異をとなえん |

日本しか金を出せる国はない

2008.12.16 Tue

02:53:26

日本経済復活の曙光
で、金融業から景気が良くなるという意見を述べた。
しかし、下記の記事では、「日本は比較的安全」は幻想とのべている。

(08/12/11)第1次石油危機後に匹敵する戦後最大級の景気後退へ(松岡幹裕氏)

納得できない意見なので反論してみたい。
「日本は比較的安全」は幻想という理由は次の通りだ。


(1) 日本経済は貿易(輸出減少)と為替レート(円高)を通じて、世界景気後退の影響を受けてしまう。当社の想定する規模の世界景気後退と円高の下で、日本の内需が十分な抵抗力を維持できるとは考えにくい。
(2) 在庫の過剰感は、供給側(在庫)と需要側(出荷)の双方で決定される。いかに供給側をコントロールしても、需要の予想外の減少が起これば、在庫の過剰感が発生し、生産削減が起こる。この局面が7−9月期から始まったようだ。
(3) 08〜09年度と2年連続で大幅な利益減少が起これば、キャッシュフローが枯渇し、資金繰りが厳しくなる企業が増加する。また、製造業の生産能力は90年代の2回の景気拡大局面では、横ばいないしは低下したが、02年からの拡大局面では7%拡大した。80年代後半のバブル期でも12%しか拡大しなかったので、この7%の生産能力拡大は、かなり大規模である。現下の需要の急激な減少とこれまでの生産能力拡大の下では、設備投資を増やす誘因は見当たらない。
(4) 主な因果関係は、「景気悪化→不良債権」である。 90年代の不良債権問題は処理されたが、今回の景気後退は新たな不良債権を発生させる。筆者の試算では、今回の景気後退の規模の下では、銀行部門全体で、年間利益のほとんどを不良債権処理(貸倒引当金の積み増し、直接償却など)に充てる必要があるとみられ、自己資本比率が上昇する余地は限定的だ。景気の悪化が臨界点を超えて銀行の貸し渋りを引き起こすようになると、景気悪化と不良債権の間の因果関係は双方向に働き始める(負の金融乗数効果)。


今回の日本の景気回復が輸出頼みだったため、
金融危機によって、外需が急速に縮小するならば、
輸出が手痛い打撃を受け、景気に大きな影響を及ぼすことは間違いない。
自動車工業に代表されるアメリカ市場の過度に依存した企業は、
興亡の危機に直面している。
それらの企業の、(1)生産、(2)在庫、(3)設備投資、それら全てはマイナスになる、
景気を後退させるだろう。
しかし、(4)番目の金融自体が縮小するのはどうだろうか。

世界での需要減退が長びけば、資金繰りに窮してくる企業は多くなる。
けれども、今回の景気拡大では、企業は労働者の賃金を上げず、労働分配率を低いままに保ってきた。
利益を内部留保し、設備投資やM&A資金として使っている。
今回の未曾有の需要減退は、企業の利益を大幅に減少させるだろうが、
倒産に至るまではもっと時間がかかるのではないだろうか。
そして、危機に合わせて、企業はかなり早く手を打っている。
派遣労働者を切り捨て、設備投資も絞った。
世界の需要が縮小したままでも、採算が取れるように改善している。
私には問題があるにしても、バブルの時のように、
多くの企業が不良債権化していくことはないと思う。
不良債権は明らかに限定されている。

現在の金融危機における、
日本の不良債権はサブプライム関連のローンと日本の不動産関連の債権だ。
サブプライムローンは既に処理が終わったといっていいし、
不動産関連も銀行は一気に貸し剥がしに出て、貸付金を回収している。
それで不動産関連の上場企業が大量に倒産した。
輸出関連の生産が停滞することによって、GNPの減少はあるだろうけど、
円高により輸入産業には差益が出るし、
経常収支自体は来年は黒字は拡大する見込みなのだから、
不良債権がそれほど大きくはならない。

実際のデータは持っていないので、日本の不良債権は限定されているといっても、
説得力がない。
それでも、他の国よりはましに思える。

現在の金融危機は、アメリカの不動産の価格下落がきっかけとなって起こった。
結果世界の資産が大幅に縮小した。
世界から金がなくなったのだ。
今までは、資本がありあまっていたので、安い金利で金を借りることができた。
しかし、資本が減少した今、金利は急上昇している。
そのため、資本を持っている国は、投資または融資をすることによって、
巨大な利益が上げられるはずだ。
この国は日本しかない。

日本以外の国で、金を出せる所があるだろうか。
まず、アメリカから考えてみよう。
アメリカは今回の危機の発端ということもあり、
金融機関が大きく傷ついている。
政府から資本の投入も受けている。
ヨーロッパも同じだから、それがないだけでも日本はましなはずだ。
アメリカの金融機関にはFRBが大量に資金を供給しているが、
おっつかない。
企業が破綻した場合には、自己資本規制によって、資産を減らさなくてはならないので、
貸し出せないのだ。
そして、不動産や株式の下落を通じて、アメリカ国民も資産が減っている。
この流れが変わらない限り、貸し出せる金ができるわけがない。

次はヨーロッパだ。
ヨーロッパはアメリカと同じように、サブプライムローンに多額の金を投資していたし、
アメリカの証券にも巨額の投資をしている。
その結果、アメリカの価格下落の影響を強く受けている。
政府が資産の投入をしているのもアメリカと同じだ。
東欧を始めとした新興国の投資も危ない。
新興国に一番投資をしているのはヨーロッパなのだ。
自国内では、不動産のバブル状態もある。
これらの危機はまだ終結していない。
それら全てを合わせれば、金を貸し出す余裕があるわけがない。

では石油輸出国はどうだろうか。
石油価格は下落している。
50ドル以下では、予算の達成もままならない国が多いのでないか。
政府ファンドも投資するより、資金回収が関の山だ。
もはや、外国への資本輸出などできない。

そうすると、世界一の貿易黒字を出している中国はどうだろうか。
中国については謎の部分が多すぎる。
前にも述べたが、
中国の黒字をそのまま受け取ることはできないことと、
大幅な公共投資の増額によって、
中国は外国に資本を輸出する力を失っていくと思われる。
さらに、中国は外国からの投資で成長した国なのだから、
資本の引き上げにも対応しなくてはならない。

これらの事項を考え合わせると、世界に資本を供給できる国は日本しかいない。
今回の不況を食い止めるほどの資金を貸し出すことはできないし、
逆に、金融危機前と同じ資金需要もないだろう。
しかし、日本の金利を上昇させるには十分な資金需要はあると思われるので、
いい商売になる。

そう考えると、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、野村証券が外国の会社に投資している理由がわかる。
なにかはっきりしない投資に見えたが、外国からの案件をつなぐ役割を期待すれば、
そんなに悪くはない。
資金を必要とし、リスクが限定されている企業でも、外国の銀行などは貸し出す資金がなければ
どうしようもない。
そういう案件を日本に回してもらえば、いい商売ができる。
大株主なのだから、割の合わない部分を回すこともなかなかできないだろう。

金融業が好転し、大きな利益を上げるようになれば、
そこを中心として、サービス業、不動産業にも恩恵が回るはずだ。
内需自体が盛り上がっていく。
楽観論かも知れないけど、日本が一番早く不況から回復できるはずだ。

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136 やっぱり今の日本は必要以上に不況だと思いこんでいるとしか思えない。

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20081216k0000m070141000c.html 社説:日銀短観 過剰に萎縮していないか 日銀短観が発表され、経済の急速な下降を反映し、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、極端な悪化を示す項目が並んだ。 (中略) ただ、このところの雇用調整の動きはあまりに激しい。金詰まりを恐れ極端な在庫圧縮に走っていることが、 短期間での期間従業員・派遣社員の大量解雇につながっていると...