異をとなえん |

日本語は亡びるのか?(その3)

2008.12.05 Fri

02:19:49

前回、
に続いてビジネス面での日本語普及について見ていく。

バブル以後、日本経済は相当なダメージを負い、
世界への進出は停滞してきた。
しかし、ようやく各業界も態勢をととのえ、世界に再進出する力を手に入れつつある。
今回の国際金融危機によって、海外の企業は大きく傷ついた。
その中で、現金を抱えている日本の企業は相対的に有利であり、
M&Aによって世界での規模を拡大する絶好の機会となっている。
最近の海外へのM&Aはその現われであり、今後もニュースが続いていくことだろう。

M&A:日本企業、海外へ攻勢 1〜10月前年比3.7倍


1〜10月で前年同期比約3.7倍の6兆6678億円に上り、過去最大の06年(8兆6089億円)に迫る水準になった。


日本企業が世界市場での地位を拡大することによって、
日本語は普及していくのではないか。

もっとも日本企業が海外企業を買収したとしても、社内の言語は英語だろう。
日本板硝子による英国の会社の買収では、社長が英国人になってしまった。
ある意味、英語が逆に普及するように見える。
しかし、本当にそうだろうか。
日本の会社であれば社長がどうであれ、
顧客、下請け、行政等と日本での外部とのやり取りは、日本語でやらざるをえない。
株主たちも日本人が多いだろう。
そのコミュニケーションのためには、日本語が有利に決まっている。
それを理解できる外国人は日本語を学ぶ。
つまり会社の上層部は日英両国語ができる人間が多くなる。
日本語が英語になり替わる状況は、あまり予想できないが、
日本資本に勤める会社員に日本語が広まる力にはなる。

日産自動車は逆にフランス資本によって買収された。
その結果、社内では英語が公用語だ。
読売新聞の報道
によると、
「日産自動車も社内文書は原則英語で、外国人が1人でも参加する会議は英語で進む。」
ということだ。
しかし、日本国内の公文書、契約書は日本語で作らざるを得ない。
そうすると、会社間のやり取りでメールが飛びかっていれば、
それを引用する時、その部分は日本語になってしまう。
結局、純然たる社内文書だけしか英語にならない。
実質英語しか読めない人間に、
必要とする文書を英訳しているだけでしかないような気がする。
そんな風に考えていくと、実質文盲の人間が管理職をやっているのがおかしい話になる。

日本企業でも他所の国の子会社に行って、言語を知らずに働くことはある。
それには技術のような別のはっきりした長所が必要だ。
それがない状況では、子会社の運営があまりうまくいくとは思えない。
日産の場合は再建のために蛮勇を振るう能力が必要とされ、
ゴーン社長はそれをうまくやった。
しかし、再建が一段落した状況でも、それでいいのだろうか。

多国籍企業の運営は難しい。
日産自動車のように、フランス資本の会社の日本企業は、
親会社はフランス語環境で、子会社は日本語環境だ。
でも、日仏の言語が使える人間は少いので、英語が共通語になる。
日本の会社では日英両国語が使える人間が上層部となり、
フランスの会社の子会社をコントロールする部分は英仏両国語が使える。
この場合、日英両国語しか使えない社員は、やはり本社に移動しての昇進は難しいと思う。
もっとも、日産自動車はそんなこと考えてなさそうだ。
多国籍企業としての一体性より、個々の会社がくっついているようなものか。
英語が共通語というのも、フランス企業の子会社というより、
アメリカ企業の親会社としての立場かもしれない。

日本の場合もドイツやフランスに子会社を持てば、同じような問題が起こる。
しかし、日本の場合はフランスに行けばフランス語を勉強すると思うし、
ドイツに行けばドイツ語を勉強すると思うのは身びいきなのだろうか。
そんな風に考えていくと、親会社の言葉を共通語としてしまうのが、
多国籍企業全体としては、一番効率を高くできる。

現在日本企業が短期的に英語を公用語とするのは納得できるが、
それはそれで問題だ。
外国人社員には、はっきりしない内部のカーネルが存在するように見えないだろうか。
子会社の社内の運営は、その国の言語であったとしても、
結局長期的には、会社全体の共通語は、親会社の国語の統一したほうがすっきりする。

多国籍企業の社内言語をどうするかに、話題が拡散してしまったが、
どちらにしても、日本企業が世界に進出していけば、日本語の普及にはつながる。
日本に進出している力より、日本から出ていく力の方が強ければ、
日本語の勢力は大きくなるだろう。

さらに続けて、科学技術の面を見よう。

この項続く。

このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURLはこちら