異をとなえん |

競走馬で遺伝子研究の発展を

2009.09.07 Mon

22:07:43

最近、下記の新聞の見出しを読んで思いついたことがある。

競走馬の体調、検査キットで即診断 フロンティア研とJRA

競走馬は血統が大事だいうことで、名馬のオスと名馬のメスを掛け合わせて、
より速い馬を作ろうとしている。
この流れを、
遺伝子解析と人工授精を組み合わせてより効率化しようというアイディアだ。

DNAの解析は、最近急速に進歩しているので、競走馬に適応すれば、
馬の速さが何によって決まるのか、もっと詳しく決定できるはずだ。
競走馬の速さはたぶん一つの遺伝子で決まるのではなく、
複数の遺伝子のバランスによるものだろう。
体の大きさとか、筋肉の質や量など、各々を決定する遺伝子がある。
それらの遺伝子のバランスによって、最終的な競走馬の速さが決まってくる。
簡単な判定は難しいかもしれないが、
遺伝子の高速な解析があれば十分に調査可能なはずだ。

そこまでいけば、直接馬同士を交尾させるのではなく、
精子と卵子を個別に取得して、人工授精させる。
受精卵の遺伝子を調べて、速い馬ができていたら、それを出産させるわけだ。
その時は、卵子を作成した牝馬ではなくて、
普通の牝馬に着床させて生ませた方がいいだろう。
理由は名馬の牝馬が出産によって死ぬなどのことがないようにするためと、
卵子の採取を何度もできるようにするためだ。

名馬から名馬が生まれやすい、
一つの理由は遺伝子のバランスにおいて理想的な親の部分が、
子供にそのまま移っているからだと思う。
もう一つの理由は名馬同士の遺伝子なので、
重要な部分は双方ともあまり変わらないことだろう。
遺伝子解析によって、速さの仕組みがわかるならば、
何も名馬と名馬をつがわせる必要がなくなる。
駄馬と駄馬でも、必要な遺伝子はたぶんある。
もちろん全然ない場合は対象から外す。
駄馬同士の掛け合わせの場合、名馬になる確率は低いだろうけど、
量を多くしてきちんと検査すれば足の速い馬になる確率はずっと高くできる。
名馬の種付料はかなりしそうだから、
遺伝子解析をして、人工授精してもずっと割安なはずだ。

そう考えて調べてみると、
今のシステムでは競走馬の種付料は最高だと1000万とかある。
参照:【競馬】社台SS2009年種付料発表 ディープインパクトとアグネスタキオンが1000万円、次いでキングカメハメハ・ダイワメジャー500万円
しかし、よくわからなくなってきた。
これだけの額を払うなら、遺伝子解析などしなくとも、
精子だけ取得して卵子と人工授精させてもずっと割安のはずだ。
馬って人工授精ができないのだろうか?
そう思って調べてみると、
下記の記事のようにサラブレッドの人工授精は禁止されていた。

サラブレッドの人工授精についての雑感

反対理由は、血統の正しさが確認できなくなる問題と、
親が名馬に集中してしまい遺伝子の多様性が維持できなくなる問題だ。
今になってみるとくだらない理由だ。
血統の正しさが確認できない問題はDNA検査によって簡単に回避できる。
遺伝子の多様性が維持できなくなる問題は、品種改良が盛んなものほど、
幅広く遺伝子を保存しようとすることを見れば、そんなことは起こらない。
珍しい遺伝子ほど、大きな可能性があるので積極的に保存しようとする。
だから人工授精の禁止という規則を改正した方がいいと思う。

それでは、人工授精が禁止されているからといって、
遺伝子解析を進めない理由になるだろうか。
そんなことはない。
競走馬の世界は遺伝子解析を進めて、遺伝の仕組みを研究するのに、
理想的な世界なのだ。
一つは、走るという単純な目的に向けた、
複数の遺伝子が関連する事項であることだ。
一つの遺伝子によって決定される性質は遺伝子の解析が進めば、
確実にわかっていく。
それに対して、複数の遺伝子によって決定される性質は簡単にはわからない。
特にその性質が簡単に判定できないものであると、研究が難しくなる。
人間の頭の良し悪しなど、その最たるものだろう。
その点足の速さは正確に数量化できて、研究しやすい。
いろいろ考えてみたのだが、複数の遺伝子が関連しそうな事項で、
かつ簡単に性質が見分けられるのは、足の速さぐらいしか思いつかなかった。

もう一つの理由は、馬が家畜であることだ。
たぶん人間の足の速さも馬と同じような仕組みで決定されるのだと思う。
しかし、人間は研究に向かない。
倫理的な問題はともかくとして、養育に時間がかかりすぎるのと、
環境に影響されすぎる。
馬は人間に比べてずっと速く生育するし、
頭の良さが足の速さに影響することもほとんどないだろう。

そして、最後かつ最大の理由は、
競走馬の速さには多額の金がかかっていることだ。
競馬業界には足の速い馬を生み出そうとして、多額の金が流れ込んでいる。
その金を研究のために使うことができる。
遺伝子解析によって足の速い馬を見つけだせれば研究費など安いものだ。

競走馬の業界はそういう意味で遺伝子研究に向いた業界のはずだ。
そう思うと、馬の遺伝子の完全解析ぐらいもう終わっていてもいいはずだが、
ネットでは記事は見つけられなかった。
どうやらまだのようだ。
それでも、馬ゲノムの解析についての記事を見ると、
もう目前に迫っている。

競走馬の牧場には、遺伝子研究の科学者が必ずいてもおかしくない。
DNAシーケンサー(遺伝子を解析する装置)が一台入り、
どの馬を育てるかなどの研究を行なう。
研究者と装置が必要なのは、馬の速さが学問的に完全に解明されるまで、
待っていては遅すぎるからだ。
ある程度の当たりをつけた所で、仮説をたてて勝負していかなければならない。
それが、牧場の成績を決めるはずだ。
競走馬産業は遺伝子研究にとっての発展の場所となりうる。
進歩して欲しい。

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