異をとなえん |

定額給付金を弁護する

2008.11.17 Mon

02:02:00

定額給付金の評判がすこぶる悪い。
誉めている新聞雑誌ブログを見たことがない。
でも、定額給付金はそんなに悪い政策だろうか。
私にはそうは思えない。
そこで弁護してみることにした。

まず大前提として、現在の金融危機に対応するために、
世界的に財政政策を要請されている状況がある。
金融サミットの宣言の中にその旨が入れられた。
だから、日本としてもある程度のことをしなくてはいけない。
時間順としては、定額給付金の決定をしてから金融サミットなので、
逆なのだが、財政政策の要望が世界で高まっていたことも事実だ。
日本は金融危機での被害は少ない方なので、
世界のためにもリーダーシップを取りたい意味がある。

財政政策など実行すべきでないという人もいるだろう。
財政政策など景気回復に役に立たないという派の人だ。
これは一理あるのではと考えているが、現状もうやるしかない。
だから、財政政策など無益と思う人は、
一番被害が少い政策は何かという観点から考えてほしい。

財政政策は国が借金をして、そのお金を使う。
実行できる方策は、消費か貯蓄か投資か贈与である。

消費は政府にとって本質的にはない。
たとえば国防費は安全のための経費であって、投資である。
生活保護費は贈与と考えるべきだ。
美術館博物館等は入館料を後で取り立てる投資だろう。
そういうわけで、消費を別途考えることはしない。

貯蓄に使う方法もある。
しかし、国民よりもうまく貯蓄できるだろうか。
私には疑問に思える。
本質的に政府が個人より有利に投資できる能力を持つ理由はどこにもない。
少くとも銀行等に任せられるはずだ。

そこで投資である。
この場合の投資は、実際に物を買っての事業という意味だ。
普通の事業と違って、政府が有利になる投資はある。
全体としては利益がはっきりと出るけれど、
誰が負担すべきかはっきりせず、
うまく徴収することが難しい事業だ。
普通の道路なんかがそのよい例だろう。
ただ残念ながら、日本では90年代利益が出ない事業に多額の投資がなされた。
誰も使わない道路など、建設業者への効率の悪い贈与にしかすぎない。
単に建設業者に金をくれてやった方がずっと良かったろう。

公共事業の恩恵に与れなかった国民には借金だけが増えることになるのだから、
それを理解できる大部分の国民は将来のため節約に走ってしまう。
また公共事業は長期的展望に立って実行すべきであって、
短期で増減できるものではない。

結局、無駄な公共事業に使われるぐらいなら、しない方がいい。
他にも投資には、省エネルギー投資とかいろいろあるだろうけれど、
国民的な同意がない限り、政府では責任が取れない。

残りは贈与である。
最後に出したのは、これが一番望ましいと考えているからだ。
所得減税や定額給付金は、まずほとんどの国民にとって、
ちょっと借金をするようなものだ。
事務費用みたいな利子が少しつくけれど、
公務員の費用はどちらにしてもかかってしまうので、
これ自体ではそれほど大きくはない。
インフレの可能性が少しあることを考えると、
大部分の国民にとっては損得なしだ。
だったらやる必要ないと思うだろうけれど、
無駄な公共事業をやるよりはずっといい。
そして、少し効果もある。

効果は二つに分かれる。
一つは、金持ちから貧乏人への贈与になる効果だ。
貧乏人の方が所得に対する消費の割合が多いのは、ほぼ確実だろうから、
消費はある程度増えることになる。
もう一つは、サラ金効果だ。
後で返す金ではあっても、早めに欲しがる人はいる。
サラ金が栄えているのはその一つの理由だ。
それを考えると、やはり消費は少し増える。

では、所得減税と定額給付金のどちらが良いだろうか。
所得減税は自分が払った金を取り戻すのだから、不公平ではない。
貧乏人に贈与するのは、そもそもおかしいというのは立派な意見だ。
ただ、結局返すのは後になるのだから、誰が負担するかは判然としない。
今所得が多くて税金をたくさん払っている人も、
実際に今の減税やら給付金の赤字を返す時に、払う人になるかわからない。
そうすると1万2千円ぐらいの金だったら、
貧乏人への贈与になるかどうかもわからない。
所得減税も定額給付金もあまり変わらないことになる。

まあ、所得減税の方が結果的に貧乏人への贈与は少くなるだろうけれど、
それほどでもないという話だ。

より効果が大きいのは、直接現金が貰える効果だろう。
所得減税で税金を納める時に引かれる場合は、
たぶん、得をしているかどうかわからない。
もちろん所得が少し増えるはずだから、消費は少し増える。
でも、それほど多くはない気がする。

それに対して、直接貰う場合は得をした錯覚がしやすい。
1万2千円なんて貯金する金額でもないし、自然と消費する可能性もある。
支給するための経費という問題はあるけれど、
定額給付金の方が消費を喚起する点では少し有利ではないだろうか。

今まで、弁護するということでうまい話を述べてきたけれど、
本当に消費に影響を及ぼすかは難しい。
世論調査によると国民の過半数以上が反対みたいなので、
効果は減殺される。
効果がない、効果がないとマスコミが煽れば、
使わない方がいいと考える人も多くなる。
それらの事を考慮すると実行しない方がいいかもしれない。

しかし、無駄な公共事業をやるよりはずっといいという点で、
私は定額給付金を評価している。

このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURLはこちら

123 金融サミット共同宣言 即効性は乏しくブッシュ米大統領「グッドバイ」

オツカレです。 想定内の宣言で終わったことでマーケットは落ち着くのだろうか。 [ワシントン 15日 ロイター]金融サミットでは追加的措置強調、市場は即効性乏しいと評価  ワシントンで行われた20カ国・地域(G20)による緊急首脳会合(金融サミット)が15日