異をとなえん |

ドルの基軸通貨国論議について

2009.04.03 Fri

21:40:25

ドル暴落の危険性の話は昔から指摘されている。
私もそんなことを書いてきた。
最近中国が新しい基軸通貨として、SDRを利用しようなどとの案を出している。
下記の記事に話が出てくる。

A Super-Sovereign Reserve Currency ドルを埋葬したい勢力

基軸通貨と言っても、別に何らかの制度があるわけではない。
ただ、単にドルを基軸通貨、つまり決済通貨として利用するのが、
みんな便利だと思っているから、ドルが基軸通貨になっているに過ぎない。
そこらへんは、同じ作者の書いた記事が参考になる。

【論文】ドル体制が続く本当の理由 ヘゲモニー支えるニューヨーク集中振替構造

慣習で基軸通貨になっているのに、それを制度で変えるのはなかなか難しい。
特に基軸通貨国として特権を有しているアメリカが、
わざわざその特権を返上する制度改革に同意するわけがない。
アメリカが基軸通貨国の特権を捨て、新しい制度を考える気になるのは、
困ったときだけだ。
つまり、ドル暴落である。

ドル暴落はありえるか。
FRBが債務、つまり通貨を金融危機以来大量に増発していることが、
その原因になるという考え方だ。
しかし、同時に急速な不況は、需要を激減させ、むしろデフレ現象を引き起こしていて、
ドルが暴落するのをありえなくしている。
日本においても、バブル崩壊後大量に流動性を供給したが、当初は円高だったし、
その後は円安になったけれど、暴落というほどではなかった。
穏やかな円安に過ぎない。
アメリカも同じような経緯をたどる可能性が大いにある。
そうなるとしたら、暴落はあり得ず、基軸通貨国としての地位は維持されるだろう。
もちろん、この考えは日本の景気が悪いままだったからという可能性もある。
景気回復するほどの金融緩和策を取ると、
実はハイパーインフレを引き起こすのかもしれない。

どちらにしても、未来は判然とはしない。
未来の不確かな予測に基づいた制度改革など、アメリカが聞くわけがない。
アメリカが聞かない状況での基軸通貨論議など無意味だ。
そんな、非生産的なことに関わるより、
ある意味底が抜けそうな弱い国を支えることの方が重要だ。

ドルの暴落が本当に始まれば、その時点で如何にして、
それを止めるか話し合う機運が生まれる。
日本はドルが暴落した時に、外貨準備の損を第一に考えるような国ではない。
まだ世界第二位のGNPの国であり、世界経済秩序を支えている国なのだ。
重要なのは、ドル暴落による世界経済の崩壊を如何にして食い止めるかだ。
円建てのアメリカ国債という話がその時点でようやく意味を持ってくる。
日本だけで支え切れない場合、日中協力とかその他の国の力を借りることになる。

いずれにしても、日本はその時点で対応策を考えればいい。
先走った議論に日本が付き合う必要はない。
アメリカ国債で持っている外貨準備にしても、ドルが暴落した時は損になっても、
逆に円安傾向の時は大きな安全弁になる。
多額過ぎる嫌いはあるが、目減りすることを考えて減らすほどでもない。
そのまま持っておけばいいものだと思う。

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