異をとなえん |

「2010年世界経済大予言」感想

2009.09.04 Fri

03:51:24

「2010年世界経済大予言 大恐慌を逆手にとる超投資戦略」を読む。

松藤民輔氏と増田悦佐氏による対談本だ。

目次は下記になっている。
第1章 オバマの賞味期限は二〇一〇年で終わる!?
第2章 さらば金融立国!製造業こそが日本と世界を救う
第3章 日本の個人投資家はこんなにすごい!ダウ四〇〇〇ドル、日経平均株価は四〇〇〇円になる!
第4章 金価格は一トロイオンス三〇〇〇ドルを目指す!?
第5章 為替、債券、原油、穀物はこう変わる!
終章 やっぱり日本は正しかった!覇権は日本に転がり込んでくる

基本的にはリーマンショック以後の経済の動向を評価しているのだが、
物凄く暴走した本だ。
根拠があまりない妄想を出している。
初っ端のインフルエンザが細菌戦争により起ったというのは電波としか思えない。
まあ絶対にありえないとは言えないけど、よほど証拠を固めないと信じられない。
たまたま思いついた着想を、対談だということでぽんと出している。
そこは相方が突っ込むべきだと思うのだけど、なぜか簡単に納得してしまい、
後は妄想がダダ漏れしていく。
考えがシンクロしている対談は怖い。
歯止めがきかない。

個々の内容は、
世界経済は超弱気、日本経済は超強気という観点から語られていく。
私もその派に属しているので、うなずける部分は多いのだが、詰め方が甘すぎる。
たとえば、世界の覇権国は日本に移るという意見がでてくる。
実は私もそんな風に考えているのだが、
覇権国の本質を考えるととたんにわからなくなる。
日本が覇権国になるにしても、アメリカのような軍事大国になるとは思えない。
一番最初の覇権国がオランダで、オランダは軍事大国ではなかったから、
それは覇権国の本質ではないだろう。
では、基軸通貨国が覇権国の本質なのだろうか。
その場合、日本が覇権国=基軸通貨国になるにしても当分先のことだ。
10年20年はかかる。
少くともアメリカが経済的によほど凋落しないと起りえない。
すると出てくる表のなかでは、
2008年にアメリカから日本に覇権国が移っているのだが、
一体何が変わったのだろうか。
自動車産業のトップがGMからトヨタに変わったことは、
普通の感覚では覇権国の交替のような大事とは思えない。
少くとも自動車産業は、今それほど重視されている産業ではないだろう。
イギリスからアメリカへの覇権国の交替というのは、
1929年の大恐慌の年になっているので、
大不況による覇権国の交替という理屈にはなっても、後付けでしかない。
実際の覇権国の交替は戦後にアメリカが基軸通貨国になってだろう。
そうすると、1929年の大恐慌がアメリカの次期覇権国を決定づけたとしたら、
それは一体何か。
私はその問に答えられないので、
日本が次期覇権国になるかどうかは、わからない。
このように、真面目に考え出すと難しい問題がたくさんあると思うのだが、
そこらへんはすべてスルーしていく。

そんなわけで若干当てが外れた本だった。
なぜ、こんなことになったかと考えると、増田氏の本なのに鉄道の話が出てこない。
日本がマンガアニメ大国になったのも、
寿命が長いのも全て鉄道のおかげになっているのに、
その切り札が出てこないのでは力が半減してしまう。
根拠が弱いのだ。

「日本文明・世界最強の秘密」を読んで、
日本が覇権国になるという意見が簡単に納得できる人に勧めておく。

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