異をとなえん |

現在起きている争いは? - 世界は日本化へ向かう(その8)

2009.05.26 Tue

03:21:33

テンションが少し落ちたみたいで、進みが遅くなってしまって、申し訳ない。
前回では、かなり長く書いたが、要は簡単なこどだ。
経済が成長し、技術の伝播が進めば、核兵器を所有する敷居は低くなるので、
みなし核保有国は増大する。
核保有国とみなし核保有国の間では、戦争する確率が低い。
世界の全ての国がみなし核保有国になれば、戦争はほとんど起こらなくなる。
戦争をしなければ、戦争のための国家の中の仕組みは段々廃れていき、
戦争国家から平和国家へ転換していく。

この理屈に対して、当然幾つかの反論がある。
たとえば、アメリカはイラクやアフガニスタンで戦争を起こした。
イラクは核保有国にかなり近づいていたと見られ、
私の理屈なら戦争は起こりにくいはずだ。
それなのに戦争が起こったのは、矛盾ではないのか?

また、近年起っている軍事紛争には、
ガザ紛争、グルジア紛争、スリランカ内乱、パキスタン紛争、
スーダン内戦と民族紛争が中心になっている。
これらの紛争は民衆レベルで起こっていて、
核による抑止が効かないように見える。
それでも、核による抑止で平和になるという理論は正しいのだろうか?

最初の疑問に対する回答は、過度期の現象だということだ。
核保有に走るのは深刻な安全保障上の危機にある国だ。
その場合、核保有によって、
その国を攻撃できなくなることが致命的な問題だと考える国もある。
つまり、核保有に走ることが戦争を呼ぶことになる。

イラクは、ちょっとそれに近い国だった。
イラクはイランイラク戦争、湾岸戦争と二つ続けて、対外戦争を起こし、
世界の国からの支持を失なった。
特に、湾岸戦争では国連加盟国がほぼ一致してイラクを批判した。
これが、アメリカが最終的にイラクに軍事行動を起こしても、
どの国も真剣に助けに向かわない状況を作らせた。
そして、アメリカが9・11テロによって、
かなり理性がふっとび、戦争に向わせた。
つまり、イラクはかなり特異だったのだ。

近年核武装に走っていると見える、北朝鮮とイラクは違う。
イランにしても、北朝鮮にしても、武力紛争は近年起こっていない。
北朝鮮は中国と相互防衛条約を結んでいて、手を非常に出しにくい国だ。
そして、イラクみたいに実際に戦争に訴えたことはない。
こういう国には手を出しにくい。
昨日、二度目の核実験を実行したが、国連安全保障理事会でも、
ある程度の制裁は決定しても、致命的な制裁はできないように思う。
中国が北朝鮮を支持しているかぎり、北朝鮮が脅かされることはない。

イランはどうだろうか?
イランは北朝鮮のような同盟はない。
しかし、戦争は起こしていない。
パレスチナのハマスを支援しているみたいだが、
直接手を出しているとはいえない状況だ。
あいつは凶器を持ったら何をするかわからない、
だから先に殺してしまえ、という主張は多くの共感を得られない。
実際に犯罪を犯して、始めて取締ることができる。
イランが核保有に走ったとしても、
アメリカが戦争に訴えて止めるのは難しい。

結局、みなし核保有国が核保有に走ったとしても、
戦争に訴えて止めることは難しい。
その場合、新たに核保有国になった国は、
深刻な安全保障上の脅威が減少することによって、平和にかじを切るだろう。

もう一つの疑問である、民族紛争などの問題はどうだろうか。
これは非常に難しい。
核による戦争抑止は戦争の原因を消失させるものではない。
戦争の火種自体は残っている。
それが大火事にならないように、強制的に止めるのが核抑止だ。
そのためくすぶり続ける。
ガザ紛争などはそのいい例だろう。
しかし、問題解決の未来が見えないのに、戦い続けるのは、
双方にとって苦しい話になる。
どこかで妥協点を見つけて、すこしずつ安定化へ向うのではないかと思う。

以上が、戦争は減少するという私の理論だ。
しかし、今述べたように戦争が完全になくなるわけではない。
それでは、戦争国家から平和国家への変換は起こらないのだろうか。
私の考えでは、戦争が残っていたとしても、
戦争国家から平和国家への変換は起こる。
それについて、次回で説明したい。

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コメント

127

前回では感情のまま書き込んでしまい、申し訳ありませんでした。

>>対外戦争をせずとも、支配さえ行えば粛清が可能な事は赤軍大粛清で実証済みです。

すみません、『対外戦争をせずとも、(強権的)支配さえ行えば(障害無く自国民の)粛清が可能な事は赤軍大粛清で実証済みです』という意味で書きました。
『赤軍大粛清はナチスドイツの支配で行われた』と受け取られるとは思いませんでしたが・・・・・・。


>>武力行使なき戦争というのは、本質的には戦争という名に値しません。

確かに・・・・・・言われてみるとそうですね。
少しばかり戦争という言葉に意識が向き過ぎていました。
左派の人が平和という言葉に意識を向け過ぎている様に見えるのと同じ事だったのでしょうか・・・・・・。


>>武力による強制がなければ、国と国との関係は国の自由意志によるものです。
>>自由意志であれば、どちらかの国にとって一方的に不利になる関係はありません。

国と国(『政府と政府』という意味だと受け取ります)ではそうでしょうが、政治家が(政府を含めた)国家(≒主権)を大事に思っていなければ、自滅する方向に向かう事もあるのではないかとも思えます(現民主党党首の発言からの連想です)。

130 Re:感情のまま

ヒルネスキーさん、いつもコメントありがとうございます。

> 前回では感情のまま書き込んでしまい、申し訳ありませんでした。

感情についてはよくわからなかったです。
というか、文章によるコミュニケーションは、感情などを伝えるのには不十分なことが多いから、あまり意識しないようにしています。
とは言っても無視してはいけないだろうし、基本的には気になったら、質問し直すというのが私のスタンスです。

>>>武力による強制がなければ、国と国との関係は国の自由意志によるものです。
>>>自由意志であれば、どちらかの国にとって一方的に不利になる関係はありません。

> 国と国(『政府と政府』という意味だと受け取ります)ではそうでしょうが、政治家が(政府を含めた)国家(≒主権)を大事に思っていなければ、自滅する方向に向かう事もあるのではないかとも思えます(現民主党党首の発言からの連想です)。

トップの座に売国奴がつき、とてつもなく不利な条件で他の国と条約等を結んだとしても、それが不利だとわかった時点で、トップから降ろされ、条約などは解消されます。
資源国などで強制的に資源産業が国有化されても、先進国が手を出せなくなっているのと同じことです。
軍事力を使わなければ、止めることはできないけれど、使うことが難しい世の中になっているからです。
売国奴がトップの座につけば、一時的にその国に不利益をもたらせても、永遠にはできません。
だから、長い期間で見れば損得はないと思います。

それに売国奴と言わほど、ひどい人間はトップには普通つけません。
現民主党党首も、頼りないとは思うけれど、売国奴というほとひどくはないと思っています。

それでは。

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