異をとなえん |

アメリカ経済の二番底

2010.09.02 Thu

02:24:35

アメリカ経済の二番底が懸念されている。
日本は自分たちが失われた十年を過ごしたこともあって、圧倒的にアメリカ経済が今後低迷すると予期しているように見える。
下記のような日銀の見方は多くの日本人に共有されている。

参照:追加緩和効果は短命に、新たな領域に踏み出すか岐路に立つ日銀

引用開始

米国のバランスシート調整についても、「日本を例にみると、大きな信用バブルが崩壊した後の経済の回復は時間がかかる」(白川方明総裁、30日会見)としており、日本がバブル崩壊の処理に追われた1990年代と同様にかなりの時間を要するとみている。さらに、インフレ期待の低下も指摘されており、実質金利が下がりづらい状況の中で「米国が日本型デフレに陥る可能性がある」(幹部)ことにも警戒感を隠さない。
引用終了

実際私もそう思う。

バブル崩壊による資産の価値の消滅は紙の上のことではない。
それは間違いなく実損なのだ。
住宅価格が大幅に下落したことによる影響は必ず出てくる。
それはロシアで石油価格が半値になった場合に出てくる影響と同じようなものだ。
石油の油田はそのまま存在していたとしても、手に入る収入は根本から変わってきてしまう。
それに合わせて消費は減少するし、経済も成長できなくなる。
バブルの崩壊も同じようなものだ。
一瞬ではなく、ある程度上昇した価格をついている期間が長ければ、それを前提として人々は消費を変化させてゆく。
実際アメリカでの住宅価格が上昇し続けている間、アメリカ人の貯蓄率は減少し続け、消費は拡大し、成長していった。
その消費を生み出したのは住宅価格の上昇であった以上、その資産がなくなれば消費を減らす以外にない。
住宅価格が大幅に下がった条件での均衡は、たぶん今のアメリカ経済のGDPよりずっと下にある。
これを正しい成長軌道に簡単に戻す方法はない。
石油資源を失った中東の石油産出国のようなものだ。
財政政策を取ろうと金融政策を取ろうと成長できない。

それでも今のGDPを保っているのは、アメリカ政府がその分支出できているからに過ぎない。
このような処置は基本的に資産を大量に持っている国だからできることだ。
日本は経常収支が黒字だし、アメリカは膨大な経常収支の赤字を持っているとはいえ資産は膨大だ。
だから、国が国債を発行して、不足した需要を補っても耐えることができる。
逆に言うと、耐えられない国ではバブルの崩壊はGDPの縮小をもたらさざるを得ない。
現在の危機ではギリシャが典型的だろう。
ギリシャは金融危機後、大幅な財政支出によって経済の均衡を保ってきた。
けれども国債にはその裏付けがない。
国際収支が赤字である以上、それは破綻を招く。
どうしても引き締めに転じざるを得ない。
ただ、これは必然的に不況を招くしかない。
当分苦しむしかないだろう。

EUが全体として財政支出の抑制に傾き、金融サミットにおいて財政の均衡がうたわれる以上、バブルの崩壊による資産の下落で失った消費を取り戻す術はない。
その分だけどうしても経済は縮小せざるを得ない。
とは言っても、アメリカは需要の縮小があまりにも大きく、景気が大幅に落ち込むならば、財政を拡大するだろう。
ダッチロール状態だが、日本のバブル以後の政策の一貫性の無さが批判されていても、民主主義国においては仕方がないのだと思う。

バブル崩壊による需要の縮小は公共サービスにも及ぶからだ。
公共投資も本質的には、住民から税金という形で料金を取り、各種施設のサービスを提供する事業だ。
バブルが発生していると、人々は豊かなので公共サービスが贅沢だとしても許容できる。
デザインに凝るようなこともできる。
けれども、バブルが崩壊すると人々は倹約するようになる。
無駄が許容できなくなる。
だから、公共サービスにおいても効率性を求め、より少ない金額でより多い効能を求める。
財政支出の拡大による需要の減少を押さえようとする政策は、この普通の住民が抱く気持ちと根本的に矛盾する。
その結果、ダッチロールして引き締めと大盤振る舞いが交互に表われるような状態を現出する。

ダッチロール状態の場合、財政支出を引き締めている局面でアメリカ経済は二番底を示す可能性が大いにある。

このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURLはこちら