異をとなえん |

「クルマ社会・7つの大罪」感想

2010.08.31 Tue

03:06:38

「クルマ社会・7つの大罪 アメリカ文明衰退の真相」をざっと読む。


目次は次のような感じだ。

[クルマ社会・7つの大罪とは?]
 1、エネルギー・スペースの浪費―そして、輸送システムが非効率化する
 2、行きずり共同体の崩壊―そして、ポピュラー・カルチャーがアンポピュラー化する
 3、家族の孤族化―そして、街が消え、結社の自由が爛熟する
 4、大衆社会の階級社会化―そして、クルマに乗った民主主義が横行する
 5、味覚の鈍化―そして、肥満が国民病として蔓延する
 6、自動車産業の衰退―そして、都市型製造業が壊滅する
 7、統制経済への大衆動員―そして、人はデフレを忌み嫌い、インフレを待望するようになる

増田悦佐氏の「日本文明・世界最強の秘密」を逆からみたような本だ。
「日本文明・世界最強の秘密」は鉄道社会を称賛していた。
結果として、その鉄道社会の反対である自動車社会を批判していた。
この本は、逆に正面切って自動車社会を批判している。
焦点となるのはアメリカであり、7つに分けて詳細に持論が展開される。

内容自体としてはいつもの増田節であり、それほど新規性は感じない。
ただ、知らない情報がたくさんあって読ませる。

日本の自動車輸送のコストがアメリカなどに比べて安いというのは新鮮だった。
私はてっきり高いとばかり思っていた。
自動車が普及することによって美味しい食堂を探す時間がなくなるのでチェーン店が流行り味覚が悪くなるという意見や、自動車の普及によって駅前という公共な広場がなくなり生の音楽が衰退していくという意見も面白い。
これらの意見は社会学的であり、本当に正しいかどうかは証明できないものと考えているけれど、それでも説得力があると感じられる。

インターネットの普及によって、デジタルな情報は簡単にコピーできてしまうため、どうしても価格が0に近づいてしまう。
その問題を解消し、生産者が適正な利益を上げるためには、ライブによる生産が極めて重要だ。
コミケが50万を越える人間を集めるように、直接的な人の触れ合いによって、付加価値を上げることは可能だと思っている。
それだけの人を集めるためには、自動車社会では無理で、鉄道社会による大量の人を集める機能が必要だ。
逆に言うと、デジタル社会では大量に人を集めてライブで金を稼ぐ仕組みがないと、うまく回っていかないのかもしれない。
自動車社会ではライブによる人集めが簡単にいかず、デジタル社会に対応できない可能性がある、そんな発想が頭に浮んだ。

最近の増田氏の作品は焦点がはっきりしていないことで散慢な嫌いがあった。
この作品は焦点をクルマ社会批判に絞っていることで論旨は明確になっている。
意見に賛成できるかどうかは別として、面白い本だと思う。

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