異をとなえん |

デフレを怖がる必要はない

2009.12.08 Tue

02:50:46

日本の現在のデフレを怖がる必要はない。
また、デフレスパイラルは長く続かない。
その理由を説明したい。
また、日本がバブル崩壊以後ずっとデフレ気味の理由についても、前とは考えが変わってきた。
そのことについても、説明したい。

まず、デフレについて考えが変わったことを説明する。
私はバブル崩壊以後、ずっとデフレ気味だった理由を人口減少によるものと考えていた。
人口が減少すれば、基本的な消費物資の使用量は減少していく。
米やパンの食べる量は景気がどうなろうと、あまり変わるものではない。
食べるものは基本的に一定だ。
衣料も大体そうだろう。
基礎的な消費量は人口に比例していく。
人口が増加すれば消費量は増える。
人口が減少すれば消費量は減る。
消費量が増えれば、市場は品薄気味となり、価格が上昇し、生産を増加するためのシグナルとなり、企業は生産を増加していく。
生産が増加すれば、雇用が増加し、賃金が増加する。
賃金が増加すれば、企業の費用が増加していくので、全体的に価格は上昇していく。
つまり、人口が増加していく経済ではインフレ気味になるということだ。
逆に人口が減少していく経済では、その逆になる。
消費量が減れば、市場は物余りになり、価格が下落し、生産を減少させるためのシグナルとなり、企業は生産を減らしていく。
生産が減少すれば、雇用は減少し、賃金は低下する。
だから、人口が減少していく経済ではデフレ気味になるのは間違いない。

日本の人口は減少しつつあるので、存在している市場は常に需要が減少していくから、デフレになるのは当然だということが、前の私の結論だった。
しかし、この考えはおかしい気がしてきた。
人口の増加はほぼ止まったとはいえ、減少していない。
最近、日本人が減り始めという話もあるが、減り始めたのは日本人だけで、日本に住んでいる人間自体は外国人が増えていることもあって増えている。
つまり、基本的な消費量自体は減少してないはずである。
そして、バブル崩壊以後の消費量の減少は人口の振れとは関係ない。
人口が減っていないのに、需要は大幅に減少しているからだ。
不況による消費量の減少の方が、ずっと影響が大きい。
バブル崩壊による逆資産効果での消費減少がずっと続いてきたので、デフレだったと今では考えている。

今の強烈なデフレの発生も、人口が問題ではないことを表している。
不況によって、消費の急激な節約のマインドが生まれて、低価格品に消費がシフトしている。
その結果高い商品が売れなくなり、それに対応するために全般的に価格が下落しているのだ。

では、デフレの何が問題なのだろうか。
最大の問題は賃金には下方硬直性があり、デフレが発生しても賃金は簡単には下がらないことだ。
物が売れないのに、賃金が下がらないと、企業の収益は大幅に悪化し、投資等の未来に対する活動ができなくなってしまう。
また、賃金が下がらないと企業は労働者をリストラすることで、収益の回復を図るしかない。
企業が潰れやすくなっている状況を考え合わせると、失業者が増大してゆくことになる。
失業者が増加する、つまり働けない人が多くなるというのは、社会全体にとっては最大のムダである。

逆に言うと、賃金が柔軟に上下するならば、デフレはそれほど問題ではない。
今回のデフレは外需が突如蒸発してしまった需要の大幅減少で起こった。
輸出分の付加価値が減少してしまったのだから、その分は国民全てが貧しくなるしかない。
輸出分全てが損失ではなくて、それに見合った輸入分は差し引かなくてはいけないけれど、それでも巨大な額だ。
その分は国民全体が損失としてかぶらなくてはならない。
輸出関連事業は限定されていても、労働者の賃金がある範囲に収まることを考えれば、結局全ての労働者の賃金が減少して解決するしかない。
賃金の下方硬直性があると、このメカニズムが簡単には働かず、調整に時間がかかることになる。
しかし、現在の日本はバブル以後のデフレ局面によって、デフレ慣れしており、賃金の調節が急速に進行している。
ボーナスの大幅なカットと非正規雇用の従業員の削減でなんとか間に合わせている。
賃金は急激に減少したけれども、その変わり雇用はそれほど減ってはいないのだ。
雇用が守られているということは、社会全体としての損失はそれはど多くないということだ。

今後のデフレがそれほど心配ないというのは、そのためだ。
デフレスパイラルは、デフレによって雇用や賃金が減少することで、さらに消費が減少することによって起こる。
雇用の減少による消費支出の減少が心配ではあるけれども、名目はともかくとして、現在実質の消費支出は増えている。
つまり、需要の量自体は増えているし、企業の利益自体も回復している。
経済自体は正常な活動に向かって復帰していくのだから、デフレが進行する理由はない。

もっとも、政策効果による需要のかさ上げが消失した場合の問題とか、海外の二番底懸念など心配事は多い。
でも、消費の方はそれなりに最悪の事を考えて対応しているように見える。
不況慣れしているので、需要がそれほど簡単には増えないのだ。
逆に言うと、どんな事が起ころうとも、消費は今よりさらに落ちることはない。
日本の人口はいよいよ減少していく。
そうすると、今度こそ本当にデフレになるかもしれない。
しかし、人間には新しい需要を生み出していく力がある。
均衡状態が取れているならば、生産性の改善により、新しい商品を買っていくエネルギーが生まれる。
そうすれば、景気は回復していく。

賃金の下方硬直性がなければ、デフレ自体を怖がる必要はない。
もっとも賃金自体が下がることがうれしい人はいないだろう。
けれども、賃金が下がるのは需要自体が消失したためであって、デフレ自体が悪いわけではない。
既になくなった需要を惜しんでも仕方がないのだから、心機一転して働いていくだけだ。

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