異をとなえん |

環境税のイメージ

2009.12.14 Mon

23:52:53

環境税の導入論議が盛んらしい。
環境税というものは、排出する二酸化炭素一単位当たりの課税額を決めて、それを直接排出する企業から取り立てる。
これが私の持つ環境税のイメージだった。

それが、経済無策、早くもつまずきを見ると、どうも違うイメージなのだ。
登録しないと見えないので、環境税に関する部分を引用しておく。

引用開始

 上図にあるように、従来、ガソリン税と軽油引取税を最終的に負担してきたのは、主に自動車ユーザーの個人や企業などだ。一方、輸入業者にかかる石油石炭税を実際に負担しているのは、電力、鉄鋼業界といった化石燃料を大量消費する業界と、重油を漁船の燃料に使う漁民などである。

 石油石炭税については、現在、免税や税金の還付など租税特別措置が取られているが、これとは別にこうした化石燃料に輸入段階などで新たに課税することが検討されている(図中の「全化石燃料への上流段階での課税」)。

 環境税導入で、税負担の主体は、これまでの自動車の利用者中心から電力、鉄鋼をはじめとした多くの産業界、第1次産業にも広がることになる。

 ことに困惑の表情を浮かべるのが漁民や農民の側に立つ団体。特に農業に対して行われる戸別所得補償型の給付が同様に行われるかどうかはっきりしない漁業団体の反発は強い。

 「漁船で使うA重油にかかる税金を還付・免税している租税特別措置がなくなるだけでも影響は大きい。例えば、年間1000〜1200キロリットルのA重油を使う20〜70トンクラスのカツオ一本釣り漁船なら同200万〜240万円の負担増になるかもしれない」と全国漁業協同組合連合会の吉田博身・常務理事は顔を曇らせる。
引用終了

暫定自動車税をそのまま環境税に変更するように見える。
それは考え方が根本的におかしい。
そのために、私が考えている環境税のイメージをまとめてみた。

まず、第一に排出する二酸化炭素の量にできるだけ正確に対応するような課税だ。
これは負担を公平に分配する方が減らす努力を効率的にするからだ。
大量に排出する部門が税金を減らすために、できるだけがんばるのはいいことだ。
次に、税を取る仕組みとして、簡単に二酸化炭素の排出量を計れない場合は、その供給する原料に課税する。
天然ガスみたいに家庭で直接に二酸化炭素を排出する場合、その量は簡単にはわからない。
しかし、消費したガスの量から、二酸化炭素の排出量はだいたいわかる。
そこで販売した天然ガスの量で環境税を課税する。
最後に、直接排出した量に課税することだ。
これは家庭ではできないけれど、発電所のように巨大な排出機関なら調べることができる。
こうすれば、電力会社が発電をほとんど原子力発電で行なって、二酸化炭素の排出量を減らしたならば、納税額は減ることになる。
つまり環境税によって、二酸化炭素の排出量が減ったのだから望ましい結果である。

この原則の元でもう少し詳しく見てみよう。
まず、日本の二酸化炭素の排出量は大体次のようになっているらしい。

日本の部門別二酸化炭素排出量の割合

これだけでは、直接二酸化炭素を排出している所がわからないが、私の理解では次の四つに分かれる。
発電所、製鉄所、自動車、その他だ。
その他には、自動車以外で、灯油、天然ガス、重油などを直接燃焼している所が含まれる。

一番二酸化炭素の消費量として多いのは、発電所や製鉄所だろう。
数が限られているし、排出量も多いから企業と協力しながら、実際に測定して課税したい。
この部分が一番大事だと思われる。
この意見を書きたくなったのは、環境税の導入自体はいいのだが、減らすメカニズムが組込まれていないように見えたからだ。
単純に石油、石炭、天然ガスの消費に応じた課税では、十分ではない。
温暖化ガスの排出量に応じて、変化させなくてはいけない。
そうすれば、現在実用化が進んでいると思われる、二酸化炭素ガスの地中廃棄や化学工業の原料としての再利用も進んでいく。

自動車については、個々の自動車の排出量ごとに計算するわけにはいかない。
ガソリン1リットル当たりの平均的な排出量と個別な車ごとの排出量を組み合わせて、課税するしかない。
課税額の半分はガソリンに付加し、半分は自動車一台当たりに付加するわけだ。
そうすると、車一台当たりが消費するガソリンの量が多ければ多いほど、環境税としては有利になるが、まあそれは許容範囲となる。

これが最初の考えなのだが、車によって二酸化炭素の排出量は変わるのだろうか。
しょせん自動車は炭化水素が酸素と結合して動いている。
最終的には、二酸化炭素と水に変わるしかない。
それ以外ではかえって有害だろう。
そうすると、ガソリンの量に応じて課税すれば、それでいいのかもしれない。

その他は家庭などの灯油やガスから出る二酸化炭素だが、これは個別に減らす方法は、ほとんどないと思われる。
そこで、灯油、ガス、重油などの、石油から出る関連製品ごとに、燃焼した時の二酸化炭素排出量を計算して、販売量に応じて課税すればよい。
電気は、既に発電所で課税しているから、無税となる。
その他、企業が何らかの方法で排出する量を減らせるならば、その分を確認して税金を差し引くことになる。
要は課税の手間と実効性をできるだけバランス取って実行するだけだ。

以上の所が私の持つ具体的な環境税のイメージだ。
そして、たいていの人が同じようなイメージを持っていると思ったのだが、この記事を見て少し不安になった。
税金を徴収する手間がかかるから、ある程度絞るのはいいのだけれど、排出量を減らす仕組みが見えない。
今の燃費減税のいい加減さに似ている。
大きさに比べて、燃費が節約されているかどうかで、減税幅が変わるなどおかしい。
重要なのは、絶対的な量なのだから、それに応じて決まるべきだ。
漁業のために重油に対する課税を免税する措置は、減らす努力が生まれないから問題だ。
漁師一人当たりに、重油相当の補助金を出してもいいが、重油の使用量に応じた税金は守るべきだ。

また、暫定ガソリン税を廃棄して環境税にするならば、負担は公平にしなくてはいけない。
運輸部門の排出量は20%以下なのだから、暫定ガソリン税を環境税に変えた場合、負担は20%以下にならなくてはインチキだ。
どうも、そういう根本原則がしっかりしていないように見えるのが心配だ。

後、環境税の導入に関してはいろいろと問題がある。
一番問題になるのは、日本で生産した商品が競争力を失ってしまうことだ。
もっとも、輸出国がきちっと二酸化炭素の排出量に応じて税金をかけているならば、納得できるのだが、相手国はたれ流しているのに、日本製品が市場から追い出されるのはおかしい。
たとえば、鉄鋼製品などの輸入品だ。
現在、日本の環境規制が一番厳しくて、輸入品より温暖化ガスの排出量は少いと言われている。
そうすると、日本企業が環境税によって競争力を失い、輸入品に席巻されるのは大問題になる。
日本が排出量を減らしても世界全体で増えていれば、意味はない。
理想的なのは、排出量に応じて世界全体で課税することだろう。
しかし、そのような妥協は難しいかもしれないし、第一他の国が本当にやっているか確認できない。
輸入で課税する方法もあると思われるが、現行のWTOの仕組みでできるのかどうか。
輸出国の排出量をどう計測するかで、大問題になりそうだ。
そんなわけで、輸出国の排出量を日本で推定して、その分だけ税金を割引く位の方法が無難な所だと思っている。

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