異をとなえん |

「コメを選んだ日本の歴史」感想

2008.11.28 Fri

17:08:44

原田信男著「コメを選んだ日本の歴史」を読む。
日本人の主食とするコメの観点から、日本の通史を描いている。

コメ関係の著作がたくさんあるみたいで、
通史にすることによって、新しい問題が見えてくるのではないかと、
作者は書いている。
確かに何かを感じられるような気もするが、
はっきりしたことは、わからない。
そういう意味で、
新書にしては参考文献が山ほどもある苦労した作品だとは思うが、
全体としてはまとまりがない。
むしろ部分部分に興味深い記述が多く見られた。

その一つはコメの重要性だ。
蝦夷と呼ばれた北海道と沖縄の二つの地域は、
明治維新まで日本の完全な支配権になかった。
日本の成立初期、米がまだできなかった東北や日向の地域も、
日本ではなかった。
理由は難しいだろうけど、
結果的に米を生産していなかった地域が日本ではなかったことは、
日本の本質が米と結びついていることを示唆している。
天皇の祭祀が稲作の豊穣を祈る儀式であることも、
そのことをうかがわせる。

また、米を主食とした他の地域では豚の飼育が行なわれた。
しかし日本では肉食は段々とすたれていった。
なぜなのか、穢れ思想からと作者は説明しているけれど、
私にはどうも納得し難い。
もっと、はっきりした理由がありそうな気がする。

そんなこんなを合わせて、今となっては、コメは食物の一種でしかないけれど、
日本人が日本人であるために、日本が日本であるために、
コメを大事にしなくてはいけないと思わせる本だった。

目次は以下の通り。

序章 コメの力と起源
第一章 日本列島へ 縄文と弥生のコメ
第二章 社会システムを変える 弥生の戦争とクニ
第三章 統一国家を築く 古墳から古代国家へ
第四章 社会の主役へ 中世の社会とコメ志向
第五章 経済の根本を担う 石高制社会の成立と性格
第六章 西洋的近代化のなかで 国家と食生活の基礎
第七章 政治と文化の狭間で コメ政策と食文化の変

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