてみる。
まず、83円きっかりを防衛ラインとして、この価格で必ずドルが売れるものとする。
期間をどのぐらいに取るかよくわからないのだが、計算がしやすいように、1年としておく。

1円をドルに転換して投資する。
ドルの金利がyだとすると1年後の取得ドルは(1/x)*(1+y)になる。
これを円に戻す。
円の金利はzとする。
83円以上になるのが確定だとすると、(1/x)*(1+y)*83が1+zと等しい所でxが決まるはずだ。

レートはどれを使うのかよくわからなかったが、以下の所から拾ってみた。
金利/債券
マーケット情報

円の短期金利は大体0.12%、米ドルLIBORの3ヶ月物が0.25%。
(1/x)*(1+0.0025)*83 = 1+0.0012
x=83.10777067518976。

計算してみて、レートのあまりの低さにびっくり。
つまらないので、金利を10年物の国債にして計算してみる。
10年物の円の国債金利は1.040%、ドルの国債利回りは2.766%
(1/x)*(1+0.02766)*83 = 1+0.0104
x=84.4178345209818

日本政府が83円台を死守するとすれば、84.41より下がるのは日本政府を信じていないことになる。
その疑いを晴らすためにも、このぐらいのレートで日本は介入するかもしれない。

元の話に戻ると、日本政府の介入ラインは重要な情報だ。
現在85円台後半だが、ここで介入をやめるかどうか、投機筋はいろいろと考えているだろう。
あるいは、日本の介入を投機として考えた場合、日本のドルの平均取得価格は重要なデータとなる。
平均取得価格より下がれば損を抱えることになるのだから、これより下がったら介入するかもしれない。

それらの情報に比べて、最終的な防衛ラインが82円だというのは大事な情報に思えない。
それとも、83円で介入を開始したけど最終的な防衛ラインが80円とか設定できると言うのだろうか。
結局、仙谷官房長官の発言は83円から82円になる所で介入を開始したと述べているに過ぎないと思う。
そして、それ自体は自明の情報のはずだ。

仙谷官房長官への批判が意味あるものと思えなかったので反論してみた。
もちろん、為替介入が正しいかどうかとか、どのラインで介入すべきか、などは別問題である。
私はアメリカの景気が悪くなれば円高に振れるのは当然だと考えているので、ラインを死守できるかは怪しいと思う。
理屈から言うと日本政府が死守できると言え、実際には無限に介入しようとすれば、欧米からの批判が強くなる。
それに抗しきれるとは思えない。
そうなると損だけが残りそうだ。

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