異をとなえん |

自国通貨建ての国債にデフォルトリスクはあるのだろうか?

2009.05.23 Sat

03:30:16

日本国債の格付けが上げられた。
Aa3からAa2という話だ。
前に格下げされたときと環境が変わっていないのに格上げされたということで、
格付けのいい加減さが問題になっている。
根本的に疑問なのは自国通貨建ての国債にデフォルトリスク、
つまり返されないリスクはあるのだろうか?
理屈の上からは、返すための歳入が不足し、借金することができなくなったら、
デフォルトすることはありえる。
返すための歳入が不足するというのも、ほんとにあるかどうか微妙な感じだが、
政治上の理由で税率を上げることができず、
そのくらいならデフォルトする方がいいと考える国もあるだろう。
しかし、借金することができなくなるなんて本当にあるのだろうか。
民間からの信用がどんなになくなったとしても、
中央銀行が買い支えるのではないだろうか。
そもそも、金融政策は国債の売買を持って行なうので、
国債がデフォルトなんて事態を起こしたら、金融秩序自体が崩壊する。
今の信用危機など問題にならないぐらいのパニックが起きる。
中央銀行がそんなことを認めるわけがない。
私には、自国通貨建ての国債のデフォルトリスクは、ほとんどゼロに思える。

しかし、デフォルトリスクはなくても、インフレリスクはある。
当たり前だが中央銀行が無制限に国債を引き受けていれば、絶対にインフレになる。
ジンバブエがいい例だろう。
インフレが発生したら、いくら投資した金額が戻ってきたとしても儲からない。
投資家にとっては困ったことになる。
だから、国債の償還のために、
中央銀行が通常以上に通貨を発行せざるを得ない場合、
その影響を受けたインフレ率を考慮して格付けするのはありかもしれない。
ただ、その場合、その通貨建ての債券は全て、そのインフレリスクを負うのだから、
国債より格付けを低くなければならない。
トヨタの格付けが日本国債の格付けより高いというのは、
どう考えてく狂っているように見える。
ここらへんは、私にはほとんど自明の理だと思うのだが、
格付け会社がそう思っていないみたいで、そこらへんが良くわからない。

イギリスやアメリカの国債の格付けの引下げも話題になっている。
そのせいでドル安に動いたらしい。
問題なのは格付け会社が格付けを引き下げてしまうと、
自動的に売り出さなくてならないような変な仕組みがあることだ。
アメリカ国債の格付けが引き下げられてしまうと、売らざるを得なくなって、
そのせいで国債の価格が下がり、ドルが下がる。
知名度の低い会社の社債とかと違って、国債なんて誰でも分析できる。
購入者責任で十分ではないか。

金融危機の状況下で国債の格付けが変動するのは好ましくない。
G20でも、G8でもいいが、
格付け会社に自国通貨建ての国債は格付けAAAに固定するように、
合意できないものだろうか。

たぶん、誰も困らない。
格付け会社も政府の指示なら黙って従うだろう。
通貨のインフレリスクはあるが、それは別途発表すればいい。
格付け会社はアメリカとイギリスの会社だから、
アメリカ政府とイギリス政府は自分たちの国債を守るために圧力をかけた、
と思われて直接動きにくい。
日本が音頭を取れば、まとめやすくなると思うのだが、どんなもんだろう。
アメリカ政府にしても、イギリス政府にしても、
日本が自国の格付けを上げるための要求だが、
金融危機を防ぐために従えと指示を出しやすくなる。

けっこう、悪くない考えじゃないだろうか?

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コメント

134 インフレリスク

現状の日本の経済状態を見てインフレリスクでジンバブエを挙げるというのは、生きている間に宇宙人が攻めてくる可能性が0%と言い切ることは不可能である、と言ってるのと同じですよ。

もちろん無制限に国債を引き受ければそうなりますが、それは民主党の言う「経済成長率-10%が100年続いたらこのままでは年金は破綻だ!」と言ってるのと同じで現実的にはありえません。しかし表現の問題以外内容自体は全くその通りだと思います。これからもガンバってください。応援してます。

135 Re:インフレリスク

Nanashiさん、コメントありがとうございます。

> 現状の日本の経済状態を見てインフレリスクでジンバブエを挙げるというのは、生きている間に宇宙人が攻めてくる可能性が0%と言い切ることは不可能である、と言ってるのと同じですよ。

ジンバブエを挙げたのは、理論としての例であって、日本がジンバブエになるような意味で書いたつもりではありませんでした。
ただ、なんか読み返してみたら、そんな風に読めないこともないかな。
どう書き直すべきかは、わからないのですが、「日本がジンバブエになると言っているわけではない」と言う文を、追加するようなことはできたと思います。
文章は簡単にはうまくならないので、地道に向上させていきたいです。

> しかし表現の問題以外内容自体は全くその通りだと思います。

自分一人の意見ではない、ことがわかってうれしいです。
しかし、「これこれこういう理由で、お前の意見は机上の空論なんだよ。ど素人め。」などと教えてくれる人を期待しているわけで、そういう意味ではちょっと残念です。

> これからもガンバってください。応援してます。

ありがとうございます。

それでは。

141

返事が遅れました。

私も少し言葉足らずでした。ジンバブエという名称はそもそも使ってはいけないんですよね。印象的にはインフレと言えばジンバブエかもしれませんが、そもそもインフレ問題に対する捉え方が現状の日本とジンバブエでは全く逆なんです。

ジンバブエというのは別に国債を引き受けまくったわけでもなく、ムガベが自宅で通貨刷りまくったわけでもなく、国内が(まあさまざまな原因が重なり)供給不足に陥ったのがインフレの原因なわけです。で、日本は全くその逆で過剰も過剰な過剰供給状態なわけです。

そして日本が「供給不足」が原因でインフレになることは120%ありません。これが世の経済評論家がお題目のように唱える「デフレ経済」ですね。逆に、イギリスやアメリカの場合は供給不足によるインフレ懸念がジワジワ迫って来ているわけです。と言えばもうおわかりと思いますが、この件に関してはジンバブエという名称を使うことによって日本と英米の経済構造の違いが曖昧になってしまうのです。これでは今現在麻生政権がやっている経済対策の意味がわからなくなってしまう恐れがあります。

というのが宇宙人の例えで言いたかったことです。ここまで説明するべきでした。自分であんまり文章書くことないからポンポン省いちゃうんですよね。自分で読み返してみてもわかりにくいですね。

142

というかそもそも「インフレ」という言葉の意味が上記のように全く違う場合は同じ文脈で使ってはいけないんですよね。使う場合は「供給不足によるインフレ」や「過剰な国債引受による通貨インフレ」等正確な表現でなされるべき、だと思っていたりします。その場合、日本の例でジンバブエを出すのは完全に間違いです。

前も言ったようにその他はまさにその通りだと思います。突っ込むところはその1点だけです。インフレ=ジンバブエみたいな昨今の風潮はあまり健全ではない気がします。

143

何度もすみません。夢綾さんの文章をもう1回読み直して気づいたんですけど、

>しかし、デフォルトリスクはなくても、インフレリスクはある。
>当たり前だが中央銀行が無制限に国債を引き受けていれば、絶対にインフレになる。
>ジンバブエがいい例だろう。
>インフレが発生したら、いくら投資した金額が戻ってきたとしても儲からない。

っていうのは、

>当たり前だが中央銀行が無制限に国債を引き受けていれば、絶対にインフレになる。
>ジンバブエがいい例だろう。

が1つのまとまりではなく、

>ジンバブエがいい例だろう。
>インフレが発生したら、いくら投資した金額が戻ってきたとしても儲からない。

が1つのまとまりですか?そうだとすればとんだ勘違いをしていたかもしれません。これなら私の説明は必要ありませんでしたね。大変失礼致しました。

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234 ジンバブエでなぜインフレが起こったか?

これは、「自国通貨建ての国債にデフォルトリスクはあるのだろうか?」 のNanashiさんへの一連のコメントへの回答です。 少し長くなったので、記事として独立させました。 > 返事が遅れました。 コメントいただけるだけで、うれしいです。 ありがとうございます。 ...