異をとなえん |

なぜ、日本企業は増資をするのか?

2009.11.28 Sat

00:26:48

最近、日本企業に増資ラッシュが起こっている。
今年は年間で7兆円を越え、バブル以来なかった規模に到達しつつある。
株式市場では株安の原因ということで批判の中心だが、なぜ日本企業は増資を盛んに行なっているのだろうか?
財務体質の悪化を回復する、後ろ向きの理由が本当なのではないかと、テレビの解説者も疑心暗鬼で、文句を言いまくっている。
けれども、財務体質の悪化で増資するという話だったら、バブル崩壊後、企業倒産が続出した1998年ごろには、なぜ行なわれなかったのだろうか?
増資の必要性はあの頃が一番ではなかっただろうか?
その理由は、増資したかったけどできなかったというのが本当だと思う。
あの頃、実際には債務超過なため、倒産寸前の企業が多かった。
増資したかっただろうけれど、あまりにも内容が悪すぎたので証券会社も引き受けられなかった。
現在は違う。
少くとも倒産の危機は去ったと思われている。
だから、増資しようと思えば、証券会社は引き受けてはくれる。
でも、逆に増資する必要性も減っているのではないだろうか。
倒産する危険性がなかったら、増資しなくて済めばそれに越したことはない。
株価の下落によって、既存株主に不満を持たせてまで実行する必要はなんだろうか。

その答えは成長シナリオがあるからに尽きると思う。
つまり、普通の増資の際に掲げられる目的そのままだ。
それがはっきりしないとアナリストは文句を言うわけだが、たぶん企業には目安があるのだ。
もう少し詳しく言うと、海外企業の買収だ。
今回の金融危機によって、財務基盤が悪化し、倒産のふちに立っている欧米企業はたくさんあると思われる。
実際、日本による欧米企業の買収は既に高いレベルに達している。
たぶん、身売りしたい企業から日本の企業への買収依頼も多いのではないだろうか。
それをタイミング良く買収するために、現金が必要なのだ。

でも、それは海外の企業も条件が同じと思う人が多いかもしれない。
景気が少し持ち直し、株価が戻ったのだから、同じように増資をして企業の買収元なればいいという話だ。
しかし、日本企業と欧米企業では元々の財務基盤が違う。
金融危機直前、内部留保を最高に溜め込んでいた日本企業とレバレッジを最高に効かして借金を過大にしていた欧米企業とでは、危機において耐えられるレベルが違う。
だから、今日本企業は現金を積上げて買収に出ようとしているのだ。

もちろん、規制強化によって自己資本の積み上げを迫られている金融機関は別だろうし、海外企業の買収というより純粋な設備投資のための増資もあるだろう。
そういう、はっきりした成長シナリオがない企業の増資は海外企業の買収が本筋ではないかと思う。
たとえば、日立製作所の増資である。
日立製作所は今回の金融危機によって財務体質が大幅に悪化した。
ただ、単純に赤字を出したわけではなくて、リストラ費用を大幅に含んでいるから、見た目ほとひどいわけではない。
アナリストは選択と集中がはっきりしない、成長シナリオがない状態で増資することに批判的なようにも見える。
けれども、海外企業の買収が目的だと思えば、また違った側面があるだろう。

まあ、本当に正しいかどうかはあてにならないが、今年の増資ラッシュの裏に海外企業の買収があると私は予測してみた。

関連リンク
国内企業の公募増資、過去最高の年間7兆円に迫る(ロイター)
日立製作所、最大4000億円の資金調達=関係筋

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