異をとなえん |

「世界カワイイ革命」感想

2009.11.25 Wed

15:52:45

「世界カワイイ革命」を読む。

作者の前作である「アニメ文化外交」がどうも政府の報告書くさくて、あまり面白く感じなかったのだが、今回はカワイイを掘り下げてゆくことで面白く読めた。
ジャパンエキスポに集まってくる女性たちとの取材から、「カワイイ」が世界の共通語となって、日本文化に対する憧れが生じている話をファッション中心に語っていく。

日本のアニメやマンガが世界中に人気になることによって、その中で表現されているものにも海外の人々の関心は向いていく。
#その中で表示されているファッションにもだ。
ゴスロリやロリータと呼ばれる日本から生まれたファッションにも注目が集まる。
また、アニメで描かれる制服も、なぜか流行る。
普通の人には理解不能な気もするが、日本自体でもなんちゃって制服が流行るのだから、これも一つの流れだろう。
それらの現象と背後にあるものを、本は掘り下げていく。

アニメやマンガが表現媒体であることによって、意図せずとも日本文化はそこに流れこんでいく。
ジャパンエキスポにファッションの流れがおとずれたように、日本であることが魅力を発揮しはじめているようだ。

現在アメリカ以外では、日本が情報に関しては出超状態になっていると見込まれるのではないだろうか。
これはほとんど歴史上始めてと言ってもいい。
戦前のジャポニスムは、本当に一握りの人間たちの関心にも見えるし、物だけに凝っていた。
それが、表現媒体自体が受け入れられることによって、日本文化全体が海外に流出している。

そうすると「東京は聖地である」などという海外のファンも出てくる。
最近、日本にやってくるファンの女性が目立つようになった。
つい最近話題のベッキーとか、HIMEKAなどが思い浮ぶ。
マンガのアシスタントの話とかもあったな。

そこまで本気であると、どうもまゆつばもので聞いてしまうのだが、中にちらほらと出てくる「下妻物語」の映画を見て、意見が変わった。
ファッションが人生そのものであるという生き方に少し納得がいき、そういうファッションに命をかけている人の話であれば東京が聖地である、とかいう海外のファンの憧れが、少しわかった気がした。

もっとも、そんなファンなど所詮ニッチであって、ほとんどの人には関係ない気もする。
しかし、欧米合わせて人口が8億ぐらい。新興国で所得が高い層も含めて、全部で10億とする。
その内1%の支持を集めれば1000万人だから、バカにはできない集団となる。

日本のアニメやマンガ、ファッションが海外に普及する原因を考えてみよう。
一番本質的には、日本が不況であることによって、消費者の関心を引きつけるために、新しい商品を次々と開発しなければならなかったことが、挙げられる。
バブル後の長い停滞期、日本の消費は伸びなかった。
所得が増えていないこともあるけれど、人々が飛びつく商品がなかったことも原因だ。
世界のある意味最先端にいた日本人は、それ以上消費する物がなかった。
だから、消費が伸びず、経済は停滞していった。
消費を増やそうと各企業は必死になってがんばり、新商品を生み出していった。
その一つの現れが、アニメやファッションだった。
深夜アニメは90年代に入って急に増えていったし、原宿においてロリータやゴスロリなどが流行ったの90年代だった。

その結果、ファッションに関して、幅広い選択の自由が生まれた。
それが、消費者の好みを研ぎ澄ませ、企業と連動することによって、先端に近付いていった。
「原宿はextreme(先端)の街だ」や、「東京には選択の自由がある」という発言はその現れだ。
それが世界に受けている。

とまあ、ここまで書いてきたけれど、私には実際海外で日本の文化が人気であると言われても、どうも信じられない。
ウェブ上のいろいろな記事を読んだり、「東京カワイイTV」を見ていても、どうも実感がわかないのだ。
肌で接触した感覚がないと、人は現実に受け入れるのが難しいのだと思う。
アニメがマイナーな文化だと言う、先入観が強すぎるのかもしれない。
この本は、私の強い先入観を打ち砕き、もしかしたら日本文化は海外で本当に人気なのかもしれないと思わせてくれる、そんな本だ。
映画「下妻物語」を見た影響の方が大きいかもしれないけど。

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