異をとなえん |

韓国は発展しているのだろうか?

2010.02.27 Sat

04:38:13

サムスンや現代自動車が日本企業を追い落して、トップに君臨しようとしている。
経済成長率の伸びも著しい。
ファイナンスタイムズでは、次の記事を掲げて韓国の発展を評している。

韓国はもはや勝ち目のない弱者に非ず

昨年はリーマンショック後の金融危機があったにも関わらず、プラス成長を確保した。
そういう意味で前途洋々に見えるのだが、どうもおかしい。
一番おかしいのは、海外への移民が止まらないことだろう。
海外への留学とか支社への赴任ではない。
国籍を移すという移民だ。
移民が止まらないのは、韓国自体に国民があいそをつかしていることを示している。
もっとも、この金融危機で移民は止まり、逆に戻っている国民が増えているらしい。

参照:韓国人の海外移民 100万人に迫る 優秀人材も流出

国に頼らないというのは、韓国人にとってはバイタリティだろうけれど、国としての前途は怪しい。

オピニオン:日本企業よ、「ものづくり神話」を捨てて「経営力」を磨け

上記の記事に見られるように、IMF危機以後、韓国の企業構造は根本的に変わった。
アメリカナイズされ、欧米流の企業経営が貫かれるようになった。
日本の財閥型の経営構造から脱却したわけだ。
欧米型の企業構造は上と下がはっきり分かれた構造だ。
上が考え、下は何も考えずに実行する。
上の人間は戦略的に行動し、長時間働き、結果に責任を持ち、高い給与を手にする。
下の人間は言われた通りに行動し、時間当たりの賃金を受け取る。
下の人間は会社から見れば費用の一項目でしかない。
これはある意味極めて正しい経営であり、韓国や欧米の会社で成果を出している。
ただ、この考えを貫けば、労働者はどこでも同じなのだ。
自国の労働者も他国の労働者も同一視することになる。
いや、自国とか他国とかいう概念自体がない。
もっとも、この考えに従えば、上部と下部では使う言語が異ってくる。
それは、上部の人間が多言語を使いこなせれば、問題ではない。
多言語を使いこなせること自体も上部の人間にとっての能力になるわけだ。
韓国の経営はちょうどその流れにうまく乗ることによって、発展したように見える。

日本の企業が労働者を可変と見なすことを拒否したがゆえに、費用の削減が遅れた。
韓国の企業は日本との深いつきあいによって、欧米企業が容易にアクセスできない日本の部品素材産業を利用することが可能であった。
韓国の企業はその弱みをついて、世界にのし上がった。

もちろん、日本型の経営が全面的に悪いわけではない。
社員一人一人の能力の活用が必要な部門では、日本企業は健闘している。
組立産業と化している家電産業では負けていても、部品素材産業では十分戦えている。
私には、チームとしての労働者の能力が必要な部門や個々の卓越した技能を持つ労働者たちは、日本にほとんど集中しているようにすら見える。
まあ、日本型と欧米型の経営の違いについては別の話だ。
ここでは、韓国を通して欧米型経営のもたらすものについて考えたい。

経営者と労働者をはっきり分離して、経営を行なうことは現在の時代にあっている。
中国を始めとした、低賃金労働者が自由市場経済圏に急速に参入したからだ。
これらの労働者を組織化して、安く働かせるならば、企業は極めて高い利益を挙げることができる。
グローバリゼーションという流行だ。
もちろん、経営者は高い能力を要する。
外国語によるコミュニケーションを始めとした外国人とのつきあい、法治が確立していない国での政府との交渉、工業での労働者の技能のマニュアル化、投資資金の調達など、まさに難問は山積みである。
でも、だからこそ経営者の能力は試され、高い給与と高い利益率を手に入れることができる。

しかし、この経営が続いたならば、労働者の賃金は世界での平均化が進み、先進国ではどんどん下がることになる。
実際移民が多いアメリカではこれが顕著に見える。
韓国でも移民を増やして、これに対応している。
もちろん、経営者の給与が増大すれば、一人当りの国民総生産という意味では上昇していくだろう。
そして、一人当りの国民総生産が増えていけば、それを消費も増えていく。
経営者は基本的には、自分たちの国で消費するのだから、サービスを通じて、賃金は上昇するはずだ。
つまり、大金持ちが執事などを雇えば、執事の給与は結構高くなければおかしいということだ。
でも、韓国国民はそのシステムにあまり適応していない。
その表れが海外移民の増加だ。

グローバリゼーションは間違いなく世界の成長に貢献した。
多国籍企業の経営者たちが最も平均的な世界の人々の生活を向上させた。
けれども、今まで安楽をむさぼってきた先進国の労働者にとっては問題が多い。
民主主義国では、だから労働者たちが反乱を起こそうとしている。
保護貿易主義の台頭はその証拠だ。
韓国の労働争議の激烈さも、反乱の一つになる。
しかし、韓国は保護貿易の台頭を許すゆとりはない。
そんなことをすれば、直ぐ国として苦しくなる。
IMF危機は、それを示した。
リーマンショックでもウォンが大幅に安くなったのは、危機に対してバッファーが弱いからだ。

韓国経済は今の所順調だ。
ゆとりの無さは危機感を保たせ、今後の発展につながると思う。
けれども、韓国国民の一人一人は成長しているのだろうか。
所得の向上もあるが、技能の向上などを含めての話だ。
それが伸びていかない限り、本当の意味での発展があるのかと思う。

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