異をとなえん |

平壌の景気がいい不思議

2010.03.23 Tue

02:12:57

平壌の景気がいいらしい。
非常に不思議である。
去年12月のデノミ以後、北朝鮮では経済的な混乱が続いている。
100分の1のデノミをしているのに、賃金は変わらないような常識外れの政策をしているので、混乱が続くのは当然のように思える。
旧通貨を新通貨に変換する際には、政府は交換金額の制約をした。
つまり、今回のデノミは実質的に旧通貨を溜め込んできた人々から、金を盗んだと同じなのである。
あまりにも混乱がひどいことから、交換金額の制限を緩和するとかしているみたいだが、通貨に対して不信感が生まれたのは当然だろう。
通貨に対する信用が崩壊したら、経済システム自体が動かない。
農作物を持っている人間は売りたくとも、通貨が信用できないなら売りようがない。
貿易にしても、中国側で旧通貨を持っている人間は結構いたことだろう。
しかし、中国人が持つ旧通貨など、北朝鮮政府は交換してくれそうにない。
現金の勝手な持ち出しは禁止していたとか主張するに決まっている。
そうすると、中国側では輸出ができなくなってしまう。
代わりに受け取るものがないからだ。
たとえインフレ気味であっても、為替市場が動いているならば、ある程度のリスク費用を取ることで、北朝鮮の通貨を受け取ることができた。
それがなくなれば、どうしようもない。
貿易がほとんど途絶するのも当然のことだろう。

北朝鮮内部では、通貨システムの崩壊によって、飢餓すら発生したなどと書かれている。
失政の最たるものと言えよう。
なんというか、ここまで通貨制度に無知でも国家を運営できることが一つの謎である。
北朝鮮では、外国通貨の流通を禁止したらしいが、実質的にうやむやになっているらしい。
通貨制度の信認が崩壊した以上、商人は信頼できる通貨で商売をするしかない。
新通貨だって、いつ又新しい通貨に変わるかわからないので、信頼できる通貨は、中国の人民元しかない。
実質的に人民元が流通しているのは当然に思える。

さて、そこで平壌の景気がいいという話である。
どっかの雑誌のグラビアで、かの有名な柳京ホテルの建設が再開されているという写真も載っていた。
ただ、何の雑誌だかわからなくなってしまった。
新潮が文春だったと思うのだが、覚えていない。
下記の記事でも平壌は落ち着いているという話だ。

やりたい放題の北朝鮮に 振り回される中国

引用開始

 しかし北朝鮮に暮らす在日朝鮮人の一人は、「混乱と呼べるような混乱は見られない」という。実際、私自信も3月の上旬から4日間平壌を訪問し、限られた行動範囲のなかで見る限り、大混乱という現実には出会っていない。
引用終了

もっとも、北朝鮮全体が混乱していないというのは、ちょっと納得できなくはあるけれど。

平壌の景気がいいらしいというのはなぜだろう?
一つは、北朝鮮政府のお膝元として、いろいろと優遇措置を受けているのかもしれない。
国全体としては、厳しい状態であっても、平壌が混乱していなければ、世界にはわからない。
外国人ジャーナリストが直接行くことができるのは平壌だけだからだ。
平壌は外国へのショーウインドウだから、特別に金を注ぎこんでいる。
柳京ホテルについては、建設の再開は2008年からだということで、直接今回のデノミとは変わらない。
そうすると、ただ単に目立った混乱がないだけという可能性もある。

もう一つの考え方として、実際に平壌の景気がいいのかもしれない。
理由は今回のデノミだ。
デノミは秘密裏に用意され、電撃的に実行されたという話であっても、実際には情報は漏れているはずだ。
政府党の中枢部にはそれなりの情報が出回る。
そうすると、事前にその情報を察知した人間は、ウォンを事前に交換しておく。
一番ありそうなのは、中国の人民元だろうか。
その他にもドルや実際の物資と変換しておくかもしれない。
紙切れになる通貨と実際に価値ある物と変換しているのだから、特権層はある程度得をしているはずだ。
情報を知っている人間にとって理想的なのは、事前に旧通貨を借りておくことだろうけど、それは難しいかもしれない。
しかし、北朝鮮政府自体はまた別物になる。
デノミすることは知っているのだから、事前に旧通貨を印刷して、それは価値あるものに変換しておけば、ぼろ儲けだ。
ここまで来ると、政策の無知とか言うより、単なる盗みだが、北朝鮮政府ならやっても不思議はない気がする。
どうせ、旧通貨が退蔵されるのは、闇商人だと思えば積極的に仕掛けることもあり得る。

そうすると、それらの利益は北朝鮮上層部を中心に積上がる。
儲かった人間が大量に住んでいる平壌の景気が良くても不思議はなくなる。
タコが自分の足を食べているのと同じような、国家としての末期症状だが、北朝鮮政府はその位国民を敵視している可能性はある。
結論としては、平壌の景気がいいとしたら、それ自体が他の地域からの収奪を意味している。
平壌以外の景気はより悪化しているはずだ。

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