異をとなえん |

石油危機後に起こったこと - なぜ日本のバブル崩壊後の停滞は長く続いたのか?(その3)

2009.02.05 Thu

20:35:40

昨日のワールドビジネスサテライトで、
住宅価格の動向が景気を左右する原因という説に言及していた。
タイミングがあまりにも良くて、ブログを読んだかと思うほどだ。
そんなこともないだろうけど、
私の意見に興味を持った人もいる現れと信じて書き進めたい。

私がアメリカの住宅事情を知るために参照しているブログに、
ニューイングランド通信がある。
そこで、
都市の安心感
という記事にブログ主の義理の両親の住宅の家の写真が載っているのだが、
これがとんでもない。
見たかぎりでは森のど真中にしか見えない。
郵便受けから家まで150mあると聞くと、もうあきれてしまう。
郵便物を受け取るだけのために、車を使いそうな家だ。
自動車無しでは暮していけない。
そんな場所で、ガソリン価格の高騰が起きたらどうなるか。
たちまち生活に困ってしまう。
ガソリン代を減らすために、ありとあらゆる方法を考えなくてはいけない。
買物に行く回数をできるだけ減らし、娯楽を控え目にする。
時が経つと、需要が減れば価格は下落する、経済の法則に従いガソリン代は下がってくる。
しかし、住人たちにとってはそれからが頭を痛める時になる。

1970年代から1980年代にかけて発生した、石油危機によりアメリカ経済は低迷した。
その理由について私は次のように考えている。

最大の要因は住宅の価格低迷だ。
第二次石油危機後、暴騰していた原油価格は低下していった。
しかし、景気は簡単には良くならない。
ガソリン価格の上昇が郊外の住宅の信頼性を揺らがせたからだ。
現在はガソリン代が安くとも、将来はわからない。
将来ガソリン価格が上昇した場合、
本当に遠距離に建築された住居は住めなくなってしまう。
価格上昇が一時的であると予測できたとしても、不安はぬぐえない。
年を取って老人ホームに住もうとでも考えた時に、
住宅を売却して、その代金にあてようとしても、売れないかもしれない。
そういう不安が、郊外の住宅の購入を控えさせる。
アメリカは石油危機後、急激なインフレに見舞われたから、
名目価格についてはよくわからないが、実質価格は低迷するだろう。

郊外に住む住人は引越すことを考える。
公共交通機関の利用しやすい場所に引越すとか、
都市の中心部への移動を考える人も多くなるはずだ。
しかし、その時点ではガソリン代が安くなっているので、
住居を投売りして直ちに移転しようとは思わない。
その替わり、自分の住居が売れないのに、引越すことを考えて、貯蓄を増やすことになる。
新規に郊外の住居に投資する人もいなくなるが、
かといって、都心部や公共交通機関の便のいい所への投資も増えない。
住民が都心部に戻り、集積度が増せば、マンションなどの建設も有利になる。
けれども、ガソリン代が安いままならば、そのまま郊外に人が住み続ける可能性もある。
その場合、下手に投資したら大損だ。

結局、未来予測の不確定性が消費と投資を大幅に減少させる。
私はこれが、石油危機後のアメリカで起きたことであり、
そして今後のアメリカに起こる現象だと思う。

1980年代のアメリカは、ずっと低迷し続けた後、石油価格の低下傾向が明らかになり、
今後も上昇はないと確信して、景気は回復していった。
それが今回の不況でも起こるだろうか?

関連記事は下記。
なぜ日本のバブル崩壊後の停滞は長く続いたのか?
アメリカの大恐慌が長く続いた原因は? - なぜ日本のバブル崩壊後の停滞は長く続いたのか?(その2)

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