異をとなえん |

オバマ大統領の医療改革はうまく行くのか?

2009.04.24 Fri

02:22:05

オバマ大統領が健康保険を国民全部に広げようとしている。
先進国のほとんどが、国民健康保険なのに、
そうでなかったのは不思議といってもいい。
クルーグマン氏は、
アメリカに国民保険がないのは人種差別のせいだと本に書いていた。
それを読んだ時、腑に落ちたことを覚えている。
本当に人種差別が原因かは、わからない。
ただ、アメリカという移民を自由に迎え入れる国は、
国民保険になじみにくいのだと思う。

国民保険は、国民全員がお金を出しあい、
病気になった時カバーするシステムだ。
基本的には、全国民の所得が平等であることを前提にしている。
あるいは、全国民が平等な医療を受けられるべき共同体だ、
と信じていることを前提にしている。
日本では医療の安全が平等だというのは、大体受け入れられている。
日本人全体が共同体という、一体感があるのだ。
ヨーロッパの国々も、実態はともかくとして、理念としては同じだろう。

しかし、アメリカは違う。
アメリカは移民国家であり、あらゆる所から、
人々を受け入れることを認めてきた。
最近は規制も厳しくなっているとはいえ、
まだ多くの人々を受け入れていることには変わりない。
その場合、移民たちにアメリカ人は連帯意識を持てるのだろうか。
持てないというのは、当然だろう。
全然縁もゆかりもない人たちなのだ。
だから、自由と民主主義を擁護する仲間としての意識はあっても、
医療のように個人の物欲に関係する問題は個人で対処するのが原則となる。
それがアメリカの自由という考え方だった。

では、オバマ大統領の改革はうまくいかないのだろうか。
それはよくわからない。
ただ、クリントン大統領の時の医療改革と違って、
現在はより強い不況になっている。
中産階級が大量に雇用を失ない、保険に入れなくなった。
改革の機運が高まっているのは確かなようだ。

それでは、先ほとの移民を自由に受け入れてきた伝統とは、
どう調和するのだろうか。
私には、移民の規制を強めて、受け入れをより制限に向かうしかないと思う。
つまりは内向きになって、国家としての一体感を高めていくのだ。

オバマ大統領は選挙戦の時から、アメリカ国内の融和を訴えていた。
それは正しい方向だと思う。
アメリカ内部では分裂の芽が幾つも出ている。
富める者と貧しき者、英語とスペイン語、白人と黒人とヒスパニック。
それらが最終的に、共和党と民主党の根深い対立に結びついている。
この対立を危惧する人たちが、オバマを勝利に導いたのだ。

ただ、方向が正しいからといって、うまく行くとは限らない。
むしろ、対立を激化させる可能性もある。
リンカーン大統領はアメリカの国家としての統一を第一に考えていたが、
それが返って反発を生み、南北戦争を招いてしまった。
オバマ大統領の国民を融和する路線も、
かえって共和党支持者の反発を招いている。
医療制度改革はその先駆けだ。

前に私はオバマ氏を白鳥の歌にたとえた。
その感覚はより強まっている。
オバマ大統領は、人の話を聞きすぎていては何も決まらないし、
かといって強く推すだけでは対立は深まる。
アメリカという仕組み自体が、それに耐えられるかが問われる。
アメリカがそれに耐えられなければ、影響は世界に拡散していく。
今後の世界を占う上で気になってならない。

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